第14話 ホストファミリー
「なあ、ちょっと、君?」
コンビニを後にした俺は、先に外に出ていた女性に声をかけた。
「何かようですか?」
めんどくさそうに彼女は声を返し俺の方に向きかえった。
振り向きざまに何やら金属音のような音が聞こえた気がするが…多分、気のせいだろう。
「…ん?ああ、この前の…どうしたの?私に何か用でもあるの?」
っと、彼女は俺にそう言った。
どうやら俺のことを覚えていたようだ。
「いや…さっき、コンビニで…。」
「ああ…そういうことか。えっと…見てたの?」
「ああ…全部。」
「うう…。いや、そのえっと…そう!あれは…いやそうじゃなくてさっきのは…。」
彼女は、言葉を必死で探すが見つからないようだった。
とはいえ、俺はさっきの出来事を見ていた訳で…。
動揺するのも無理もないかな…っと、思った。
勿論、人を殴ったというか何というか…まあ、そういう所を知り合いに見られた時の気恥ずかしさというか、その場の勢いだけで行動を取った所を見られるのはどうしようもなく後から恥ずかしくなる。
おそらく、彼女もそんな感じで…まあ、やってしまったのだろう…。
たぶん、というかしばらくはあのコンビニに行けないのは間違いなさそうだ。
「…その!」
「あっ、はい…。」
「さっきのは夢だから!」
「えっ?」
「いいあなたが見たのは全部夢で実際に起きたことではありません!」
っと、彼女は顔を真っ赤にして俺に言ってきたのである。
何を言い出すのかと思えばというかテンパっているのは確かだった。
とはいえ、それで納得というか流してしまえば良かったのだが、野暮なことに首を突っ込みたくなる性分の俺は勿論、彼女に必要のないことを言ってしまった。
「えっ、いや…でも…さっき。」
「いいですか、本当に私は何もしていませんからね!」
「でもなあ…。」
「お願いします!この件が
「はあ…そんなこと言われてもねえ。」
「お願いします、どうか見逃してください!これだと、ホストファミリーの方々にも迷惑をお掛けしてしまうので!」
「ホストファミリー…?」
ホストファミリー…ということは、やはりというか例の人物なのだろう?
となるとというか必然的に俺の家に積まれた段ボールの主となる。
そして、ホストファミリーということは学生なのだろう。
近くに大学はある、しかし、彼女はおそらく俺と同年代だろう。
となると、この近くにある高校は俺が在学する
つまり、この簡単な方程式を解くと…。
この女性は、今日から俺の家で暮らすことになる留学生ということになる。
「そうです、ホストファミリーです!明日、あいさつに行くのでどうか!」
「いや…そのさあ…。」
「はい?」
「もしかして、というかこの前案内した学校に通うんだよね?」
「そうですが…何か?」
「…そのホストファミリーの名前とかわかる?」
「名前…確か
「…ええっと、その…俺の名前は…
「そうですか…えっ…あっ!まさか!」
「初めまして、かな…?」
彼女は、顔をさらに赤らめて俺を後にして走り去って行った。
つまり、ほぼ確定というか間違いなく…。
「…そうだよな。」っと、俺は口にし家に帰った。
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