第10話 兄妹
「…ごちそうさまでした。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
「別に、気にするなって…。」
(…本当は、昨日も食べたんだよな。)
「どうしたの?」
「なっ…何でもない…。」
「そう…ならいいんだけど。」
俺は、
そして、俺は細長いスプーンを手に取り、いちごパフェを食べていた。
サイズは俺の食べているものの一回りくらい大きめだった。
しかし…値段は大きさよりも倍近くあった。
けれど、これなら財布の方は大丈夫だと思っていたのだが…。
「すいません!」
「はい、何でしょうか?」
「追加で、いちごパフェをお願いします。」
「かしこまりました。」
どうやら京香は抹茶パフェでは足りなかったようだ…。
「…えっと…これは自腹で…。」
頼んでから京香はこちらを心配するように目を向けてきた。
少し申し訳なさそうにしているのが自然だとは思うが、少しむかついた。
とはいえ、雅刀や
「…。」
「じーっ。」
声は聞こえないが、果歩からの視線は何を言っているのかすぐに分かった。
「心配するな京香、今日は奢ってやるから…。」
「本当に…いいの?」
「ああ、心配するな…。」
俺がそういうと京香は…。
「すいません、追加でパンケーキとバニラアイスをお願いします!」
「私は、季節のアイス盛り合わせで!」
「かしこまりました。」
「あっ…あと、メープルシロップもお願いします!」
「わかりました、では。」
そういうと、ウェイターさんは店の奥に消えた。
俺は、メニューから手を話していた…もとい、果歩によって取られていたので正確な値段はわからなかった。
「…気前がいいですね…和人さん。」
「まあ、たまにはこれくらい…。」
「そんなわけで…和人!ついでに、
「なっ…果歩ちゃん…それは…さすがに…。」
「そうだよ…その無理しなくていいから…。」
「いや…心配しなくていいよ。2人の分も持つよ。」
「…本当ですか?」
「さすがに…その…委員長だからお金の貸し借りは…。」
ああ…本当に自分の馬鹿さ加減に呆れる。
なんでかなあ…やっぱり、女性に甘いのが原因かもしれない。
いいように扱われているというよりも今回は罠に嵌ったというのが正しいと思う。
「それじゃあ…時間をかけて還元していくとかならいいんじゃないかな?」
「…時間をかけてですか?」
「まあ、別に焦ることはないからさ…そうだな…とりあえず困った時に助けてくれればそれでいいから…。」
「そんなんでいいの?」
「ああ、そういう感じでいいよ。」
「そう…それじゃあ、お言葉に甘えるわね…。」
「あの…良ければこれ…どうぞ…。」
天ヶ崎さんは、どこからか本を取り出した。
本には、「「斜陽」」と書かれていた。
「…いいの?」
俺は、それを彼女から受け取った。
「はい、もう読み終わりましたので…。」
「そうなんだ…ありがとう。」
「いえ…そんなたいしたものでは…本は嫌いですか?」
「いや…むしろ、好きかな。」
「そうですか、それなら幸いです。」
気がつくと、
支払いを済ませ、その後は京香と柚香と共に帰路に就いた。
「…お腹いっぱいです。」
「もう眠い…。」
「そうだな…。」
「…お兄ちゃん、今日の夜ご飯は?」
「無しでいいんじゃない?」
「ダメです!」
「…そんなあ。」
「そんなあ…じゃないですよ!ちゃんと、食べてください!」
「…わかった、お茶漬けにするよ。」
「ダメです!ちゃんとしたものを食べてさい…。」
「了解…。」
「はあ…仕方ありませんね。作ってあげますので食べてくださいね!」
「わかった…。」
「お兄ちゃんは、すぐに適当なことするから…。」
「はあ…。」
「あっ、また、ため息ついた!」
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