かてー部さん、おことわりはいやです!!
「付き合って下さい!」
「はい?」
思わず聞き返してしまった。
「あぁ、麗夏ちゃん。それじゃ告白みたいだよ。ええと、氷鳥君かな?私からちゃんと説明するよ。」
右にいた長髪の子が笑いを堪えながら言うと簡潔かつ具体的な説明をし始めた。
まず紹介。全員俺と同級生らしい。
一番左のショートボブの子が
中央の触覚角らしきものが生えている子が
右端の女学生風の長髪の子が
そして依頼。
「弁当の作り方を是非私たちに教えて欲しいんだ。」
少し驚いた。しかしすぐに、思ったことを二文字で的確に伝えた。
「何故?」
それには橘さんではなく、沖名さんが答えた。
「その、わたしたち三人でお花見に行こうってなったんですが、今までで誰もお弁当を作った人がいなくて…。でも かてー部 の氷鳥さんなら上手く教えてくれると思ったんです!」
ほぼ自己中心的な理由じゃないかい!ツッコミたくなったがこらえておいた。
「とっ、とにかくよろしくお願いします!!」
二階堂さんがそう言って頭を下げると、他の二人も頭を下げた。けれども面倒事は嫌だった。
「いや、お断りします。」
と言っておいた。
が、
「お願いです、教えてください。」
と、二度も言われてしまった。しかし、それで
「どうぞ」
と引き下がる
「それでも、おこと「わりなんてしないで下さい! お願いします!」
断りを入れようとしたが、二階堂さんに被せられた。しかもちょっと涙声で…。さすがの俺でも少し戸惑ってしまう。
だが、それでも断らなければ…。といった途端に…、
「あっ、もしかして氷鳥君って料理苦手なの?」
橘さんが小馬鹿にしたようなき目つきで挑発してくる。
「何言ってるんですか?」
「学力は全国トップクラスで、スポーツも得意なのに、料理は下手なんだぁ。ふ~ん。っぷふふ…」
こんなとき、人によっては、
「このぉ、くそ
となるかもしれないが、 そんなことをするつもりはない。とは言っても少しイラついたことは認めよう。
本来俺は料理が得意である。両親がいなくなってから、一年も自炊してきたのだ。本気になれば煮豆も上手く作れる。
話が脱線してしまったが結局、イラッとしてしまった挙げ句、挑発に乗ってしまった。
つまり、
「いいでしょう。その依頼、引き受けます。」
こう言った、その瞬間三人とも笑顔――蔑みの笑顔とかではない、普通の笑顔になった。
「氷鳥くん!ありがとうございます。」
二階堂さんがそう言ったが、なんだか少し照れくさくなったので、
「あの、同級生ですし、敬語はやめてください…」
彼女とろくに目も合わせず、こんなことを言ってしまった。それに二階堂さんは、
「いいですよ。じゃあ、氷鳥くんも敬語使わないでくださいね!!」
飛びきりの笑顔を見せて、言った。
それを見た俺は恍惚としてしまったかもしれない。
取り敢えず、弁当作りは木曜に教えることにした。今週末の日曜に花見に行くそうだ。
寝る前に、二つ思ったことがある。一つは料理を教えろと言ってきた人に、料理の腕を馬鹿にされる筋合いはないだろうということ。
もう一つは、普段は大人しく、優し
まあ、どちらも気にすることではないだろう。俺はこれから今日みたいなことが起こらないことを願って、布団を被った。
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