ポケットティッシュ

「ハックション!」

 私は盛大にくしゃみをし、ズズ、と鼻水を啜る。風邪でも引いたのだろうか?

 私は鼻水が垂れないようにしながら、タンスの一番下の引き出しを漁った。すぐに探し物が見つかった。昨日の夕方に駅前で貰ったポケットティッシュだった。このポケットティッシュは顔の半分が前髪で隠れた不気味な雰囲気の女性が無言で配っていてちょっと気味悪かったが、タダで貰えるのならばと受け取っていた。

 ティッシュを一枚抜き取ろうとした時、取り出し口からヌルリ、と手が伸びて私の腕を掴んだ。

 何が起きたのか分からなくて私は固まった。その間も取り出し口からは肩や頭が出てきた。頭が完全に外に出切った時、私は目を見開いた。ポケットティッシュを配っていた女性とそっくりだった。

 私の頭の中は疑問符だらけだった。風もないのに、女性の前髪がふわりと舞い上がり、顔が見えた。女性には両目がなかった。暗闇を思わせる眼窩があるだけだった。

「ひぃっ!」

 私は思わず悲鳴をあげた。それが合図となったかのように、私はポケットティッシュの中に引きずり込まれた。

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