黒き死神が笑う日

巨大な匣

　世界各国に突如として巨大な匣（はこ）が出現した。匣はゴポポ、と不気味な音を奏でている。

　人々は興味深そうに出現した匣を眺めた。匣の噂を聞きつけた各国のテレビクルーたちは自国に出現した匣の映像を緊急ニュースとして放送した。

　匣が出現してから1時間が経過した頃、ウィーン、と機械音が辺りに響き、側面に円形の穴が空いた。人々が匣の変化に息を飲む中、穴からはガスが勢いよく噴出された。

　その直後、人々は息ができなくなり、苦しそうに喉を搔きむしり始め、ドミノ倒しのように次々と倒れていった。

　苦しそうにしているのは人間だけではなかった。動物も苦しそうに鳴き声をあげて倒れ、昆虫もふらついて地面に落下した。あらゆる生き物が動かなくなった。

　死体と化した生き物の養分を吸収し、地球は美しい自然を取り戻した。