不気味な髪の毛

 私は朝食の最中に急にお腹が痛くなり、慌ててトイレに駆け込んだ。ズボンとパンティーを下ろし、思いっきり気張った。下品極まりない音を奏でながら、大便が放出される。

 お腹をさすりながら気張っていると、何かチクチクとしたものがお尻に触れてくすぐったかった。

 何だろうと思いながら股の間を覗き込み、私は固まった。お尻に触れていたのはだった。その髪の毛は便器の奥から伸びており、まるで意思を持っているかのように蠢いていた。

 恐怖で動けない私を嘲笑うかのように、髪の毛はゆっくりと体に巻き付いてくる。抵抗しようとしたが、髪の毛に全身をきつく締め付けられ、指先一つ動かすことができなかった。骨からはミシミシとイヤな音が鳴り響き、意識が朦朧とし始めた。

 不気味な髪の毛に便器の奥まで引きずり込まれ、私の意識は途絶えた。

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