掛け布団

 私は今日も眠れずにいた。ベッド近くのテーブルに置いた時計を見ると、すでに深夜三時を過ぎていた。

 ここ最近はずっと寝不足気味だった。二週間前に新しい掛け布団を購入してから、眠れない日々が続いていた。

 掛け布団に包まると、何故か総毛立ち、眠れなくなってしまうのだ。どこにでもあるような掛け布団なのに、総毛立つ理由が分からなかった。

 ぼんやりと天井を見ていると、突然、背筋がゾクリとした。何かがいると私は直感した。恐る恐る視線を下げると、掛け布団の内側から両手が突き出ていた。

 あまりのことに愕然としていると、続けて掛け布団から頭が出てきた。頭が完全に掛け布団の外に抜け出ると、不気味な存在はゆっくりと顔をあげた。眼窩には眼球がはまっておらず、黒い穴が見えている。顔立ちから察するに少女のようだった。

 恐怖で体が硬直して動けない私を嘲笑うかのように、少女は両手を伸ばした。強い力で体を摑まれ、少女は私を掛け布団の中に引きずり込もうとする。

 必死の抵抗も虚しく、私は掛け布団の中に引きずり込まれ、意識が途絶えた。

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