終焉
ごんべえ
終焉
終焉。
何者にもどんな形であれ、終焉は訪れる。
それが、例え宇宙人襲来、という馬鹿げた形であろうと容赦なく訪れ、彼岸へと運んでいく。
テレビでは物理法則を無視しているとしか思えない空を飛ぶ円盤の船が街を焼く映像が流されている。
人類初の全世界連合軍も早々に敗れ去り、我々に出来るのは最期の瞬間を自らが思うように迎えるのみだった。
とうの私は先に逝ってしまった愛娘の写真を両手に住み慣れた我が家にて最期の時をただ待っていた。
テーブルには、思い出の詰まった写真が散らばっているが、やはり、一番大事な写真はこの愛娘の写った一枚だった。
「今まで寂しい思いをさせて悪かったね。リーリャ」
何度目だろうか?
彼女にこうして語りかけるのは。
だが、私にはこうする以外にこの恐怖を和らげる術を知らなかった。
体の震えが止まらず、息も荒くなってきている。
過呼吸なのかもしれない。
あの子は幸いなことにこの恐怖を知らずに旅立った。
睡眠時の突発的な心不全が死因だった。
あのときほど神を呪ったことはなかった。
だが、今はそんなことどうだってよかった。
奴らが私をあの子の許へと送ってくれる。
それだけで十分じゃないか。
刹那。
火柱が私の部屋を貫いた。
奴らが攻撃を仕掛けてきたのだ。
それが、私に近づいてくる。
「ああ、リーリャ。いま、そっちに――」
終焉 ごんべえ @0831
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