感想おばけ

 下準備についても、書き方についても、ここまでで一通りすべて話し終わりました。

 最後に、『感想おばけ』についてお話しして、僕の創作論を終わりにしたいと思います。



 さて、『感想おばけ』とはいったい何者なのでしょうか。

 その答えは、これです。


「ウウウオオオオオアアアアアアアアアア!!!!! 感想欲しい!! 感想っ! 感想を! 感想をくれ! アアアアアアアアアア!!!」


 もしくは、これです。


「感想がない……。サイトにいっぱい載せてるのに……ツイッターでも感想欲しいアピールしてるのに……。ツマンネの一言もないということは……つまり……僕の作品がただ一言の感想すら浮かばないほどの……虚無……だということ……」


 僕の頭蓋の中では、これらの実体なき叫びが交互に吹き荒れています。

 時々声にも出ます。主に、布団のうえで転げ回っているときに。

 僕は、この叫びを『感想おばけ』と名付けました。

 いつどこにでも忍び寄ってきて、自分の力だけでは払いのけることができないものだからです。


 僕のマイページを見ていただければ一目瞭然なのですが、今僕はあんまり作品載せてないんですね。

 掌編集のほかは、万年筆についてのエッセイと、未完のまま数ヶ月更新ストップしている異世界転生(になる予定の)ものだけです。

 なので、カクヨムの方は仕方ないんですよ。そもお品自体ちょっとしか載せられてない僕が原因なんですし。

 それに、趣味丸出しで書いたエッセイには、ありがたいことにレビューもコメントもいただけましたし! 嬉しい。あまりに嬉しかったので、続編の連載を始めてしまいました。


 閑話休題。

 カクヨム以前には、自分のホームページを持っていてそこで作品を載せていたり、あるいは仲間と文フリに出て同人誌を頒布したり、そういう活動もしていました。

 していたんですけど。

 うん。感想がね。ゼロではないんですけどね。くれるのは、ほぼ友達だけっていうか。もちろん友達がくれる感想は最高に嬉しいんですけど。嬉しいんですけど。


 僕の! 交友関係の外からの! 感想が! 欲しいんですよ!!


 いっそのこと「クソツマンネ」でも「書くのやめろ下手くそ」でもいいんですよ! だって読んでくれたんでしょ!? もういいですよそれでも! いいです! あとでブロックしますけど!!

 友達は僕を傷つけまいとして、良かったところだけ教えてくれるんですよ。それを嘘だと思ってるわけじゃないです。でも交友外からの感想がゼロってことは、どこかによくないところがあるってことじゃないですか。

 わかんないんですよ! 自分の性癖100%で書いてるから! 世間の感覚が! わかんないんですよ!!


 友人やよその作家さんとお話ししてると、よく出現するらしいですね。

 的外れかつ求めてもいないアドバイスを押し付けてウエメセしてくる、通称『アドバイスおじさん』が。おばさんかもしれないですけど。

 僕は、一度も、遭遇したことが、ありません。一度も。ありません。

 アドバイスおじ(おば)さんすらアドバイスする気にもならない存在だということか、そうなのか。

 実際遭遇した人に話を聞くと、まあ要するにマウンティングですからね、相当に不愉快だそうです。

 それに遭遇したことが無いからと言って不満をこぼすのは、それこそ的外れかもしれません。

 でも。もういっそのこと、アドバイスおじさんでもなんでもいいので。

 なんでも! いいので! なにか! 感想を! ください!!

 その結果もらえるものがウエメセクソバイスでも、僕は嬉しいです! 喜びます! 喜んだあとで絶対ブロックすると思いますが!! ブロックはしますが! 必ずしますが! それはそれとして!!


 感想に飢えるあまり、このままでは夜中辻に立ち、道行く人々にタブレットを押し付けては「オラ読めよ! 僕の作品を! 読めよォ! そんで感想寄越せ!」と暴れ回る、新時代の都市伝説と化してしまうかもしれません。

 当局では現在、僕が逮捕された際に「前々から、いつかやるんじゃないかと思ってました。やっぱり……」と訳知り顔でインタビューに答えてくれる方を募集中です。



 ねー。まあ今こんな感じなんですけど。なんで感想もらえないんですかねー。ねー。

 やっぱり現在公開してる文章量が少ないのが悪いんですかね。もしくは、掌編ばっかりなのがだめなのかも。カクヨムの読者さんはせめて短編以上を読みたいと思っている、という調査結果は出ていますからね、僕調べですけど。


 みなさんの中には、感想おばけはいませんか?

 叫び続ける感想おばけに、耳をふさぎたくなったりはしませんか?

 それとも、自分の中のおばけを制御する術を身につけているのでしょうか。


 僕は多分一生このおばけと付き合っていくことになると思います。

 感想おばけに取り憑かれた以上、もはや如何なる退魔の呪文も無力です。

 僕と感想おばけは今日も、感想を求めて電子の海をさまようしかないのです。

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