キャラクターを作る
今回は、キャラクターの作り方についてご説明します。
この工程は、本来ならプロットをたてる中の一過程として行っています。
順番が前後して申し訳ない。
プロットの話で「まずは主人公、ヒロイン、敵の3人だけ作ればいい」と言いましたが、当然その3人だけでは10万字の物語は回らないわけです。回せる人もいるかもしれませんが、僕は回せないので回らないって言っておきます。
他のキャラクターはお話の展開にあわせて増やしたり減らしたりします。主人公に友達をつくったり、あるいは両親がいると都合が悪いので仕事で海外を飛び回ってもらったり、という風に。
で、まあどういうキャラクターを追加・削減するかは完全に作者の裁量なのでここでは特に言うことはないのですが、キャラクター一人を作る過程で、必ずやっておくべきことがあります。
『年表作成』です。
物語開始時点で18歳のキャラAがいるとして、ではAはその年までどのように生きてきたのか、1歳刻みで現在までの年表を作ります。
例として、うちのキャラの年表を以下に載せます。
<例>少年J(14歳)
0歳 7月生まれ。生後間もなく■■■が発生。父は■■■が、手がかりなし。
1 歩行や言語の発達が遅い。犬に非常に興味を示す。はいはいがめっちゃ速い。幼稚園入園を見送る。
2 ぶーぶー、わんわんなど簡単な単語は発するようになる。家を脱走し、近所の野良犬と遊んでいたところを保護される。
3 ようやく歩行に問題がなくなったため、公園デビュー。2歳年上の少年Lになつく。人見知りが激しく、L以外の子どもには近寄ろうとしない。幼児学校入学を見送る。
4 少年Lが小学校にあがり、あまり会えなくなる。親の目を盗んでひとりで小学校まで行こうとし、行方不明騒ぎになる。
5 同い年の少女Mが近所に引っ越してくる。内気な少女をなじませようと世話を焼くうちに、控えめだった性格に活発さが出てくる。同年代の子どもとも遊ぶようになる。
6 小学校にあがり、また少年Lと遊ぶようになる。少女Mも含めて、3人で行動することが増えていく。はじめての運動会で徒競走1位になるが■■■を使ったため、記録なしという扱いになる。
7 同学年に友達が増えていく。運動会では■■■を使わず、あらためて徒競走1位をとる。
8 この年に放送開始したロボットアニメにはまる。同時に■■■の形態に若干の変化が生じる。
9 冬、森で子犬を拾う。家で飼い始める。
10 子犬が犬ではなく、■■■の■■■だったことが判明するが、Jは犬として接し続ける。
10 少女Mが■■■、■■■しようとするが、誤って■■■。結果、Jは町中から制御不能の化け物として忌み嫌われることになる。事件をきっかけに少年Lと断絶する。
11 学校に通い続けるが、いじめを受ける。事件への負い目から、性格が徐々に暗く、卑屈になっていく。
12 父親の転勤願いが数年先送りにされる。小学校卒業。
13 中学入学後もいじめは続く。飼い犬が心の支えになる。
14 物語開始
これを、全キャラクター分考えます。僕は主にプロットを書きながら妄想します。
同時に、彼らが生活している世界でも毎年なにかしらの出来事が起こっているわけなので、そちらも考えます。
現実世界と同じように、作品の中でも、世界と人物は相互に密接に結びついています。
多感な時期に世間でショッキングな事件があれば、衝撃を受けたりトラウマになったり、そこまでいかなくても何年経っても忘れられない記憶になったりするでしょう。
それを念頭に置いて詰めておかないと、いざ書き始めたときに、世界と人間との間に不整合がおきます。
たとえば、キャラAが2歳のころに世界をゆるがす技術革新があったとします。技術革新が起きたのはAの生後ですが、当時Aはまだ物心つかないほどの年なので、彼が知っている世界は技術革新以後の世界、ということになります。
それなのに、物語中で年下のキャラ相手に懐かしそうに「あの時の騒ぎはすごかったなぁ。これまでの常識が一気にひっくり返って……」なんて語り出したらおかしいですよね。
逆に物心ついてからの出来事であれば、仲間うちで話題が出た時に当時について一切語らず「僕はなにも知りません」みたいな顔をしていたら、それもおかしいことになります。
物語を読んでいて、それら『不整合』が出てくると、読者としての僕は「おっこれはなにかの伏線に違いないぞ」と勘ぐってしまいます。
Aは年齢をごまかしているのかもしれない。もしくはなにか重大な秘密を知っているために、口を閉ざしているのかもしれない。
そんな風に勘ぐるだけ勘ぐった挙げ句に、「ただの作者の間違いでした」となると、僕は「はァ〜〜〜〜〜????」ってなるんです。
『不整合』は伏線として扱うなら良いものなのですよ。ありありのありなのです。ですが、ただの間違いだと、読者の「はァ〜〜〜〜〜????」を引き起こします。
「はァ〜〜〜〜〜????」と思われることの恐ろしさはすでに書いたので省略。
僕はこの工程が、物語を書く作業の中で一番好きです。
他人の人生をのぞき見ているようで、わくわくするのですよね。考えてるの自分自身ですけど。
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