世界樹の迷宮Ⅴ ~こいつ…喋るぞ!~

 5作目の世界樹の迷宮は、2つの『新』シリーズを挟んで大きな変貌を遂げました。すなわち、キャラメイクの大幅強化と「種族」という概念の登場です。

 過去のシリーズからの面々と続いてきた様々な要素をあえて脱ぎ去り、新たな世界における世界樹の迷宮を作り出す。そんな意気込みが、良くも悪くもこのゲームには大きく出ています。

 伝統と革新は、どこまで折り合いをつけられるのか。


ギルド名:アルムテン

パーティーメンバー:

―前衛―

・リーパー/死を振り撒く死神

・ドラグーン/砲火の竜騎兵

・マスラオ/一刀無双の武人

―後衛―

・ウォーロック/炎と氷と雷の支配者

・ハーバリスト/慈悲深き薬草師


※クラス表示は クラス/二つ名


 ギルド名の「アルムテン」は占星術用語で「最強星」という意味。ゾディアックいないんですがそれは……。ちなみに「アルムテン」で検索すると、今は中断している「なろう」での私の作品が検索結果の上の方に出るのには笑える。


 正直面白みに欠ける編成ではある。だが、手堅くまとまっているので、雑魚戦ではあまり苦戦しません。前衛も3枚いますし、攻め手も豊富。

 一応今回はせっかくなので気に入った職業を集めて組んでみました。特にリーパーが目玉で、こいつを入れるためにハウンドをあきらめましたが……

 封じは苦手でしたが、状態異常を入れればこちらの物で、何か一つでもかかれば集中砲火を浴びせて敵のHPを一気に削り切ります。特にリーパーは、序盤は若干お荷物気味だったのが二つ名修得後に一気に化け、さらに4層で最強武器を手に入れたのも相まってとんでもない殲滅力を発揮します。表ラスボスすら初見撃破できたのはリーパー君のおかげ。

 一方で欠点としては、過去すべての編成史上最も連携が考えられていないことが挙げられます。いっそ清々しいほどの単体完結型ばかりを集めてしまったので、いざというときに、いつも以上の出力を上げることができないのです。

 さて、Ⅴの目玉の一つに、先ほどから何度も話題になっている「二つ名」というシステムがあります。今まであったサブクラスやグリモアが廃止された代わりに、ある程度成長したクラスが途中から成長の方向性を2つのうちから選び、分岐できるようになりました。

 これにより、パーティーの特色をより引き出せるだけでなく、今までにはあまり考えられなかった「同クラス2人運用」が実用性を帯びました。個人的にこのシステムは間違いなく成功だと思います。また「種族」という概念があり、4つの種族「アースラン」「ルナリア」「セリアン」「ブラニー」はそれぞれ複数のクラスが割り当てられています。ですが、序盤ですぐに種族間の転職ができるようになるので、今までのクラスが別の種族で使うことでまた変わった運用ができるようになります(メリットのない組み合わせも多いけど)。種族については後程また詳しく話します。


・Ⅴをプレイして感じたこと

「キャラに声が付く」「髪や目の色の変更が可能」

 これを聞いたとき、私は思わず感動に打ち震えました。キャラへの愛着が深い私は、ストーリーモードのときのような戦闘中のやり取りが楽しかったので、彼らが頑張って喋ってくれるだけで私は大満足でした。

 「やるしかねぇか」は今なお伝説。

 体験版が配布された日は、キャラメイクだけで1日費やしました。なにしろグラフィックが私好みの絵が多くて、これもまた嬉しい。リーパーは個人的な趣味で♂1に初めから内定してたのに、♀グラフィックもドストライク。結局♀リーパーの絵はその後控えのアースラン/ネクロマンサー(例の粉要員)で使いました。


 ゲーム全体の難易度はわりかし普通で、難しすぎず簡単すぎず、ちょうどいい感じでした。特に新Ⅱのような極端な補正がないので、Ⅳに近い感覚で遊べました。

 ただし今作は全体的にFOEが弱め。第1層のFOEはドラグーンの「バンカー」があれば余裕でした。とにかく搦め手を重視するFOEが多かったので、対策が万全なら楽勝です。そのかわり、イベント戦の殺意が半端なく、「クエストで全滅した」という例が極端に多いのもこの作品の特徴だと思います。

 先制ダイナモサンダーx2は許さん。

 それと、迷宮探索中に「ADVENTURE EPISODE 」という一種のミニイベントが発生するようになりました。これはTRPGの道中イベントのような存在で、選択肢や所持しているスキル、クラスなどでイベントの結果が変わり、経験値やアイテムが得られます。

 以前の作品にもミニイベントはありましたが、今作ではその数が一気に増え、物語の面白みの増加に一役買っています。パーティーメンバー間でやり取りすることも多いので、よりキャラクターたちが生き生きしているように見えるのもグッド。


 しかし、今作はやや問題が多い面もありました。UIが若干分かりにくくなったり、探索準備の種類……というか樹海での料理が極端に減ってしまったというのもあるのですが、やっぱり一番の難点はシリーズで最もストーリー要素が薄いことでしょうか。たぶん今作の最大の山場は第3層。「ふざけた名前のヤロー」を倒した後の盛り上がりのなさは、流石にどうにかならなかったものか。

 というか、Ⅴはおそらくやりたいことが山ほどあったものの、ほとんどが中途半端にしか実現できなかった面があるのではないかと思われます。

 なまじ第1作目のインパクトがあまりにも大きかったせいで、未だにそれを超えようともがき続けている世界樹シリーズ。はたして、達成される日は来るのだろうか。



・アルカディア4大種族

 キャラメイクでも話しましたが、Ⅴはクラス以前に「種族」という基礎ステータスがあり、4種類から選べる。

 ほぼ人間に近い「アースラン」、みんな大好きエルフ「ルナリア」、ケモナー御用達「セリアン」、小さくてかわいい「ブラニー」。この中で、アースランは4つ、残りの種族はそれぞれ2つづつ本来クラスが与えられていて、それぞれ役割が特化しているので普通にやれば4種族すべて使うことになるはず。また、4種族はクラススキルとは別に、独自の「種族スキル」を持っていて、ステータスの補助や探索技能にも違いが出てくる。

 これに加えて、各種族が持つ基礎パラメーターと、クラスが派生する二つ名が合わさることで、かつてない規模の組み合わせを実現することができるのである。

 ただしⅤは隠し職業がないのが残念。


「アースラン」は能力傾向としては耐久力に重きが置かれていて、安定して前衛に出せるのがウリ。ほかの種族の職業も、一部を除けばほぼ安定した運用が可能で、おまけに探索術も便利なのが揃っている。幸運値が高いのもミソで、状態異常を掛けるのも、耐えるのも得意。

 欠点は魔法関連が弱いことで、特にTPの低さは回復手段が乏しい序盤では痛手である。しかしながら、ほかの種族と比べればカバーは比較的容易な部分は多いので、何とかなると言えば何とかなる。魔力がすべてともいえるウォーロックですら、場合によっては運用に耐えるのは流石というほかない。

 種族統一縛りでも、アースラン統一は回復力が低いという点を除けば、ほとんど問題なく運用できるが、いまいち面白みに欠ける。


「ルナリア」はアースランとは逆の魔法特化種族で、魔法に関連するスキルがやたら強くなる一方、物理面が攻撃も耐久も弱い。

 TPが豊富なので多少スキルを乱発してもガス欠しにくいし、幸運もそこそこあるので敵の行動妨害にも向いている。特にアースランが所属しているクラスは、低いTPで運用することを前提としているので、火力にさえ目を瞑れば非常に燃費が良くなる。ドラグーンだって挑発やディバイドさえしなければ、重い盾スキルも使いまくれるぞ!

 欠点は先ほども言ったように、物理攻撃力と耐久が終わっていること。ルナリアを前衛に出すのは自殺行為でしかないうえに、メリットもあんまりない。特にマスラオとの相性は最悪で(ブラニーよりはましかもしれないが)、他種族のクラスだと使い勝手があまり良くならないケースが多い。

 種族統一縛り最大の鬼門でもある。ルナリアだけでクリアできる人がいたら尊敬するレベル。


「セリアン」は攻撃特化種族で、アースランから防御面を削ってさらに攻撃に特化した配分の能力を持つ。全体的にかなりピーキーな運用になるが、支援さえ充実していれば圧倒的な火力と素早さで敵を叩きのめすことができる。

 同じ物理よりのアースランクラスとの相性がよく、状態異常付与性能は落ちるが与えるダメージが目に見えて違ってくる。

 セリアンの欠点は、能力が前衛向きなのに防御面がブラニー以下なこと。とにかくハイリスクハイリターンな選択を迫られることが多いので、できればアースランと組ませて守ってやりたい。あとアースラン以上に魔法がからっきし。幸運値もあまり高くないので、状態異常付与もあまり期待できない。

 とにかく火力と素早さを生かせないことにははじまらない点には注意。

 種族統一は、ルナリアよりはましかというレベル。物理耐久の高い敵が出た時にどうするかが最大の課題。


「ブラニー」は一目見ただけでは若干分かりにくいステータス配分をしている。

 物理攻撃力はルナリアより低く、HPも心もとないが、なぜか防御力と魔法防御、それにTPは高く、魔法攻撃力もまあまあ。あと幸運が低い。

 一番の長所は高い回復力があることで、主に後方支援に向いている。魔法職もよくこなせ、おまけに比較的硬いのでルナリアのようにすぐにやられることがないのが特徴。装備が整えば、前衛に立つことも可能。

 あと、種族スキルが最も優秀なので、種族統一をしないのであれば必ず一人はブラニーを入れておきたい。

 欠点は火力がとにかく足りないことで、攻撃するためにはいろいろな工夫が必要になる。能力バランスは悪くはないのだが、やや中途半端で、ほとんどのクラスで死にスキル死にステータスが発生するのがもったいない。能力配分の関係上、ルナリアとセリアン以上に苦手なクラスが多い。

 ただし、種族統一プレイは割とやりやすい方で、火力と状態異常対策さえしっかりしていれば問題ない。ハウンドやネクロマンサーなど本人お能力にあまり依存しないクラスを重点的に使おう。

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世界樹への足跡 南木 @sanbousoutyou-ju88

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