世界樹の迷宮Ⅳ ~僕らは一人じゃない~

 世界樹Ⅲがゲーム性の転換点なら、世界樹の迷宮Ⅳはシステム面での転換点と言えるかもしれない。

 ハードが任天堂DSから3DSに変わり、迷宮がより立体的に描かれるようになったほか、今まで平面の絵だった敵モンスターが動くようになり、さらにモンスターもプレイヤーたちと同様に前衛後衛の二段構えで登場するようになりました。

 ほかにもUIやスキルツリー、それにサブクラスの仕様に大幅な調整が入り、かなり遊びやすいバランスに仕上がっていたと思います。

 そして何より、この作品から「難易度選択」ができるようになったことで、初心者への敷居が大幅に下がったと思います。もちろん、低難易度な世界樹なんて甘えという意見も多数聞かれましたが、結果的に冒険者人口の大幅な増加に成功したことは紛れもない事実です。まあ、難易度を低くしても結構死ねるのは、やっぱ世界樹シリーズだなと…………


ギルド名:リリッシュ

パーティーメンバー:

―前衛―

・ソードマン/フォートレス ⇒ インペリアル/ナイトシーカー

・ダンサー/ソードマン

―後衛―

・スナイパー/モノノフ

・ルーンマスター/メディック

・メディック/フォートレス


※クラス表示は 本業/サブクラス


 Ⅲの時よりマイルドになったとはいえ、やはり全体的に柔らかめ……に見える。けれども、今思うと前衛が二人しかいないことを除けば、そこまで極端ではなかったような気がする。特にダンサーは、キャラクター絵を見ていると下手な後衛より柔らかそうなのに(男女とも装備がほぼ布一枚)、それなりに攻撃を耐えるし、パッシブで回避率まで上がる。

 今作パーティーのコンセプトはズバリ「バランス」! 今までの常識が通用しい場面が多そうだったので、逆にどんな状況でも対応できる編成にしました。

 うまくいったといえばうまくいったのですが…………火力不足気味だったので、ボス戦でいつもTPがカツカツでした。

 また、サブクラスも前回のような尖らせる方向ではなく、あくまでメインクラスを補助する形でとっていました。Ⅲでは、サブクラスのスキルレベルに制限はありませんでしたが、Ⅳはサブで取得できるスキルのレベルが半分までになっていたため、サブクラスはあくまでサブクラスと割り切った使い方をしてましたね。特にルーンマスターはTPブーストと状態異常回復だけとって、後は放置してましたし、メディックに至っては盾を持たせて硬くするだけだったと言っても過言ではなかったかと。

 その後、クリア直前で解禁された隠し職業「インペリアル」がアホみたいに強かったので、ソードマンが主力の座を追われました。ソードマンも使い勝手は悪くないのですが、火力を出すとなると大幅な補強が必要になるんですよね……



・Ⅳをプレイして感じたこと。

 Ⅳの肝はとにもかくにも「連携」、これに付きます。

 初めにも述べましたが、敵の動作のバリエーションが豊富になり、前後列の概念が導入されたことで、敵同士の連携技を積極的に狙ってくるようになりました。

 敵同士の連携自体は以前からありましたし、連携技もあったのですが、Ⅳのそれは各シリーズの比ではありません。後半になると、いかにして敵のコンボを潰すかで難易度が大幅に変わってくるので、封じや状態異常のないパーティーでは苦戦必至です。

 一方こちらのパーティーもまた、スキルが味方との連携を前提としたものが多い印象です。Ⅲはクラス性能が連携を意識していましたが、Ⅳは味方がいないと機能しないスキルがあるという点で、Ⅲと比較できるでしょう。また、Ⅲは先ほど述べたようにスキル取得の制限がなかったため、元のクラスの性能によっては本職をしのぐ活躍ができたクラスもありましたが(特にシノビ)、サブクラスのスキルレベルが半分に抑えられたことで、本来のクラスを補助する形に収まりました。

 難易度はシリーズ全体通しても、低い部類に入ると思います。ただし、敵がやってくる攻撃に結構えげつない行動が多いので、下手に食らうとトラウマとして心に残ります(笑)。

 また、雑魚戦で苦戦しない代わりにFOEやボスが強い! よくぞここまでギリギリで勝てるようにしたなと、ゲームバランス調整に思わずうなってしまうほど。Ⅳで全滅する話題でも、ボスで全滅したという話を多く聞いた気がします。


 あと、表攻略後の第6迷宮の難易度は恐らく歴代屈指。敵の強さという面だけでなく、なんというかその……全体的にアレで。



・冒険者と異種族

 実は世界樹シリーズは、作品ごとになにかしらの「亜人」が出てきており、後半は彼らと敵対したり和解したりしてストーリーを進めるのが恒例となっています。その中でもⅣは、異種族との遭遇、対立と交流を経て和解し、なんと最終的にその異種族が味方クラスとして使えるようになります。さすがは隠し種族が歴代最多の3種族あるだけあって、粋な計らいだなと感じていましたね。話を進めるごとに明らかになる危機的状況に、人間を含め全種族で立ち向かっていく展開もまた熱いです。

 Ⅰは異種族と遭遇した直後から敵対し、話し合いを試みるも、結局最後まで和解することはありませんでした。Ⅲに至っては、話し合いすらなく敵味方双方お互いを敵視したままでした。まあ、あれらと交渉の余地があるかと問われれば、無いとしか言いようがないですが。

 一方でⅡは、向こうが初めからやたら好意的で、達観しているのもあって常に味方側でした。ただ、お互い用事があれば手を組むというだけの関係だったので、本当の意味で交流していたかと問われれば、それは違うと言わざるを得ませんでした。

 だからこそ、お互いが手を取り合い、すべての種族が一致団結できたⅣは、シリーズを通してかなり異色のストーリーになっていたと思います。

 その後発売されたⅤは、異種族がほとんど文明すら持っていないような相手で、交流の「こ」の字も描かれなかっただけに(正確にはごく一部で交流はありましたが、あれは……)、今後のナンバリング作品での異種族との交流がどのようなものになるのか…………期待半分不安半分といったところです。

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