駒-猫
クリスマス前、ハロウィンの後。
常闇の前、夕暮れの後。
予備校の前、電飾の後。
工場の前、看守門の後。
彼らは魂無き器になる。
親からは常に万物の願望器のように扱われてきたのであろう。
塾の講師や学校の教師からはさながら聖杯の様に扱われてきたのだろう。
彼らは器になることに慣れすぎた。
その中身になる事は、中身を自分で満たす事はもはやできない。
誰かに注いでもらわないと空気を凍らせる以外、何もなし得ない。
誰かの喉を潤すことも。湿度を上げることも。
ただ1つ許されたのは、自身という器を、生というテーブルから落とすことで響き渡る甲高い悲鳴により、社会を、空気を凍りつかせることだけ。
社会は未来有望な若者を余りに楽観視しすぎる。
いや、若者を未来有望なものだと過信しすぎるのだ。
未来は無限大。夢は願えば叶う。未来は君らが描く。
本当にそうだろうか。
そう抱いている大人も、昔は若者であり未来有望であったはずだ。
しかし、現実無限大な将来を得た者、夢を叶えた者、自分の思い描く未来を描けた者はどれ程いるのだろう。
他社の聖杯でなり得たのは全体のうち何杯なのだろう。
一握りも一握り、下手したら一対もないのではないのだろうか。
教育とは罪な物である。
彼ら、あるいは彼女らに夢だけ見せて実際は何も与えない。
ひたすら時間と年齢だけを浪費させ、本当に大事な物は何も与えてくれない。
honest
Dishonest
違う様で何も違わない。
Real
Fake
本物なんて存在しない。
Hopeの対義語が存在しない様に。
対義語が存在しないという事は、相対的なものでないという事。
人間は相対的にしか物事を捉えられない。
つまり、人間には希望など存在しないし、認識できないという事だ。
希望は虚像だ。
願望は虚像だ。
いつも何かの影に付いている。
そう猫の様に。
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