無題―日々の中で―

何も考えないで夢を追いかけていられた時間は無くなって

毎日生きるために働いて

いつか働くために生きる日々が来るんだろうなんて

ぼんやりと考えている

馬鹿馬鹿しい夢だけが遠巻きに窓の外を流れていく。


一日が終わるのをただ見送って

勝手に過ぎては終わる生活に慣れてしまって

変えたいと思う気持ちだけが置いてけぼりを食らってる

変わらないのは自分だけだって信じて疑わないでいることがただ自分自身を保つ方法だなんて学んで

明日の俺なんて考えられなくて

前に進んでいくお前の背中だけを見つめている


夢と希望ばかり見ていたいのに現実はそうもいかなくて

小さい頃に願ったあれこれなんて叶うわけもなくて

だけど、だけど、まだ追いかけていたい自分もどこかにいて

気が付くと冷え切ったコンビニ弁当を食べては寝て起きて生きてる。


綺麗な言葉を並べ立てて詩や小説を書き連ねるのはとても簡単なのに

ありのままの現実を書き起こすことはできなくて

目の前のことすら霞んで明日のことも忘れてしまって

何も手にすることもできないまま浪費した時間だけが重くのしかかって

それでも立ち止まることなんてできなくて勝手に足が前に進んでいく。


人生を何かに例えてみたり愛や恋の難しさに悩むこともしなくなって

それでも何かできることを探してインクの切れかかったペンで書き連ねては

何も変わることがなくてこれが現実だなんて決めつけて

諦めながらそれでもやめることは出来なくて

やっぱりまだ続けていたい、書いていたい

きっと未来の俺は今の俺なんか覚えてはいないだろうけど

若かったなんて笑い飛ばせる日が来るまで

俺はやめたくないよ。


いつ終わるかもわからないのに無責任に夢を見せてくる「人生」も

誰かの成功に憧れて読み耽った「成功本」も

どうしようもなく希望が見いだせない「現実」も

全部が重くのしかかって動けなくなるだけの俺だけど

それでもまだ書き続けるから。


だから、だから。

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