第4話 明かされた記憶
「信じてないでしょ?」
「ああ・・・」
そんなの信じられるはずがない・
「いいわ。教えてあげる。」
「何を?」
「まずは、周りを見て」
俺は驚きを隠せなかった。
この景色は、見覚えがある。
そうだ・・・確かにそうだ・・・
俺が、以前に住んでいた場所・・・
つまり幼稚園の頃まで、住んでいた場所だ・・・
記憶が・・・蘇ってきた・・・
でもまだ、確証は持てない・・・
「いいわ。確証を持たせてあげる。ついてきて・・・」
彼女の後をつける・・・
でもまだ、顔は見えない・・・
ただ今度は逆光のためでなく、彼女の後を歩いているためだ・・・
電気屋の前で彼女は立ち止った。
「テレビを見て」
彼女はテレビを指差す。
そこには大相撲が中継されていた・・・
しかし、なんか違う・・・
取り組みは・・・
「貴乃花と曙よ」
彼女の言葉に驚いた。
ふたりともとっくに引退している。
「ビデオじゃないわ。生よ」
後から彼女の声がした・・・
「信じてくれた?」
「ああ」
これを見せられては、もう信じるしかなかった・・・
「あの日、君が引っ越しをしたあの日、つまり、この時代だと今日ね。
私は悲しくて泣いた・・・君は、初恋の人だったから・・・」
「初恋?」
俺は振り返ろうとしたが、「そのままで聞いて」と、阻止された。
「あの日の事は、私はずっと悔やんでいた。
君に「さよなら」を言えなかった事を、後悔していたの」
「・・・・・」
「でも、それでよかった。おかげで君の事を忘れないでいられたから・・・」
彼女の言葉に驚いた。
(そんなことってあるのか)
その不思議さが、頭を離れなかった・・・
「もう振り向いていいわ。私の顔が見えるはずだから・・・」
そういって振り向く。
すると、懐かしい顔がそこにあった。
この子だけは、忘れない。
俺にとっても、初恋の人だからだ・・・
「久しぶりだね。裕彦くん」
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