第2話 膝枕
彼女の手を掴んだ瞬間、まばゆい光につつまれた・・・
わずかな時間だったのか、それとも数日だったのか・・・
詳しい時間感覚がなかった・・・
「気が付いた?」
俺は彼女の膝枕で寝ていたようだ・・・
「ここは?」
「着いたよ・・・君が知りたがっていた場所・・・」
「えっ」
あわててとび起きようとしたが・・・
「だーめ、もうしばらくこのまま」
強引に膝枕で寝かされる。
でもなんだろう・・・とても気持ちいい・・・
場所は木陰のようだ・・・
「私の顔見える?」
「いや・・・見えない・・・」
彼女は何も言わないが、笑みを浮かべているのは、何となくわかった・・・
彼女はさっき、「君が知りたがっていた場所」と言った・・・
ということは、この場所なら、俺はわかるのか?
何かを思いだせるのか?
確かめたい・・・知りたい・・・
そのばかりが、頭をよぎる・・・
でもそれ以上に、彼女の膝枕が心地い・・・
(もうしばらく・・・このままでいたい・・・)
「いいよ」
俺の心の中が読めたのか、彼女はそう答えた・・・
膝枕をしてもらうのは、耳掃除の時に、母親にしてもらって以来だ・・・
女性には老若問わず、母性というものがあり、男はそれに甘えるよう、
本能として、できているようだ・・・
しばらくして、彼女が訊いてきた・・・
「なら、私の名前は思い出せた?」
「いや・・・それも・・・」
「・・・そっか・・・」
とても残念そうな声がした・・・
顔は影で見えない・・・なので、名前を思いだせない・・・
でも、懐かしい感じがしてきた・・・
「間違いなく、過去に会っている」
その確信だけは、持てた・・・
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