第7話 ローズ

           ローズ



「うん、やはり、アイテムの件だった。今、装備した。それでこのアイテム、微妙な効果だし、俺が疑われない為にも、普通のショップでも売るそうだ。まあ、値段はそれなりに高いらしいが。それと、俺のHPも、丁度レッドゾーンまでは減るようになって、MPもちゃんと減るらしい。」


 微妙な効果というのは、ボス部屋でHPがレッドゾーンになると、自動的に街に戻されてしまい、残ったメンバーがクリアした時、自分だけ経験値とスキルP、報酬金が貰えなくなるからだ。もっとも、一撃でレッドゾーンを突き抜けて死んでしまった場合は、今まで通りだが。

 なので、今まで、『強制転移の石』は、特定のメンバーをパワーレベリングさせる時とかに使われていた。後、一撃でクリアできるというところまでボスを追い込んでから、レベルを上げてやりたい人を一人残して、後は全員転移してしまうというやり方だ。

 ただ、PK対策としては重宝しそうだ。狩る側も、目の前で相手が消えてしまえばどうしようもない。


「あら、あたしにもコールよ。桧山さん? 知らない人ね。」

「あ~、その人、システム管理の人だ。用件も想像がつく。」


 カオリンへの用件は、当然、何か俺に異常があったら、すぐに連絡して欲しいとのことだった。う~む、完全に巻き込んでいるな~。


「それで、カオリン、これからの事だが。」

「そうね、何処に狩り行く? あ、その前に、さっき言っていたクエストの事、教えて!」

「あ~、その話はまた後で。それより、俺は今のパーティーを抜けようと思う。あの人達まで巻き込みたくはないし。」

「え? シンがそこまで気を遣う必要は無いわ。今まで通りでいいじゃない。」

「いや、さっき言った通り、俺は24時間戦えてしまう。つまり、レベルが釣り合わなくなるので、アロさん達には不審に思われるだろう。なので、廃神さんギルドにでも入会しようと思っている。このアイテムのおかげで、怪しまれる事も無いだろう。」

「え~っ? じゃあ、あたしはどうなるの? 廃神さんのペースになんて、とても付き合えないわ!」

「う~ん、カオリンがログインした時には、いつでも会えるはずだ。」


 げ!

 カオリンの眉が吊り上がった! クエストの玉祖命を思い出す。


「それって、あたしを切るって意味よね! ここまで巻き込んでおいて、それはないわ!」

「い、いや、そういう意味じゃないのだが……。」

「いーえ! そういう意味になるのよ! でも、シンの考えも理解できるわ。あたしも、できるだけシンの側に居てあげたいのだけど、確かに不可能だわ。そうね。シン、あなた、ギルドを立ち上げたら? そうね、入会条件は、ファントムカース装備者でどう? あたしも後で買うわ。知らない人なら、あなたは只の廃神さんという事で、怪しまれないはずよ。」


「ふむ、それはいい案かも。カオリン、前から思っていたけど、頭切れるな~。」

「もっと褒めていいわよ~。何も出ないけど。じゃあ、早速登録しに行きましょう。パーティーはまだ解除しなくていいわね。まだあなたとあたしだけだし。アロさん達には、今晩言えばいいわね。」


 カオリンは、鬼の形相から、一気に上機嫌のようだ。

 ちょろいな。


 俺達は、部屋を出て、ギルドの街に転移する。

 目指すは、新規ギルドの登録をしてくれるギルドホールだ。


 ちなみに、ギルドの登録自体は無料だ。しかし、ギルドメンバー専用の個室には、料金が発生する。当然、広さによって値段も変わる。しかし、新規の、まだ二人しか居ないギルドなら、広い部屋は要らないので、最低の規模でいいだろう。


「それで、名前、どうするの?」

「う~ん、どうしようか? ファントムカース装備者限定だろ~。悩むな~。」


 俺達は、転移装置から、ギルドホールへの道すがら、ギルドの名前を考える。


 いきなり、狼顔の女が目の前に現れた!


「探したっす! ここで張って居れば絶対に通ると思ったっす!」


 そして、いきなり手を掴まれる!

 ん? こんな人、知り合いに居たっけ?

 IDを見ると、ローズバトラー、レベル99と表示されている。


「あ! あの神器クエストの廃神さん?」

「そうっす! その『廃神』って呼ばれ方は好きじゃないっすけど、その通りなんで、それはいいっす! それより説明して欲しいっす! あのクエスト、一人でクリアできるような甘い物じゃないっす!」


 チッ! しっかりばれていたか!


 クエストのボス部屋の扉には、白く光る球が嵌め込まれていて、光っている時は挑戦可能、逆に光っていないと、先客が居るという事を教えてくれている。

 そして、待っている人の為に、先客がクリアして挑戦可能になった時、その球が真っ赤に激しく点滅する。全滅した場合は、青く点滅だ。


 彼女はそれで、俺がクリアした事を知ったのだろう。

 しかし、どうする?


「カオリン! 逃げるぞ!」

「え? え?」


 しかし、走ろうとしたが、俺は手を掴まれていて、走れない。

 『緊急転移の石』も、町中では使えないので、俺は諦めて立ち止まる。


「逃がさないっすよ! おかげであたいは仲間から嘘吐き扱いっす! 狼少女って言われてしまったっす!」


 なるほど、狼少年の女版ね。アバターが狼だけに。

 恐らく、彼女は仲間が来て、中には一人で偵察に入った奴が居ると説明したのだろう。


「そ、それは済まなかった。しかし、あの事は無かった事にしてくれると、その、嬉しいのだが…。その、魔が差したというか…。とにかく、あれはクリアなんてもんじゃないんだ。」

「クリアしたのは事実っす! 詳しく聞かせてくれるまでは、離さないっす!」

「ねえ、シン、その女性ひと、誰?」


 ぬお! カオリンの眉も吊り上がっている!


「彼女は、ただ、ダンジョンで出会っただけだ。IDしか知らない!」

「あたいは、お兄さんのIDすら知らなかったすけどね。へ~、シンさんって言うっすか。覚えたっす!」


 ふむ、俺の『隠密玉』の効果はまだ残っていたか。パーティーメンバーや、友達登録した人には通用しないので、カオリンや、タカピさんには無効だった。

 しかし、これはどうしたものか?

 納得するまで、離してくれそうにない。


「わ、分かった! 話すから離してくれ!」

「い~や、離さないっす!」

「う~ん、参ったな。ここではなんだし。そうだ、少し待ってくれ。実は俺達、今からギルド登録をしに行くんだ。登録したら、そのギルドルームで話そう。」


 パーティールームは、パーティーの登録者でないと入れない。しかし、ギルドルームなら、ギルドメンバーか、中に居る人が認めたら誰でも入れる。


「絶対っすね?! じゃあ、あたいもそのギルドに入会させて貰うっす!」


 うわ~、意地でも逃がさない気だ。


「え~っと、入会条件は、さっき追加された新アクセサリー、『ファントムカース』装備者だ。ローズバトラーさんのような方には無意味だと思うが……。」

「ちょっと待って欲しいっす。あ、あったっす。効果はHPがレッドゾーンになると、強制転移の石の効果…。なんか微妙っすね。うん、買ったっす! 装備もしたっす!」


 はや! 

 しかし、こういう一般に手に入る物は、ステータス画面上から、直接売買できる。便利なものだ。


「あ、あたしも買ったわ!」


 カオリンも何か圧倒されているな。


「じゃあ、ギルドホールに行くっす!」


 ローズバトラーさんが俺の手を引いて、ずんずん進む。

 カオリンは困惑顔でついてくる。

 まあ、彼女なら、今までの会話でおおよその事態は理解してくれていると思う。



「ギルドの登録申請ですね。ギルド名はどうなされますか?」


 ギルドホールに入ると、カウンターがいくつかあり、そのうちの一つで、案内バニーちゃんが対応してくれる。


「う~ん、『VRファントム』でお願いします。」


 ヴァーチャルリアリティーの幽霊という意味だが、正に今の俺だ。

 その後、入会資格とか、ギルドルームの広さとかを設定する。


「手続き完了です。」

「ありがとう。」


 視界の片隅にログが流れる。


ギルド:VRファントムのオーナーになりました。

VRファントムに入会希望者が居ます。

ID:カオリン Lv30

ID:ローズバトラー Lv99

承認しますか?


 二人共、はや!

 カオリンはすぐに承認したが、ローズバトラーさんは少し悩むな~。


「早く承認して欲しいっす!」


 振り返ると、不機嫌そうな狼顔。

 仕方ない。承認っと。



 ギルドルームに入ると、すぐに二人も入ってくる。

 やはり最低規模の部屋だと、以前のパーティールームと一緒だな。まあ、当面はこれでいい。

 俺がソファーに腰掛けると、カオリンが隣に座り、ローズバトラーさんは、テーブルを挟んだ正面のソファーに陣取る。


「じゃあ、早速話して貰うっす! え? レベル43? ありえないっす! あそこ、最低でもレベル80は無いときついはずっす。」


 ふむ、ギルドメンバーになったので、俺の情報が見られるようになったのだろう。


「う~ん、何処から話していいものか。ただ、最初に約束して欲しい。今から言う事は、絶対に誰にも話さない。なので、貴女はメンバーに釈明はできないぞ? それと、俺はあるトラブルを抱えているので、貴女が今から俺が話す事を聞くと、それに巻き込まれる可能性が高い。具体的にどうなるかとかは言えないが、それでもいいなら話す。」

「まあ、ある程度予想はしてたっす。シンさんは特殊ってことっすね。いいっす。誰にも話さないし、覚悟もできたっす!」


 彼女は腕を組んで、ソファーに深く座り直した。


「じゃあ、話そう。まず、俺はとある事情により、あの時はHPが減らない設定にされていた。これは俺の意思じゃない。管理側の勝手な対応だ。今は多分減ると思うが。」

「そ、それって、無敵じゃないっすか! しかも、管理側が絡んでいるって!」

「理由は説明できない。なので、あのクエストを一人でクリアできたって訳だ。」

「でも、それだけじゃ、納得できないっすね。あの般若のボス、レベル43のステじゃ、2時間かかっても、倒しきれないはずっす! あ、でも、アタッカーなら可能? でも、見た感じ、シンさんは、魔法担当っすよね? それに、1時間もかかってなかったっすよ。」


 うん、当然の疑問だ。カオリンも身を乗り出して来た。


「そう、そこなんだよ。俺はひたすら耐えていただけなんだ。おかげで耐性は上がりまくったが。とにかく、耐えていたら勝手にクリアされていたんだ。ちゃんと、クエスト報酬も貰えたし、アホみたいなスキルポイントも得られた。もっとも、倒していなからか、資金と経験値は得られなかったが。」

「えっと、クエスト報酬、何貰えたか聞いていいっすか? あたい達の場合は、これっす。今回はあたいの順番だったので、貰えたっす。」


 彼女はそう言って、装備している首輪を見せる。

 ふむ、『八尺瓊勾玉』と表示されている。

 ちなみに、装備品は、同じパーティー、ないしは同一ギルドの人でしか、確認できない。そして、効果までは表示されない。


「え~っと、俺の時は、まだ確認してないが、装備してみよう。」


 俺は、アイテムボックスから、『真・八尺瓊勾玉』を取り出し、首にかける。

 ぐは! 凄い効果だ!

 何、これ?!


「あ~、やっぱり違うっす! シンさんのは、『真』ってのが付いて居るっす!」


 ふむ、言われてみれば。


「シンだから、真って訳じゃ無さそうね。でも、同じクエストで違う報酬ってあるの?」

「それ、多分『コンプリート』っすね! 例えば、鬼ヶ島の桃太郎クエストだと、4人で行ったら、コンプリートになって、上位のアイテムが貰えるっす!」


 なるほど、桃太郎と犬、猿、雉、とイメージした昔話の面子でクリアと言う訳か?


「じゃあ、俺のは『真』って付いているから、その上位アイテム? ちなみに効果は『魔法系統のリキャストタイム無し』だ。」

「間違いないっすね。あたいのは『魔法系統のリキャストタイム半減』っす。」

「しかし、一人で…って、それ以前に、俺、倒してないぞ?」

「いや、きっと何かあるっす! なんか覚えてないっすか?」


 そう言えば何か喋っていたな。


「え~っと、最初に、試練を受けろみたいな事言ってたよね?」

「そうっすね。確か、わらわの試練に見事耐えて見せよ。みたいな?」

「きっとそれよ!」


 いきなりカオリンが割り込んできた。


「シンは、そのボスの試練に最後まで耐えたのよ! でも、ローズバトラーさん達は、最後まで耐えずに、途中で倒してしまったからよ!」

「え~っ! そんな事が条件なんすか? って、今気付いたっすけど、その女、誰っすか?」


 ぐは!

 当然、カオリンの眉が吊り上がる!

 そして、席を立ちあがる!


「その女って、失礼ね! あたしはカオリンよ! 言っておくけど、シンとはリアルの知り合いよ!」

「あ、確かに失礼したっす。でも、この世界、リアルの話は関係ないっす。あ、ひょっとして、彼女さんっすか? 後、申し遅れたっすね。あたいローズバトラー、ローズって呼んで欲しいっす。レベル99のガードっす。」

「い、いや、そういう関係じゃないわ。そ、そうね。あたしはカオリン。レベル32のアタッカーよ! まあ、貴女からすればゴミみたいなもんでしょうけど。」

「別にそんなこと気にしていないっす。最初は全員レベル1からっす。あたいは皆より潜る時間があるだけっすよ。」


 ふ~、一時はどうなるかと思ったが、ローズさんに他意は無かったようで、カオリンも座り直してくれた。

 ん? 何か近いぞ。


「ふむ、話を戻そう。だが、カオリンの推測は当たりだと思う。そして、最後に、『クリア』と『コンプリート』は少し意味が違うと言われ、俺はその『コンプリート』だったと思う。」

「あたいの時は『クリア』だったっす。でも、アイテムも称号もかなり良かったっすから、コンプのことなんて、忘れていたっすね。」

「そうだ、称号も貰えたな。」


 俺はあの時貰えた、『神の試練に耐えし者』に付け直す。

 まあ、予想通りだが、凄いな。もはや、完全なチートだ。

 ローズさんがつけたらとんでもない事になりそうだ。


「ちなみに、効果は『物理防御50%↑、魔法防御50%↑ 素早さ50%↑』だ。」

「やっぱりっすか。あ、あたいも忘れていたっす。付け直すっす。効果はそれの全部30%↑っすね。」


 ローズさんのIDの後ろが変わる。

『神の試練を打ち破りし者』


「うん、貰える称号も違うようだ。しかし、これ、広まるととんでもないことになりそうだな。」

「そうっすね~。しかし、あのボスの攻撃を1時間近く耐えろって、無理っす!」

「いや、割と簡単だと思う。勿論、全ての耐性を無効まで上げて、且つ、レベル99のヒーラーを揃えればの話だが。」

「なるほど、早速、仲間に教えてやるっす。シンさんがレベル99のヒーラーだったことにすれば、あたいの疑いも晴れるっす。」

「ローズさん、それはちょっと待って下さる?」


 ん? カオリン、何故止める?


「ここでの話は、誰にも言わない約束よ!」


 ぐは! 今度はそう来るのか!

 カオリン、さっきの仕返しか? いい加減ローズさんに絡むのはやめて欲しいのだが。


「いや、それくらい構わないだろう? 俺の事じゃないし。そもそも、ローズさんが居なかったら、解らなかった事だ。それに、このアイテム、無敵チートの時点で貰えたのだから、俺の力じゃない。」


 そして、ローズさんも反論するかと思いきや、彼女は素直だった。


「そうっすね。確かにシンさんの特殊な状況があって、初めて判明した事っすね。それに、この世界、情報は貴重っす。なので、これは伏せておくっす。あいつらなら、そのうち気付くかもしれないっす。」

「なんか悪いな。しかし、このアイテムと称号、どうしよう? 自力じゃないから、捨てるか? って、これ、非売品扱いで、アイテム欄からは売れないな。称号は元々無理だが。」

「そうね。でも、シンにはそれを受け取る資格があると思うわ。」

「え? カオリン、何でだ? チート無ければ貰えなかったのは、確かだぞ。」

「だからよ。あなた、何を支払って、そのチートにされたのか、覚えていないの?」


 カオリンはそう言って、目を伏せる。


 うん、言われて見れば、確かにそうだ。

 俺は肉体を失った代償として、不死身にされたのだから。まあ、今は少し違うが。


「分かった。じゃあ、これは有効に使おう。それで、ローズさん、貴女はこれからどうする? 疑問も晴れたかと思う。まあ、まだだと言われても、これ以上は話せないが。」

「そうっすね。確かにまだ謎はあるっすけど、それを聞くのは反則っすね。なので、シンさんから話してくれるようになるまで、ここにお世話になるっす!」


 へ?

 てっきり、ギルドの退会申請をして、出て行くと思ったのだが?


 これにはカオリンも驚いたようだ。


「あ、あの、ローズさん? 見ても分かる通り、あたしはレベル32、シンだってレベル43よ。そしてこのギルドはまだこの3人だけ。貴女に釣り合わないわ。と言うか、あたし達、単なる足手纏いよ?」

「別にそんな事気にしないっす。何なら、あたいがパワーレベリングしてあげるっす。それより、あたいは気に入ったっすね。最高難度の報酬アイテムをあっさり捨てようだなんて言える人、そうそう居ないっすよ? うちの連中相手だったら、今の情報交換すら無理っすね。」


 ふむ、情報は貴重って奴か。


「う~ん、確かに現状、俺とカオリン、それと、後一人来てくれるかもで、それでも3人。なので、ローズさんが加わってくれるのなら、とても嬉しいけど。本当にいいの? 俺も、これ以上を話す事はまず無いぞ?」


 うん、これ以上、他人を巻き込みたくはない。


「理由はさっき言った通りっす。連中と居るより、ここの方が面白そうっす。絶対にレッドゾーンに突入させずに狩るって方針もいいっすね。」


 う~む、何を勘違いしたか知らんが、これはこれでいいのか?


「分かった。じゃあ、ローズさん、これから宜しく。後、俺の事は呼び捨てで構わない。カオリンもそうだし。」


 俺が手を差し出すと、握り返してくれた。

 狼顔とはいえ、女性だとやはり少し照れるな。まあ、女って保証は全くないのだが。


「呼び方は、あたいだけ呼び捨てでいいっすよ。シンさんはギルドオーナーっすから。それと、あたい、多分っすけど、この中じゃ最年少っす。17歳っす。」


 ふむ、彼女が自分が最年少だと言った意味は理解できる。

 平日のこの時間ログイン出来るのは、普通、大学生以上だ。


「分かった。じゃあ、ローズ、改めて宜しく。ちなみに俺は22歳だ。」

「はいっす。シンさん。」


 すると、今度はカオリンがローズに手を差し出した。


「あたしもカオリンと呼び捨てでいいわ。年も近いしね。宜しく、ローズ。それと、そ、その、さっきのは、別に意地悪じゃないのよ? ちょっと警戒していただけなの。」

「別に気にしてないっすよ。カオリン、宜しくっす。」


 ん? カオリン、歳は21で、ローズよりも俺に近いだろ?

 まあ、握手しているし、問題なかろう。

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