第37話
こうして高坂は琴音と共に女性刑事の元へと向かった。入り口では、琴美を座らせた女性刑事が待機していた。高坂は駆け寄る。
「職員の者です」
「わざわざすみません。よそ者の私が中まで入ることはあまり世間体の良いものではありませんから」
「いえ。滅相もございません。こちらこそ、わざわざ二人を送り届けて下さり、ありがとうございます」
「いえ。それでは、お手数をお掛けしますが、こちらにご記入頂いても宜しいですか?」
「はい。ええと…」
高坂は不慣れな手つきでボールペンを走らせる。
「これで良いですか?」
「はい。ありがとうございます。それでは私はこれで。琴美ちゃん、吐き気と頭痛と腹痛があるみたいなので、少し様子を見てあげてください」
「分かりました。事情聴取って、いつあるんですか?」
「そうですね。ええと…出来れば明日、少なくとも明後日には一度警察署までお越し頂きたいのですが、宜しいですか?」
「琴美ちゃんの体調も併せて判断しますが、なるべく早めに伺うようにしますね」
「そうですね。こちらからは特に時間設定はしませんので、いつでもいらして下さい」
「分かりました。必ず伺います」
「それじゃあね。琴音ちゃん。疲れただろうから、早く寝るのよ」
「うん。そうする。お巡りさん。今日はありがとう。さようなら」
「さようなら。それでは、失礼します」
女性刑事は深く一礼すると、パトカーに乗車し、夕暮れの道を走っていった。高坂と琴音は外に出て、パトカーを見送った。パトカーが見えなくなると、高坂は琴美をおんぶし、琴音の手をとると、脱衣所に向かった。
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