第11話

琴音は着いてすぐに公園のベンチに鞄を下ろした。近くの家から聞こえるピアノのメロディが琴音の耳を通り抜り抜け、踊るように消え去る。まるで、妹が天国ではしゃいでいるかの様に。ダメだダメだ。琴音は邪悪な考えを振り切る様に頭を振る。琴美はまだ天国にはいない。いてはいけないのだ。でなきゃ、パパもママも私を責める。何で助けてあげなかったのって。妹だって、なんでお姉ちゃん助けてくれなかったのって泣くに決まってる。私のせいで、皆が泣いちゃう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る