第5話:初陣
魔物のスピードに
自分も剣を構えたが、獲物を狩る野生の動物と初めて対峙した
草の揺れる音一つ一つに動揺し、持っている剣のカチカチカチと震える音が妙に大きく聞こえて、心を
そうしている間に、一人の男が叫ぶ。
「
指示に
「……
その様子を見て、熟練者が
「ダ、ダメだ!! こんな速い相手に、密集するな!」
大声の主は、自分だった。何故か分からないが、とても嫌なイメージが浮かび無意識で叫んでしまったのだった。
集合を指示した男はこちらを
「はっ、ろくに戦ったこともねぇガキが! ふざけたこと言ってんじゃねぇ!!」
「来るぞ!」
集団になった者達の方へ、
「盾持ち! 前だ! ヤツの突進を止めろ!!」
大きな盾を持った男が、魔物の前に立ち塞がる。
「奴の動きを止めて、
盾を持った男の後ろに数人が集まり、
同時に、目の前の
それを見た彼らの目は、絶望に染まった。
現れた
「側面?! もう一匹! 間に合わん、避けろッ!」
一斉に回避を行おうとした彼らは、密集した中で、思うように身動きがとれなかった。
そして、ゴキッと
突進を受けた男は、ゴフッと、大量の血を口から吐き出しながらも、突っ込んで来た
「ダ、レかぁあ、さっさ、と、コィツに、と、どめ……を」
周囲に居た者が、すかさず抱え込まれていた魔物に剣を突き立て、息の根を止める。
盾に突っ込んで来た方も、激突した衝撃で動きが鈍っていたところを、周りの者が止めを刺していた。
突進が直撃した男は、呼吸にヒュー、ヒューと音を交えながら横たわっていた。肺が破裂し、上手く呼吸が出来ない彼の眼からは、みるみると色が失われていった。
※※※※※※※※
相変わらず握った剣の震えが収まってくれていない自分の眼前には、一匹の
目から怯えを感じ取った魔物は、こちらに襲いかかってきた。
飛び掛かる敵をギリギリで回避したが、少し
「……なにビビってんだ? やらなきゃ、やられる……、だけだろうがぁぁ!!」
フーっと息を吐き出すと、剣を構え直し、再び魔物と対峙する。その剣からはピタッと震えが止まっていた。
それを体を少し反らして回避しながら、剣を突進の
ハァと、息を吐いて緊張を
「油断するな!! まだ死んどらん!」
大声に反応して、咄嗟に飛び退いた瞬間、今まで首筋があった所を、
慌てて剣を構え直した先で、魔物は
最後の力を使った不意打ちに、息は上がり、額からも大粒の汗が吹き出していた。
※※※※※※※※※※
「
「死亡が一、
「
「……無理だ。恐らく、数日持つまい」
端的に告げられた状態に、ダンも黙って応える。
「とにかく、ここを抜けよう。血の臭いがしすぎとる。
そう言うと、一団は再び動き出した。
初めて魔物と対峙した自分も、鉛のように重い自分の体を動かして歩き始めると、村の元冒険者に声をかけられた。
「お前、
「いや、たまたま攻撃が当たっただけです。それに、もう少しで死ぬとこでした……」
「お前さんは生き残った。そいつで十分だろ?それにお前さん、いい目を持ってる」
これからも頼むぞと男が離れていき、一人になって、改めて魔物との戦いを振り返る。
そこには、不思議と勝利の
腕の傷を
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