Absurdity

How_to_✕✕✕

プロローグ:日常

「もう嫌だー」

欲望アギトは叫んだ。

彼は物影に隠れるようにしながら身体を小さくしていた。

「どうした?」

隣で飄々とアギトに質問し爪に紫色のネイルを塗るアザミ

「いやいやどうしたも何もアザミちゃん! この状況でよくネイル塗れるね」

そう言ってアギトが顔をあげアザミに叫ぶ。

そのすぐ横を無数の銃弾が飛んでいた。

「おいコラァ、隠れてないで出てこんかい!」

分厚い壁の向こう側にはガトリングガンを手にしチンピラのリーダーが叫んでいた。

「ほらー、探してるじゃん。しかも依頼の時と話が違うし! よりにもよってこの界隈のボスなんだよ」

アギトは怒っているのか、泣いているのかわからないような声をだし言った。

「ピーチクパーチクうるさいぞ、アギト」

アザミは爪を塗り終えたのか、赤く塗った自身の爪に息を吹きかけ乾かしていた。

「アザミちゃん、状況わかってる?」

「わかってるさ。騒いでもしょうがないだろ」

アギトが叫ぶように言うとアザミはサラリとそれを受け流す。

アザミはマニキュアをどこからか取り出したポーチにしまう。

「そんなに騒ぐなら「スナッフ」と「レム」解放しちゃえば?」

 アザミはアクビをしながら興味なさそうに言った。

「アザミちゃん、他人事だと思って簡単に言わないでくれるかな?」

 「実際、他人事だろ?」

アザミは胸に手を突っ込んだ。

アギトはアザミのはだけた浴衣の間から見える胸元に釘付けになりながら生唾をのんだ。

彼女は刃渡りが大きなハサミを胸元から取り出した。

ハサミを片手で持つと帯の間から取り出したナイフをもう片方の手で逆手にして持つ。

「いつでも私はオーケーだぞ」

アザミは眠たげな目をしながらアギトに向かい言った。

「だから俺は戦闘は・・・・・・」

アギトがアザミにそういいかけた瞬間、分厚い壁の向こうから声が聞こえた。

「おぅ、なんだ? 男は腰抜けか?

 どうせ女の胸のなかで怖いよーとかいいながら泣いてんのか?」

チンピラのリーダーがそうバカにしたように言うと周りの手下達は笑い声を上げた。

それを聞いていたアザミはアギトに言った。

 「バカにされてるぞ」

言われたアギトはうつむくと、両手を腰にやる。

「スナッフ」と「レム」を取り出し、口を開いた。

「三分で終わらせる」

アギトは眉間に皺を寄せ、歯をむき出しにしながら言った。

「くれぐれも殺すなよ」

アザミは立ち上がりながらアギトに言った。

「雑魚は知らん。標的は一発ぶん殴る」

アギトも立ち上がりながら言った。

「じゃあ、雑魚は私に任せろ」

アザミは艶やかに赤く染まった舌でナイフを舐める。

「頼んだ」

アギトは首をコキコキと鳴らす。

「じゃあ、先いくぞ」

アザミはそう言うと立ち上がり、分厚い壁の向こうに踊りでる。

チンピラたちは一気に銃を構えるが、アザミの姿を見てすぐにおろした。

「見ろ、男は腰抜けだ」

チンピラのリーダーはギャハハと笑いながらアザミを見て言った。

アザミはゆっくりとはだけた胸元を強調しながらチンピラのリーダーに見せるように前屈みになる。

チンピラリーダー、手下たちの目線はアザミの胸元へ。

「へへへ」

リーダーと手下たちが気持ちの悪い笑い声をだす。

「おい、姉ちゃん!脱げぇ」

リーダーが興奮しながら下衆な言葉を発した瞬間だった。

「あいにく私は安い女じゃない」

アザミは一言発し、両手を手下たちのほうへふる。

次の時には手下たちの目にナイフ、ハサミ、カッター、包丁、メス一人一人、それぞれの刃物が刺さっていた。

「「ぎゃああああああ!」」

一撃で絶命したものもいれば一命をとりとめ、悶絶し叫ぶものもいた。

「てめぇ、この○○」とチンピラのリーダーがアザミに向かい叫んだ瞬間、

アザミの後ろのほうからアギトが飛び出した。

「誰が腰抜けだこの野郎!」

アギトは両手に「スナッフ」と「レム」を構え、引き金を引いた。

アギトとアザミ。

二人の日常は銃と刃物によって成り立っている。

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