奇跡、切り札は探偵(あいつ)だけ

 わしが、わしらこそが魔法少女の毒島久子ぶすじまひさこじゃ。

 若人わこうどよコレが絶望じゃ、これがターンENDじゃ。


 3本の矢作戦が失敗し、わしの心と体はボドボドなのじゃよ。



 その後はというと世界を救いつつ、白寿はくじゅを迎えるまでひたすら光ネットでチェスをしたのじゃ。ゲームの神とやらに勝って、異世界転生なるものを目論んでの。

 さすれば、魔法と剣のある世界に行って若返りの魔法を習得し、格好を魔法少女にすれば魔法少女じゃろ?


 結果といえば、惨敗じゃったよ。勝率2割もいってないじゃろうの。

 のちに知った事じゃが、勝ってもゲームで物事を決める世界にアイキャンフラーイするだけじゃった・・・・・・。



 での? 歳も3桁となる日が近づき、流石にピチピチのナウなヤングのギャルとは言えぬ年頃になって来たある日の事じゃった。













 もう、ピチピチのナウなヤングのギャルでもねぇよ。って思ったやからはそこに並べ。罪を数えさせ、PCのデータを大放出祭してやるからの。





 おっと脱線してしまったの。探偵からの電話が掛かって来たのじゃ。マスコットのような生物を捕まえたとの。


 何を言うておるのじゃ。ただ発見するだけじゃだめじゃぞ。ちゃんと捕獲して来いと言うたであろう。これだから探偵は・・・・・・うん?




 捕まえたじゃと!?


 流石探偵じゃ! でかした!! わしは最初から信じておったぞ!

 探偵だけが頼りじゃとな!! ほ、本当じゃぞ!!



 もはや、シャバドゥビタッチへんし~んなければ生き残れないわしは、へんし~んして愛用の◯ANTZバイクで駆け、フィールをほとばしらせながら探偵の元へと向かったのじゃ。

 

 道中、決闘竜デュエル・ドラゴンを掛けライディングデュエルやアクションデュエルをしておったが別の話じゃ。




 での。わし、参上。したわけじゃよ。現場に。

 するとの。本当に居るんじゃよ。黒いマスコットみたいな生物が!!

 もうの、わしテンションが上がり過ぎて一度心肺停止してもうたが、なんとか蘇生してもらったの。


 切り札は常にわしのところに来るのじゃよ。


 などと格好をつけつつな、また心臓が活動停止してしまったら大変じゃからの。早速、魔法少女にしてもらおうとしたのじゃ。

 するとの? 何か問題があるとかトランス・Sがほざくのじゃ。あ、マスコットの名前の。

 もう面倒だし、わしの寿命もテンションでマッハじゃからの。些細な事はいいと言ったのじゃ。


 するとの。渋々ではあったが力をくれたのじゃ。なんか湧き上がってくる高揚感! 力! 精力!


 魔法少女のパワーは素晴らしいぞ。と叫びたい状態じゃった。

 童心に帰った心持ちでの。メイクアーップとか言ってみたりしての!

 

 変身したんじゃよ!!!
















 じじいの体にの!!!!!!!!!!!!!


 なんじゃこりゃあああああああああああああ!!!!!!!!!!!

 


 その後、詳しく話を聞くとの。あやつの力は同年代の異性に魔法少女もしくは魔法少年としてへんし~んさせる力のようでの。

 性転換させ変身させる力みたいでの。


 結果、誰得TSの完成じゃ。名前の時点で気がつくべきじゃったの。

 わしの馬鹿馬鹿馬鹿ぁ!

 

 わしはの、悲しかった。とても悲しくなった。




 


 じゃから、コンクリートで固めて海に沈めてやったわ!

 清々したわ!! カー、ッペ!!










 ・・・・・・絶望からかの。落胆からかの。悲しさからかの。悔しさからかの。

 なんとか耐えておった体が、アレだけ元気じゃった体がの。糸が切れた人形のようになっての。思うように動かなくなったのじゃ。


 流石にこうなってくると死を覚悟するもんじゃ。

 じゃけどの。後悔はないぞ。楽しかったからの。夢を最後まで追えて最高じゃったよ。


 最後にじじいの体とはいえ、変身出来たのはいい思い出にはならんの。あれは悪夢じゃ。忌むべき記憶じゃ。消すべき記憶じゃ。



 でもやっぱり、最後に一度くらい魔法少女になりたかったわね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法少女になるために 猫缶珈琲 @ko-hi-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ