第5話 デート!もといピクニック
「今日はいい天気ですね、師匠」
セルからのデートのお誘い…もといお出掛けしに、少し家から離れた川沿いを歩いている。今の時期だと花が綺麗に咲いていてデート日和だ。
「うん。この花たちがバックにセルを拝めることができて嬉しいかぎりだよ」
「…………何を言ってるのですか……」
「やっぱりカメラを持ってくるべきだったなぁ。この瞬間にもセルの可愛さが溢れてる……!」
「…軽くスルーしないで下さい」
そう言って頬を膨らますセルが本当に愛らしい。いや、ホントになんでカメラ忘れたんだろう。
川沿いには綺麗な花以外によく分からない草木、子供たちの笑い声が響いている。つくづく子供は元気だなぁ、と思う。僕もそんな時期があったかと思うと、年を取ったなと改めて感じる。
「師匠、あの辺で休憩しませんか?」
セルが指した方向は大きな木が立っているところだった。日差しが強い訳ではないが、ずっと同じ所にいると暑くなってくるから、場所的には丁度いいだろう。
「師匠、お茶飲みますか?それとも早いですけどお弁当にします?あ、レジャーシート敷くので少し待ってて下さい」
「……」
パッパッと作業をしていくセル。
弟子の手際が良すぎて何も言えない……。え、この子本当に僕の弟子??実はセルの真似した誰かだろう!
いやいやいやいや、そんな訳ないでしょ!!僕はセル大好きフィルターがかかっているから見分けぐらいつくし!!
「……?どうしましたか、師匠?何かついてます?」
「いや、何でもない。お腹もなんとなく空いたし、早いけどお昼にしようか」
はい、と言ってセルは素早くお弁当の袋を取り出す。
お弁当のオカズなんだろう……。卵焼きやウインナーは定番メニューだよね。セルが作る料理はお世辞抜きで本当に美味しくてたまらない…!!僕もセルが来る前までは自炊していたが、そんなに美味しいとは言えなかった。最近では、難しい料理も習得しようと頑張っている姿を見かける。
ふと、少し離れた木々の下にいる人物を発見した。遠くてあまり見えないけれど。
……ふむ。どこかで見たことあるような、ないような……。
「よし、準備もできたし。師匠、お昼にしま……、どうしましたか?」
「……ん?あぁ、ごめん少し考えてたんだ。うわ、おいしそうなオカズがいっぱい入ってる!!」
ぱっとセルの方に向き直る。
デート中に他の人のことを考えちゃダメだ!今はセルだけを、だけを……。
……はわ!!!///////セルが、セルが!!こっちを見て僕を見つめてる!!なんて可愛いんだ!!!お兄さん鼻血出してキュン死しちゃうよ!!今この瞬間脳内カメラでセルを連写してる!!弟子が可愛すぎる件について……!!
「えっと、あの……」
「は!ごめん、セルが可愛すぎて成仏するところだった」
「あ、通常運転で良かったです。お弁当、師匠のお口に合えばいいのですが……」
弟子はツッコミも上手になってきたようだ。それはそれで良い!
それにしても、僕を心配するセルも相変わらずかわいいなぁ。なんだかおばあちゃんが孫を可愛がる気持ちが分かるな……。
師匠と弟子の不思議な関係 紫桜 黄花 @usamahura-flute
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