第1話 セルの悩み
成り行きでなった僕の弟子、セルはとても優秀……、いや、天からの授かり物が爆発するぐらい能力が飛び抜けている。
要は、師匠の僕より遥かに賢いということである。
そんな可愛い優秀なセルに、僕は日々師匠として胸を張りつつ、内心はいつ抜かされるのではとビクビクしているのだけれど・・・・・・。
最近、セルの様子がおかしいのだ。おかしい、というより僕を目の前にしたら、目を合わせてくれない。
これって拒絶反応!?もし、それで失踪でもするなら悲しくて生きていけない。セルのいない世界は生きていても詰まらない。
まぁ、目を合わせない以外は普段と変わらないから気にしてるけど、気にしてない。僕の心が痛いだけだし。
話がズレタけど、目をそらすってことは何か僕に隠し事か何かだろう。
うん、絶対そうだよ!(確信)
別に秘密の一つや二つぐらい誰だって持っているから気にしなくていいと思うのだけど。
そんなことを窓越しで思いながらボーッとしていると、目の前に噂のセルが通った。え、何?独りで思いに耽っていたから、噂じゃないって?そんな細かいことは気にしたらいけないよ!
僕の悲しさを露ほど知らないセルを呼び止めた。
「セルー!」
驚いたのか、普段から大きい瞳がそれ以上に見開いた。あ、可愛い。
「な、何でしょうか…。師匠」
やっぱり目を合わせてくれない。悲しいな。
「うん、悩みでもあるなら僕に相談して欲しい。仮にも僕は君の師匠だ。独りで抱え込まないで欲しい」
僕を見ない俯きセルも可愛いんだけど、見飽きてきたよ。正面の可愛いセルを見たいよ。
「あ、もし恋愛相談ならいつでも乗るから安心して!」
そこの貴方!逆に安心出来ないとか言わない!
「そうですか……。ですが今のところ悩みなんてありませんから。気にして下さり、ありがとうございます」
「……うん。そっか。……何かあったらいつでも僕の所に来ていいから。引き止めて悪かったよ……」
「いえ……。失礼します」
そう言って去っていくセルを見送る。
セルが暗いと僕まで暗くなるよ。
僕の唯一の弟子。師匠の僕より優秀で、宇宙一可愛くて、真面目で、たまに天然かと思ったら一枚上手で……。
一緒にいることが当たり前になってきたのは、いつからだったかな。
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