ジロロモーニ

tom

第1話ジロロモーニ


ジロロモーニ


tom


2018/08/12 13:02

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ジロロモーニが睨む。

今から私の貪欲な食欲のトッピングにされる運命に有る彼は、何故か強気の視線を私に向ける。


私は考える。

怖くなはないのだろうかと。


私が朝食のサラダに、間食の鯖缶に彼をふりかける度に彼は減る。

よくわからないが彼は、私に雑に扱われ存在を蔑ろにされるにつれて表情を柔和にさせた。


ジロロモーニの量が半分になりなった時、彼の年齢もまた半分若返った。

彼はハンサムで、たっぷりの脂質から成るカロリーと栄養を含んでいた。


私は彼が美味しかったからあらゆる場所に彼を連れていき、色々な食材と番わせた。


彼は全てのパートナーと相性がよく、プレイボーイだった。

私は自信に満ちた、彼自身のパケージデザインはなるほど、功をなしていたのだなと関心した。


ジロロモーニが100mlをきった時、私は彼の最期の相手を誰にしようか考えた。

私は彼が最高のマリアージュを経験して終われるよう協力した。

彼の最期にふさわしい候補をPCにタイプし、言語化しながら可能性を探るように文字に起こした。

だがそうした行為は虚しく、候補は一向に現れなかった。

私のタイプは目的地につくことなく、意味もなく乾いた音を私とジロロモーニが存在する空間に響かせただけだった。


無意味な行為に疲れた私は原点に戻り、右脳を働かせ直感の力を持ってして彼を看取ろうと試みた。


タイピングを辞め、存在価値を持つことがなかった食材リストを惰性で保存すると、PCと共に目を閉じた。

私はそう長くはなかったけれど、しっかりと彼のパートナーを考えた。

けれども私の右の脳は左の脳と同じように鈍く、彼の伴侶を見つけ出すことが出来なかった。


全てを諦め、時の解決に逃げた私が目を開けると、

そこには無くなったジロロモーニが横たわっていた。


プレイボーイな彼は誰と合わさることもなく、孤独に死んだのだった。

彼のことを思いながら、コンビニで買ったハイボールに侵されタイピングに夢中になる私の、右手だか右肘だかに殺されたのだ。


閉じたPCの傍らで横たわる、無念の死を遂げたジロロモーニが私を睨んだ。

鋭い眼で睨まれ、弔いの気持ちを喪失した私はおもむろに、彼の身体を反対に向けた。


私の右手に、彼の脂ぎった血が纏わりついた。


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ジロロモーニ tom @lima128

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