第43話 現状把握
「⋯⋯そんな事より状況を教えて欲しい」
怒りにプルプル震えるマックスを放置し、紋章官に尋ねる。
「そんな事とは!」
「マックス!控えなさい!」
流石に母上様が怒った。躾はキチンとして欲しい。空手形で交渉する様な大人になってはいけません。
「⋯⋯まずダンダム辺境伯は逆賊に討たれた」
淡々と説明してくれる紋章官。どうやら反政府軍?は怪我で静養していた三男を担ぎ上げてダンダム領主を討ったらしい。王都方面の宿場町も反政府軍に抑えられていたためマガラに向かったとの事。
一応、三男を神輿に担いでるのか⋯⋯ドロドロしてきたな⋯⋯。
「この場合はどうなる?」
「三男が当主を継ぐのは内情を知った私がいる限り不可能だ。統治できていないと見なされ、家は取り潰しだろう」
びくりと肩が震えるダンダム親子。と言う事は紋章官も命を狙われてるのね⋯⋯。
「マガラ士爵の加勢でダンダムを奪還したとしても、現状ではマガラ士爵が手助けしたのではなくマガラ士爵が奪還しただけであるので北方守護の役は不適格として剥奪。マガラ士爵が陞爵され役を任じられる事だろう」
どんどん暗い顔になっていくダンダム親子だが、こちらとしても村開発してる所に役職だとか陞爵だとかは御免被りたい。
「⋯⋯加勢無しで解決できれば?」
「その場合はただのお家騒動としてお咎めなしではあるが⋯⋯」
ふむ⋯⋯。
「マクシミリアン殿。魔術士にならないか?」
「⋯⋯は?」
マックスは呆けた顔だ。
「魔術士ならば逆賊を蹴散らしダンダムを奪還できるだろう?」
「⋯⋯魔具は騎士団長と共に失ってしまったのだ」
苦虫を噛み潰したような顔で言った。
「取りに行けばいい」
何言ってんだコイツの顔になった。コロコロとよく変わる顔だ。
「その手伝いならやってもいい。いずれ間引きにも行かなければならないと思ってたしな」
「で⋯⋯できるのか?そんな事が」
「やるしかないんじゃないのか?」
「ぐっ⋯⋯」
チラチラを母上様に助けを求めるが母上様は疲れ切った面持ちで静かにマックスを見つめるだけだ。
「我が魔術士に⋯⋯」
何か急にニヤニヤし始めた。大丈夫かなコイツ。
「よし⋯⋯やる!やるぞ!我は魔術士になる!」
「ダンダム傭兵団は俺の配下という訳ではないのでそちらにも助力を頼むなら別途交渉するといい」
「そ、そうなのか?」
「はい。見事、魔術士と成られた暁には我らダンダム傭兵団、喜んでダンダム奪還に尽力致しましょう!」
珍しく敬語の団長がにこやかに答えた。裏を返すと勝てない戦には協力しないよって事だな。俺もそんな素敵な敬語を覚えたい!
「エメリーヌ殿とマクシミリアン殿はしばらくは逗留するとして、紋章官殿はどうする?」
「一刻も早く王都に戻りたい所ではあるが⋯⋯」
ダンダムを迂回して道無き道では帰るのにも10日じゃ済まないし補給も問題か。
「しばらく逗留するといい。ダンダムは1週間以内に決着させる」
最悪介入すればいいし。
「⋯⋯しばらく世話になろう」
相変わらずの不機嫌顔で頷いた。
風撃の魔具が落ちてる前提で話進めちゃったけど⋯⋯無くなってたらどうしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます