2章 領主編
第39話 ゴブリン村の日常
領主となって1ヶ月が過ぎた。
度重なる周囲一帯の威圧行動で、今ではこの村も人口が75名になり、林業を主要産業として活気が出てきた。
城塞都市ダンダムの旺盛なエネルギー需要は衰える事なく、北の山で伐採した木材をガンガン購入している。朝晩は炊煙でダンダムが霞んで見えるほどだ。
当初は高速荷車で木材を売りに行っていたが、最近は商人が買い付けにやってくるまでになった。
こちらとしても薪用から建材用までラインナップを拡充中だ。炭焼きにもチャレンジしてみたい。
農地開拓も順調で米はまだまだ時間がかかるがそろそろ葉物野菜は出荷できるだろう。
爆撃しまくって開拓した農地は既に10haを超えている。百人1年分の米が取れる百石相当な筈だ。先は長いが今の10倍にはしてタンダムの食糧庫ポジションまでもっていきたい。灌漑も土木魔法と剣先スコップで整えている。
人口の殆どを占めるゴブリンさん達の取り纏めはダリが務めてくれていた。隻腕なので探しやすい。
ゴブリンさんは群れの強者に従う性質が強いらしく、とても真面目に働いてくれ不平不満も今の所無い様だ。何でもゴブリンさんは感知に近い事が出来るようで俺は「凄まじい力を内包した人間」なんだそうな。常時マナを回しているせいだろうか?ダリがやたら忠誠度高い事に納得しつつ好都合なので放置だ。
防衛についてもゴブリンさん達が昼夜問わず活躍してくれている。ゴブリンさん様様だ。
ようやくゴブリンさんの区別がつくようになってきた。
そんなこんなで、商人さん達にはすっかりゴブリン村呼ばわりされている。
そして俺もゴブリンキング⋯⋯略してキングと裏で呼ばれていた。何時からゴブリンキングダムになったんじゃーいと多少業腹ではあるが最早ゴブリンさんが居ないと生きていけないので甘んじて受け入れる事にした。
サーラちゃんには魔具の指輪を試してもらったりしているが芳しくない。
下丹田のマナ回しはある程度出来ているので行けるかなと思ったけど、頭痛酷くて使えないらしい。酷い時には戻してしまう。
ごめんよサーラちゃん。そこまで頑張らなくていいんだよ。
起こる事象が理解できないと魔術魔具をマナで扱えない辺りが俺のチートなんだろかと考えつつ、目に見えない物を教えれる程の語彙もなくちょっと諦め気味だ。土木魔法も厳しい。火球魔術みたいな魔法も発現できず。
サーラちゃんは相変わらず物静かだけども、子供らしくふっくらしてきて少し身長も伸びた様だ。この頃の子供は成長著しい。
俺の最近の日課はサーラちゃんにお手伝い(見張り役)してもらいながらの柵作りだ。
天気の良い日は、荷車で木の先端を尖らせただけの杭を運び、汗を流しながらひたすら杭を打つ毎日。
ダンダムから歩いて3時間の所に村を伸ばしている。そろそろ「ここから北は全て我が領土だ」宣言をしようと思う。ダンダムが半日の距離は遠いのでこちらから寄せていく作戦だ。
「主様ぁ~!大変ですだぁ~!」
血相を変えたダリがこちらへ向かって駆けてくる。ちょっと顔が怖い。
「どうした?敵か?」
「敵ですだっ。東の森で敵ですだっ」
⋯⋯川の向こうか。
木の伐採はやり過ぎると禿山になってしまうので川を渡った東の森にも偵察部隊を送っていた。
「ゴブリンか?」
「違うらしいだす」
「⋯⋯不味いな」
ゴブリンさんと森で遭遇してしまったら俺でも問答無用で攻撃してしまいそうだ⋯⋯。
東の森を見やると接敵を報せる狼煙が頼りなげに立ち昇っていた。
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