第28話 魔具を求めて
失意のまま眠った翌朝。
よーし。切り替えてこー!
ネガティブに考えても時間の無駄!
城を強襲してもサーラちゃんが危険だし。
この怒りをダンジョンにブツけよう!もう自重はやめるぞジョジ◯ー!
速攻で魔具取ってくる!
そして、サーラちゃんが酷い扱いを受けてたら滅ぼす!
丁重に扱われてたら士爵として紐付きになってやってもいい。
コレで行こう。
昨日城から追い出された時に懐にねじ込まれてた褒美の金貨を使って装備を整える。ついでにショートソードも2本買う。2本差し。
その後、傭兵団詰所でダンジョンと魔具について聞き漁る。
要約すると、ダンジョンの最奥の部屋で初回は大体魔具が発掘できるらしい。魔具の場合ボスを倒すと魔石の代わりに地面から魔具が出てくる。その他の部屋のボスからは極稀に魔具が出る。ボスかどうかは1部屋に1体だけなのがボス。
⋯⋯ボス戦は避けられないのか。厳しいな。
ダンジョン街に向かう事を伝え、ダンダムを出る。
人が居ないところまで走ったらもうね。⋯⋯俺、飛んじゃうから!
加速付きジャンプし、直立不動で左足のみに体重を預け、水平になりそうな所で更に2段目加速!
左アクセル右ブレーキの使い方に慣れ、何度かの危険を乗り越え、打撲も負いながら僅か2時間でダンジョン街に到着。
方向転換が途中で出来ないの辛いな。体勢変更は足動かせば可能ではあるけど。
一応、こっちの傭兵団詰所にも「閃撃、魔具取りに行ってくるから!」と一報を入れ、保存食と水、石ころを持っていざダンジョンへ。
今回は高速移動で道幅の広いメインルートのみを駆け抜けボス探しだ。
敵は無理に倒さず飛び越えるッ!
⋯⋯なんて思っていたけどメインルートは人が結構いてトレインになってしまう。しょうがないので普通に歩いて進む。
敵も少ないので30分くらいでお馬様部屋に到着。
お馬様が再臨していてこの先には誰も行っていない様だ。部屋からは出てこないんだな。
飯休憩してると何人かやってきては挨拶して戻っていった。無理して挑む理由は無いもんなぁ⋯⋯。
お馬様の湧く頻度を聞いたら3日くらいだそうだ。
袋から石ころを出す。
前回で、それほどアホみたいな硬さは無い事が分かっているので掌底メテオで行きます。落ち着いてやればきっと大丈夫。
入り口をゆっくりと潜り、視線を切らずに左の壁側へ寄る。
お馬様はこちらと目が合うと蔑む様な視線でフンと鼻息一つ吐き、優雅な佇まいから一転⋯⋯牙を剥きだし野獣の咆哮を上げる!
隙ありっ!
「メテオストライクー!」
気の抜けた技名とは裏腹に轟くソニックブーム。
掌底突きの延長線上を飛翔する赤熱した石ころは、狙いと若干外れ奴の左半身をごっそり抉り取って壁に着弾した。
反動はあるものの怪我という程では無い。もうちょっと威力を落としても大丈夫そうだ。
⋯⋯というか威力落とさないと耳が痛い。クラクラする。
半身となったお馬様には申し訳ないけど、ソロだし急いでるんで開幕で終わらせてもらった。
⋯⋯やっぱり魔石か。
そしてレベルアップもしないな。
俺は通路の石壁を蹴り飛ばし、迷うことなくその先の前人未到エリアに足を踏み入れて行った。
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