第23話 新技開発
サーラちゃんは相変わらず無口で無気力な状態が続いている。夜になると無言のまま怯えて震えているか、泣き喚くかのどちらかだった。
メンタルケアの方法なんて分からない。
ただ優しく抱きしめて背中をポンポンしたり頭を撫でてあげるくらいだ。
どれだけの目に遭ったのだろうか。想像はつくが体験はできない。
親の死、強姦、人として扱われない日々は、日本ならまだ小学生の子供なのにどれほどの心の傷を負わせているのだろうか?
今もまた、絶望は一先ず去ったのだが気が付いてくれているだろうか。
⋯⋯ようやく眠ってくれた。
まだ幼いサーラちゃんだが衣食住だけでは足りない。
養っている俺も何時どうなるか分からない世界だから1人でも生きて行ける術も必要だ。
伝授してみよう。
⋯⋯俺の土木魔法を!
できんのかな?
とりあえずサーラちゃんと両手の手と手を繋いで、左からちょっと吸う!右からちょっと出す!
おぉー。なんて言うか「ずもももも」と表現すべき感じでマナが動いていく。粘度の高いマグマみたいだ。
流れる感じにはならないな。
ダンジョンに連れて行ってレベル上げしたら流れる様になるんだろうか⋯⋯。
苦しそうな素振りも無いので両手両足で毎晩少しずつ継続してみよう。テンプレの仲間強化チート(仮)だ。
でも俺の魔法は使い勝手悪いんだよなー。間違うとすぐ怪我するし。
バリア的な魔法とか身体強化魔法とかがあると良いんだけども⋯⋯。
そう言えばダンジョンの魔物ってそれなりに硬いけど魔素の塊で実体無いのに硬いのは何でだろう?もしかして魔素は硬く出来る?
コレは要検証の要実験だな。また試行錯誤と言う名の長い闘いが始まる⋯⋯。
翌日、まだ懐は暖かいものの実技で訓練しなければならないものがあるので午前中からダンジョンで間引き。
そのうち、領主のご命令だ!とかなりそうなんで槍の名手に見せ掛ける技も習得せねばなるまい。
本日の訓練テーマは連日の地団駄踏みでヒントを得た「縮地」だ。
解説しよう!
なんちゃって「縮地」とは、左足でマナ加速踏み込みを行い右足でマナ減速着地を行う事でまるで縮地を行ったかの様に見せ掛ける事である!
槍とも相性が良い。
槍が巧いとかじゃなく、ただのランス扱いになるけど。
浮き過ぎない様にする事と前後自在に動ける様にしておけばソコソコ行けるんじゃなかろうか。想定では。
「ラ○ダーキーーック‼︎」
浮く浮く全然浮く!
綺麗なライダ○キックできちゃうわコレ!
おっさんが繰り出す技じゃねぇわ!
ドロップキックも流麗にキマる!
これサーラちゃんにも飛び蹴り教えたら良いんじゃないかな!
気が付いたら昼過ぎてた。
派生の竜騎士風ジャンプチャージは辛うじて槍の範疇という事にした。
あ、そうだ。フラグ立ちそうだから腕章を傭兵団に返してしまおう。
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