第24話 初めてのパーティ結成
ダンダム傭兵団で魔石を換金する前に、行商人に魔石の買取価格を聞き回ってみると大体小魔石1つ大銅貨6枚か7枚だった。領主からの間引き依頼が無くなるとこのくらいの買取になるのか。
いや、もうちょっと渋いくらいかな。
「魔石って何に使うんだ?」
「何にって。魔具だろう?後は鉄に混ぜて魔鉄にしたりな」
魔鉄⋯⋯ファンタジーぽい単語が出てきた。
「ダンダムの城門なんかにも使われてるのさ。丈夫だが加工しにくいから刃物とかにはあまり使われないけどな」
「魔鉄の刃物は硬い魔物とかにも有効だったりしないのか?」
「硬い奴には鈍器だろ!」
仰る通りですね⋯⋯ファンタジェ⋯⋯。
「大体、硬い奴に通る刃物なんざ硬くて研げねぇだろよ」
行商人さんに論破された。ぐうの音も出ない。
出ないがそこはファンタジーなんだから付与魔法的な物で自己修復とかしてくんないの?
うん。付与魔法なんて現地語単語知らんわ。
若干、打ちのめされつつ発展著しいダンジョン街のメインストリートを冷やかしていると辺りが騒がしい。
何だろうと見渡してみるとダンジョンを囲う柵の出入り口から満身創痍の騎士さん達が出てきた所だった。
フルプレートの拉げ具合が被害の大きさを物語っている。あれじゃ骨折ではすまないだろう。軋む金属音が痛々しい。
どうやら領主軍はまた大敗してしまった様だ。
⋯⋯というか重いフルプレート着てお馬様と対決とか自殺行為でしかないと思うんだが。虫には無敵だろけど。
沈んだ雰囲気が漂う中、ヒソヒソと噂話が飛び交う。領主はあるかどうかも分からない魔具をどうしても確保したいらしい。
虎の子騎士団まで投入して失敗という事でまた税が上がるんじゃないかとか領主の三男がやられたとかの生々しい声が拾えた。
逆に使えない常備兵減らせて財政は良くなるんじゃね?と思ったけど口を噤んでおいた。
騎士団20名中、生還したのは5名の様だ。
俺はダンダム傭兵団に走った。
救助要請が出る前に俺は腕章を返却するッ。
走った。
ダンダム傭兵団詰所に駆け込むと珍しく入口近くに団長がいた。
「⋯⋯わ、腕章返しに来たんだが」
「シュウ。丁度良い所にきた。緊急救助命令だ。この街の傭兵は参加義務がある」
⋯⋯遅かった。いや腕章返しても同じ事か。傭兵になったつもりも無かったんだけどなぁ。
緊急命令だそうですよやっぱり。
「では、ここにいる連中で先発として出発してくれ。後発で輜重も出す。ゾッドの連中に先を越されるな!頼んだぞ!」
1番危なそうな先発に入れられそうだ。さっきダンジョンから帰ってきたとこなのに⋯⋯。
剣盾持ち、槍盾持ち、鈍器盾持ち、俺の4名の先発隊は名を名乗る間も無く小走りでダンジョンに向かう。
皆、盾持ち⋯⋯要救助者いるのに両手持ちなのね。
場所は平坦な道を行った先にある大部屋らしい。
ダンジョンに降りると剣盾持ちと鈍器盾持ちを前衛に、槍の2人は後ろに付き慎重に進む。槍盾持ちが右サイドでランタンを盾に付けている。灯りのあるダンジョンって何だか新鮮だ。
「⋯⋯この先、右の道からゴキブリ2体」
感知結果を教えるか迷ったがそれなりに戦果は見せてしまっているのである程度は教える事にした。
「⋯⋯分かるのか?」
「⋯⋯近くの敵ならな」
ゴキブリ2体は鈍器盾持ちが圧殺した。
平坦な道はそれなりに幅があるとはいえ、2人並んで武器を振り回す訳にもいかないので剣盾持ちは牽制程度のタンクポジションの様だ。
後衛は特に出番もなく進む。
その後も魔物が数匹出たくらいで歩く事、約1時間。
感知に奴が引っかかった。
「⋯⋯馬魔獣だ」
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