第20話 ダンジョンアタック


 城塞都市ダンダムから東へ2日ほどの新設ダンジョン街にやってきた。



 野宿を挟みつつ槍を作りながらやってきたが、交代で見張りながら夜を明かすのは暗過ぎて見張る意義を見出せなかった。でも第3のチャクラに目覚めた。ラッキー。



「一瞬で3人を刺殺す」という触れ込みの俺は一緒にやってきたダンダム傭兵団の連中に詰所に案内された。


 しかし、活況である。


 柵や建物を建てる奴隷達、乱立するテント、兵士も常駐している。娼婦や商人達も来ているようだ。三百人はいそう。



「単発の仕事がやりたいとの事だが1人か?」

 ダンダム傭兵団の団長はこちらに詰めているようだ。おざなりの自己紹介の後は早速仕事の話だ。



「ああ、1人だ」


「ウチの団員と入る方が安全だが?初めてか?」


「いや、初めてだが1人でいい」


「まぁウチも人手が足りてないからな。⋯⋯迷惑はかけてくれるなよ」



 銀貨1枚で腕章を預かる。腕章を返せば銀貨は戻ってくるシステムらしい。


 ダンジョン内での無駄な争い防止と入場手数料が無料になるそうだ。その代わりダンジョン内で得た魔石は傭兵団に下ろさなければならないが、現在は領主から間引き依頼もあり傭兵団に下ろす方が得らしい。


「魔石は間引き依頼料も込みで、小さいので銀貨1枚、中型ので大銀貨2枚だ」


 大銀貨は銀貨10枚だ。結構な稼ぎだ。


「敵はどんなのだ?」


「今の所、ゴキブリとか百足とか蟻のデカい奴だな。こいつらが小さい魔石を落とす。後は馬と山羊の魔獣が中型の魔石を落とすな」


 ⋯⋯虫なら何とかなりそう。お馬様は稼ぎ良いけど怖い。


「落とすという事は倒すと消えるのか」


「そうだ。楽なもんだろう?魔力溜まりで生まれたばかりの魔物だからな。間引きの成果は魔石で確認だ」


 おおぅ!ファンタジー!

 オラなんだかやる気が出てきたぞ。


「団の宿泊所も使っていい。1泊大銅貨1枚だ」


「有難い」



 金取んのかよとも思ったけど比較的安全な宿泊所と考えると良心的だと後で思い知った。


 辞去して辺りを散策すると相場はもっと高い。食べ物の相場も城塞都市ダンダムの倍だ。早く稼がねば!



 その前に毛皮のマント買おう。ダンダムで買っておけばよかったなー。アレないと寝るのツライわ。銀貨2枚で泣く泣く購入。




 金欠でケツに火がついた状態に追い込まれた俺は昼過ぎからダンジョンアタックを敢行する事にした。



 ダンジョンの入り口は街の中心部の背の高い柵に囲まれたエリアにあった。監視している兵隊さんに腕章を見せて柵の中に入る。


 そこには蟻の巣の様な直径3メートル程のただの穴が空いておりロープで降りるようだ。



 10メートルくらい降りた先も巨大な蟻の巣の様相。壁や天井がほんのり明るいファンタジー仕様だが灯りがないと厳しいかも。



「開け!第三の眼!」

 眉間に左手の人差し指と中指を添え、3周目の厨二病を発症させながら宣う。


 中丹田と下丹田で練り上げたマナを上丹田で発散させるオリジナル感知系の魔法だ。


 魔素が多いこの場所ならッ!




 感知エリアが3メートルくらいしかないッ!


 目視とどっこいどっこいだと⋯⋯。結構疲れるのに。



 まぁ訓練かと射程は諦め、3方に続く通路のどれにしようか迷う。



 上りと下りと割と平坦な三択だ。上りと下りは落差が結構あり山登りもかくやと言わんばかりの険しさだ。





 ⋯⋯俺は人気の無さそうな下りを選んだ。





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