第19話 お仕事探し
翌朝、屋台で安い粥を啜りながらボンヤリと今後の身の振り方を考えていた⋯⋯。
「都会は女が沢山いていいなぁ⋯⋯」
娼館もとても気になっている。お値段はおいくらなんでしょう?
それはさておき、今の所持金なら2ヶ月くらいは働かなくても暮らせる。でもその働くのが流浪の身元保証人無しには難しい。
多少読み書き計算が出来ようが、コネオンリーなこの世界では何処の誰かも分からない人間を態々雇ってはくれないのだ。
まー言う事聞かなかったらブン殴り、夜は逃げない様に鎖に繋いでおけばいい奴隷も安く売ってるしなぁ⋯⋯。
傭兵か商人かフロンティアでパイオニアか。
雇って貰えないなら自分で事業やるしかないかなー。
とりあえず傭兵のお仕事ができるかどうかも含めてガロスがいるダンダム傭兵団を訪ねてみた。
「ウチは賃金制じゃないぜ?」
ガロスが丁度いてくれて助かった。とりあえず傭兵とはなんぞやから話を聞いてみる。
「お小遣い制?」
「まーそんな感じだ。
仕事すりゃ小遣い貰える。後は飯を食わせて貰える」
「なるほどな」
やっぱり組事務所みたいなイメージだな⋯⋯。
用心棒だの護衛だののシノギを持たないとお小遣い程度なんだろなぁ。
「ゾッド傭兵団は賃金制だな。仕事した分しか貰えねぇ。怪我でもしたら終わりさ。タチが悪いのも多いがな」
⋯⋯傭兵団によっても区々なんだな。
「ダンダム傭兵団はダンジョンはやってないのか?」
「おぉ?何処かで話聞いたのか?
ダンダムにもダンジョン出来たって盛り上がってんだわ。うちもダンジョン探索経験はないが地場だしゾッドには負けられんわな」
⋯⋯ほほぅ。お馬様のダンジョン見つかったのかな?
「どこにあったんだ?」
「⋯⋯東の荒野さ。あちこちの開拓村も全部止めてダンジョン街開発に集中よ」
随分と言葉流暢になったと褒めてもらいながら重要情報を頂いた。開拓村の状況も聞く手間が省けた。
「ダンジョンは傭兵しか入っちゃダメなのか?」
「何でだ?入りたきゃ好きに入ればいいだろ?
ただ奥に行くと魔獣とか手に負えない奴が居るからな」
特に入場規制はないらしい。弱めの魔物もいると。
ダンダム傭兵団としては護衛依頼とか間引き依頼とかの領主依頼を他の傭兵団に取られたくないだけだそうだ。
「行ってみるかな」
「おう。お前さんは槍の名手だからな。向こうで間引きくらいなら単発仕事はあると思うがやってみるかい?一筆書くぜ?」
2人まとめて串刺しだからね!
「是非頼む!」
「明日の朝に交代があるから連中と一緒に向かうといい」
こうして数少ない人脈を頼りに、何とか仕事にありつけるかもという状況になった所で装備を整える事にした。
ガロスに聞いてやってきたのは質屋。高品質な物は不要なので質流れ品を物色する。
物価が高いせいか騎士の装備っぽい物まで売っている。
お目当の革のブーツ!
コレは良いものだ。靴底とつま先に鉄板が仕込んである。
銀貨2枚とソコソコするが即買い。足大事。
対人なら左足で相手の足を踏み潰す事も出来る。
後は、槍の穂先が売っていたので見栄え用に2つとコンパクトな手斧、背負い袋、ロープ、防御力はあまり期待出来なそうな古びた革鎧を計銀貨3枚で値切って購入した。
⋯⋯あっという間に資金半減だ。
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