第14話 平和とは争いの谷間の時間だ


 村の雰囲気も生活もがらりと変わった。


 サーラちゃん8歳がパッと良く笑う子なのだ。とても微笑ましい。


 今までの殺伐とした村の雰囲気とはまるで別モンだ。


 ニヤニヤとかニヤリとした陰湿な笑みとか、どこか諦めた様な乾いた笑みとは全然違う⋯⋯。



 懸命に葦の芽を採ってくれる。そして母と笑い合う。


 ええ子やん。そばかすがチャームポイントな痩せっぽちだが既に村一番のムードメーカーだ。茶色い肩までの髪もサラサラやし。頭なでなでしたい。おじちゃんが葦の芽の美味しい食べ方を教えてあげるよ?


 ⋯⋯冷静に考えたらそばかすがチャームポイントって言えるの凄い事だな。誰も紫外線気にしてないしな。デカルチャー。




 一応、断っておくとロリコンではない。近所のおじちゃんが頭なでなでしてもこの世界なら事案発生じゃないはずだ。



 未だソロじゃ近寄っても貰えないけどね!



 無口な村長キャラが定着してしまったが、語彙が足りないだけなんだよ?本当は怖いおじちゃんじゃないよ?


 無言で葦の芽を焼きます。カリッと香ばしいよ?




 いや、独り言は多いんだよ?




 旦那も嫁さんも真面目に柴刈りに水汲み、野草採取に働いてくれているし投槍訓練にも参加してもらっている。



 俺の時間にも少し余裕が出てきた。



 素焼き土器も乾燥時間を増やしたら割れない物も出来上がり、土鍋や盥などが増えてきた。これで木桶を一個フリーに使える様になった。


 井戸は穴を広げ中だ。


 ロープで桶を引き上げる釣瓶井戸のつもりでいたけど、途中でロープなんて無い事に気付いた。思い込みってヤベェ。滑車あるかな?じゃねぇ何で釣瓶井戸作れると思ってた俺。


 結局、深さ3メートルくらいだったので階段作る事にした。



 後は、城塞都市ダンダム向けの道を馬車が通れる幅くらいで石で平らに整地も始めた。


 どんどん大規模になる土木工事⋯⋯。



 土魔法で優雅にイメージオンリーとか痺れる憧れる。


 俺の魔法だと泥に塗れて肉体労働が現実なんだ。


 でも、やればやるだけ成果が出る事に充実感を感じる俺もいるんだ。


 ⋯⋯ドMではないはず。




 食料も山分けして各自でと思ってたけど鍋が1つしかないんだよね。芋は纏めて蒸した方が楽だし。


 一家に一台の竃もそのうち作りたい。



 突然降って湧いた平和感と好循環に距離を計りかねてしまうが関係は良好だ。ボッチなのは変わらんけど。



 物が足りないのは解決できていないので、城塞都市と交易とか出来ないかなとか、芋を植えて増やそうかなとか、魚獲る籠を作ろうかなとかNAISEIターンを本格化して我が村も人口増加だ。旦那頑張れ!とか思ってた時でした。



 好事魔多し。


 我々の平和な時間を脅かす彼奴らがやってきた。



 ⋯⋯そう、冒険者だ。



 うん。次のイベントね。知ってた。






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