第6話 下剋上前夜
開拓村のカーストフォーメーションは、キー君がポジションチェンジした事でオフェンシブな4-3-3からディフェンシブな4-4-2に変化した。
そして、中衛と後衛はまったく柵の外に出なくなった。
引きこもりである。元々後衛は外に出てなかったけど。
キー君も外に出る事がトラウマすぎてトレードオフってしまったか。お馬様だけに。
しょうがないか「人間だもの」って日本の偉い人が言ってた。
城塞都市からの補給役に魔獣の件は申し立てる予定なのか、何らかの楽観要素かあるのか不明だが、なし崩しで篭城策と相成った。
まぁ多分、思考停止というか思考放棄してるだけ。ボイコットとも言う。
奴隷が補給役に申し立てしたとこで「頭数減ったら補給少なくていいよね?その分、ボクの三次元ポッケに無い無いしとくわーセンキュー」くらいなもんだろう。
しかし、井戸なんぞある訳でもなく川へ水汲みはしなきゃならんので、俺が囮の如く外に出されている。
柴刈りしてくれないと薪も不足するんだけども、ネガティブなのか他力本願なのか誰も出てこようとしない。困ったちゃん達だな。
ダン爺は膝が悪いので柵の中に残し、フリーなワントップとしてお外のフィールドを貴公子する事にした。ヒャッフー。
念の為、手斧在庫をちょろまかしてどっかに埋めとこう。どうせ誰も在庫確認してないし。
諦めムード漂う中、頭数が同数になったカースト1位チームと2位チームがキナ臭い。2位チームが言う事を聞かなくなったのだろう。
お互いに自分の目先の事しか考えてないので折り合わず平行線だが、頭数同数だと迂闊に武力鎮圧もできない緊張状態が生まれている。
次の補給は5日後くらいだろうけど、こりゃー長くないね。
どうせ戦うなら腹が膨れる獲物と戦えばいいのに。
個人的雑感としては、背丈程の葦が茂っているこちら側はお馬様のフィールドとしては不適なので慎重派なあのお方は態々来ないと思う。
川向こうの深い森の方が背丈のある下草が少なく、スピードスターなあのお方に適したフィールドなのだから。
⋯⋯知らんけど。
むしろ外の事より、俺とかダン爺とかがどっちかの相手派閥の頭数に加わったら面倒だから先にサクッとやっとく?みたいな殺意溢れる雰囲気がディープ過ぎる⋯⋯。
溜め息しかでない。お馬様の方が理性的。
もー何だよこのキリングフィールドは!
せめてハードモードくらいにしといて神様!ギフトかチートとハーレムをちょうだい!
うーむ。ここ開拓村って頭数減ったらどうなんだべ?
おかわり奴隷が追加されるんだろうか。
⋯⋯そんなこんなで水汲み等に追われて、翌々日の天気の良い朝。
「働かない奴には食い物はやらん!」と働かない奴隷頭様が高々と宣言したのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます