第2話 サイバーテロ

パンパカパン@panpakapan.

イチロー一番@ichirofirst.

西部劇@western.

ジャンキー@janky.

Amadeus@amadeus.

Sebastian@sebastian.


 この6人が信介がいつもTwisterで話をしているメンバーである。もちろん飛び入りがいることもあるが常時意見を出し合うのはこの6人だ。

 この中のSebastian(セバスチャン)が信介だった。ヨハン・セバスチャン・バッハのミドルネームというわけだ。そしてAmadeus(アマデウス)がヴォルフガング・アマデウス・モーツアルトである。アマデウスは信介の現役時代の友人でサイバーセキュリティ大手、株式会社レックのエバンジェリストで村雨丈一郎である。システム営業だった信介とある仕事で一緒になり意気投合、仕事以外でも付き合いが続いていた。ふたりともクラシック音楽好きであったことから互いにモーツアルトとバッハとハンドルネームを付けたのである。

 他の4人はどこの誰なのか、男なのか女なのかすら分からなかった。ただ、この場でだけ軽い意見交換をして遊んでいる仲だ。

 信介は朝食前の日課であるネット巡回をTwisterで締めくくる。楽しいおしゃべりの時間だった。


ジャンキー@janky. 1時間

ほんとロボットという奴は倫理を知りませんね。人がトイレに入っているのにセットされた掃除の時間というので、ガンガンやるわけですよ。終いには「警告する」ですって。(>_<)

パンパカパン@panpakapan. 50分

警告・警告。計算されません。(^o^)

西部劇@western. 49分 

あ、それ何でしたっけ?

パンパカパン@panpakapan. 45分

フライデーですね。宇宙家族ロビンソンでしたっけ、ロスト・イン・スペースですよ。

Amadeus@amadeus. 30分

あったあった、ドクター・スミスが憎らしくてねえ。

パンパカパン@panpakapan. 20分

いたいた!

Sebastian@sebastian. 8分

ロボットの倫理というよりAIの倫理ですよね。AIに良心回路みたいなものが必要になると思いますよ。

イチロー一番@ichirofirst. 5分

それは言えます。IoTの時代を考えればAIが何でもかんでも命令遂行では危険だ。

ジャンキー@janky. 1分

そうです、そうです。(^o^) 命令遂行のためには手段を選ばずではいずれ事件が起きます。

イチロー一番@ichirofirst.1分

人工知能の反乱ですか。

Amadeus@amadeus.1分

とはいえ、テクノロジーが発展しても所詮コンピュータですからね。使う人間にこそ倫理が求められると思います。

 

 村雨の発言が最後の締めになっていた。確かに使う人間がテクノロジーについて行けてないのではないか。そこまで出来てしまうのに、それに対する思慮が足りない、そんな気がする。 

 信介はパソコンを終了すると、いつものようにパンケーキ屋を目指した。

 2階に降りると肇がいた。

「何だ小僧、学校へ行かないのか?」

「おはようございます。」

意外にも肇は丁寧に信介に挨拶を寄越した。

「今日は代休なんだ。」

「代休? 臨時出勤でもしたか?」

「そうだね。この前授業参観だったから。」

「ふうん。そうか。休みなのに早いな。俺なんか休みの日には昼まで寝てたもんだが。」

「腹が減って目が覚めた。朝飯奢ってよ。」

そう言うと肇は信介の歩く方へ着いてくる。

「家に飯はないのか?」

「ふたりとももう出掛けた。あの人らコーヒーしか飲まないんだ。あれで昼までちゃんと働けるのかね。」

「共働きか・・・。」

「でなきゃ、こんなマンション住めるわけないでしょ。」

「まあ、そうかもな。パンケーキでいいか?」

 信介は肇を連れてパンケーキ屋へ入った。8時ちょうど、テイクアウトを求める客が1人いるだけだった。

「いらっしゃいませ。」

明恵の快活な声が響く。

「パンケーキレギュラーとコーヒー。小僧はレギュラーとオレンジジュースだな。」

信介は肇の意見を聞くこともなく注文を決めた。肇は意外にも文句も言わず辺りをキョロキョロ眺めている。

「おじさんは、ああいうのが好きなんだ。」

肇が明恵の方を見ながら言った。

「まあな。」

ここで向きになると肇の思う壺だ。

 信介はさりげなく肯定すると窓からタワーシティの偉容を見上げた。

「凄え物を作ったな、人間は。」

誰に言うでなくポツンと呟く。

「西新宿の高層ビルに遊びに行ったことがあるんだけど。展望室で外を眺めると、高層ビルが建ち並ぶ様はまるでたくさんの墓標だったよ。」

「墓標?」

肇の言うことが信介の心に刺さった。

「そうさ、これは人類の墓標じゃないかって気がした。人類が伝染病かなんかで絶滅しても残るわけでしょ。後から見つけた宇宙人はきっとそう考える。」

「なるほど・・・。」

「実際ここだって、年寄りばっかで、墓標じゃん。」

「小僧、おまえは哲学者なのか、ただの皮肉屋なのか、どっちなんだ?」

 肇の答えを聞く前に明恵がパンケーキを持ってきた。テーブルに置かれるや否や、肇はそれにかぶりついた。両親はコーヒーだけ飲んで仕事に行く。残った肇は食パンを1枚焼いてジュースで流し込む。給食まで保つのか、信介は心の中で肇に言った。

 人心地着いたところで、肇が切り出した。

「また事件が起こってるよ。」

「ん?」

「問題発生。どうなってんだろうね、このマンションはさ。」

「どういうことだ? 小僧。」

信介は自分の皿から目を上げると肇の方を見た。肇はだまってポケットから自分のスマホを取り出すと信介の方に押しやった。

「最新機種だな。」

「まあね。」

 肇がスマホの画面にタッチするとある画像が現れた。

「う? これは?」

「典型的な釣り画面だね。笑っちゃうほど初歩的。」

肇の言うように画面には赤い枠取りがされた緊急メッセージが表示されていた。

 『有料コンテンツの支払期限が過ぎています。お支払いいただけない場合は法的措置を執らせていただきます。お支払いはこちら。』

で、リンクボタンがあった。

「それタップしちゃダメだよ。」

「分かってるよ。なんとも、ベタだな。」

「ああ、今時誰も引っかかりゃしないよ。普通の人はね。でも、高齢者なら・・・。これやっぱりマンション住人を狙ってるんじゃないかな。高齢者を狙い撃ちしてる気がする。」

「このマンションを狙ってる? 何のために・・・。」

「さあ? やっかみ?」

 肇とこんな話をしたすぐあと、信介はマンションで実際の被害が発生していたことを知った。2階エントランス。ラウンジの奥、住人の会議のための部屋が開いていたので信介が覗くと、

「とうとう実被害が出てしまいました。」

コンシェルジュの秋葉が浮かない表情で言った。

「詐欺ですか?」

「はい、このメッセージが表示されて。実際お金を支払ってしまった方が・・・。」

コンシェルジュはスマホの画面を見せた。さっき肇に見せて貰ったのと同じだ。

「いくらですか?」

「4万8千円だそうです。今警察を呼んだところです。」

「ああ、こちら20階にお住まいの緑川さんです。」

 会議室の端の椅子に小柄な高齢の女性が更に小さく背を丸めて座っていた。憔悴しきった顔をしている。

「緑川さんはご主人と2人暮らしで、携帯は共有されているそうです。持ち歩き用と言うより固定電話代わりですね。実際緑川さんはNTTの契約はございません。」

 固定電話の契約件数はもう何年も前から減少している。それが最近ではいっそう持たない人の比率が増えていた。恐らくマンション住人の半分は固定電話を持っていないのではないか。

 「緑川さん、どうしたの?」

会議室に入ってきたのは有村さんだった。どうも知り合いらしい。

「有村さん、わたし、わたし・・・。」

緑川のおばあちゃんは涙目で有村さんを見上げた。

「おじいさんに怒られちゃったの。俺はそんな変なものを見たりしないって。だって、いっしょに使ってるからおじいさんが使ったのかなって・・・。」

「あなたの所にも出たのね、あの赤い枠の、突然ブザーが鳴って表示されるからびっくりしちゃうわよねえ。」

有村さんは緑川さんの肩を抱くと頬を寄せた。

 「ちょっといいですか?」

信介は有村さんに尋ねた。

「有村さんの携帯にもそのメッセージが出たんですか?」

「はい、出ました。メールを見ていたら。でも、私、そんなもの使ってませんし。電話で、あ、NTTの電話です。倅のところへ電話してみたんです。そしたら、そんなもの無視しろって教えられて。でも消えないのよね、これ。気持ち悪いったらありゃしない。」

そう言って有村さんは自分のスマホを取り出した。

「あなたの所にも? あたしはバカだからさっきそこのATMへ行って振り込んじゃったの。ほんとにバカよねえ。」

緑川さんはそう言うとさめざめと涙を流した。

 「お母さん、何やってんの。詐欺なんかに引っかかって!」

大きな声を出しながら突然会議室に入ってきたのは重量感たっぷりの中年女性。緑川さんの嫁に行った娘だという。

「まったく、何やってんのよ。それでいくら払っちゃったの?」

「うん、4万8千円・・・。」

緑川のおばあちゃんは今にも消え入りそうな声で娘に言った。

「もう、お母さんは。お父さんはどうしてるの?」

「もうすぐ帰ってくると思うけど。お父さんにも怒られちゃった。やっぱりだめなのかしらね、お前の言うように二世帯住宅建てて同居した方がいいのかしら・・・。」

 緑川さんはすっかり落ち込んでしまっている。詐欺師は4万8千円だけでなく、おばあちゃんの誇りと自信も奪ってしまった。

「まあまあ、そんなに怒らないであげてください。悪いのは欺した奴なんですから。」

信介は思わず口を挟んだ。そこへ警察がやって来て、信介は会議室を出ることにした。

 「許せないね。詐欺師のやつ。」

いつの間に来たのか隣に肇がいた。

「ああ。」

信介も静かに同意する。

「何人かの人に聞いてみたんだけど・・・。」

「どうした?」

「だから、さっきの詐欺警告画面だよ。あれが表示された人がいないか、聞いてみたんだ。」

「小僧がか?」

「うん。そしたら他に2人いた。みんな、向こうのビルにある整体院に行くんだよ。足が痛いとか腰が痛いとかでさ。しかも市から補助金も出るんで100円で済むんだ。」

「ふうん。よく知ってるな。」

「それで、気が付いちゃったんだけど。全員三橋さんの住所録にあった人だ。」

「え?」

信介は思わず足を止めて肇を見た。

 「有村さんもそうだし、緑川さんも三橋さんの整体院仲間。4人だよ、偶然じゃないよ。メールで詐欺サイトへ誘導してる、ここの住人を。」

「だけど、小僧のあの警告画面は?」

「あれは・・・実は、お母さんのスマホに来てたメールのURL遷移先なんだ。うちの母親も三橋さんの住所録にあるはず。ゴミ出しの打ち合わせとか言って話したことがあるんだって。だから4人。」

「そういうことか・・・。」

信介も納得せざる負えなかった。

 「で、そのメールを自分のスマホに転送してリンク先をクリックしてみたんだ。」

「わざわざ詐欺サイトへ繋ぐなんて危険だぞ、小僧。」

「一応住所録やスケジュールは待避させて、万全の状態でだよ。LIENも僕はやってないし、オンライン銀行もやってないしね。そうして繋いでみた。でも、おかげでこれがこのマンション住人を狙ったんだってことがはっきりしたよ。」

「いや、でも・・・。」

 まだ信介は半信半疑だ。すると肇は再びスマホを取り出すと数枚のスクリーンショットを信介に見せた。

「これ。詐欺サイトだけど文面をよく読んで。」

 サイトはごく普通の企業を装ったものだった。スマホ画面用に制作されており、一見して詐欺サイトとは思えない楽しげで可愛い感じのデザイントーンだ。

「分からないかなあ?」

肇が勝ち誇ったようにスマホの画面を指し示す。

「ここだよ。この文面。SNBB銀行の端末か、ローンソのATM端末で・・・とあって、それぞれATMの写真まで出てる。」

「う、うむ。」

信介は息をのんだ。

 「ね、マンションの1階にはローンソが、2階にはSNBBのATMコーナーがある。これは、このマンションの住人を狙った詐欺サイトなんだよ。」

「分かった。三橋さんのところへ行こう。あのスマホを何とかしないと。」

「もうデータは抜き取られたんだ、三橋さんひとりをどうこうしても始まらないよ。それに三橋さんどう思うんだろう、緑川さんの詐欺被害のこと・・・。」

肇が言うことに信介は言葉が詰まってしまった。

 「だけど・・・。」

「警察に言わないわけにはいかないよね。実被害が出てるんだから。そこはおじさん頼むよ。」

そう言うと肇はスタスタと廊下を行ってしまった。それで信介はマンションのまた共用会議室へ戻っていった。


 それから1週間が過ぎた。警察の調べでも三橋夫人の感染したスマホから抜き取られた情報が詐欺メールの元であることは十分推測できた。が、すでにサイトも消滅した今、犯人特定は警察にも不可能だった。被害額が比較的低額であることからこれ以上の捜査は期待できなかったのである。緑川のおばあちゃんの落ち込みは尋常ではなく、すっかり外出もしなくなってしまったという。

 また三橋夫人もかなりのショックを受けていた。三橋夫人は娘婿に頼んでウィルスを駆除、メールアドレスも変更していた。住所録の人たち全員にはさすがに連絡は取らなかったようだが、親しい人たちには電話で事情を説明したという。

 それでも事件は起こってしまった。身近な人が実際にお金を騙し取られたことで三橋夫人も事の重大さを認識したようだ。

 「もうスマホなんか持つのやめようかしら。みなさんにご迷惑おかけして、おちおち外も歩けないわ。」

そう言いながらも三橋夫人はマンションの共用スペースと言わず各階にもしょっちゅう出没していた。人付き合いがいいというか、知り合いは多いようだ。マンション住人に限らず、この界隈の古くからの住民たちとも親交していた。

 今日も共用スペースで、

「大変でしたね。私はお陰様で大丈夫でしたよ。普段から注意してますからね。息子に言わせると高機能になったスマホはパソコンと同じくらい危険で、でも便利なんですって。もう放せないわよねえ。」

と誰かが言えば、

「そうでしょう。私も反省してるのよ、反省してるんだけど、これなしだといられないのよ。」

とおどけている。

「私もね、これで孫とテレビ電話するのを覚えて。やめられないわ。」

と聞くと、

「テレビ電話が出来るの?」

新情報に瞳を輝かせ、

「ええ、できるのよ。孫のけんちゃんの顔見るのが嬉しくて。むこうからね、手をこう振ってくれるのよ。」

「あら、いいんだ。私も娘に教えて貰おうっと。」

というような具合だ。自分の罪深さをどこまで認識しているのだろうか。

 ITリテラシーを持たなくとも便利に安全に使える、それが本来のITのはずだ。ところが悪人は存在する。リテラシーの低い人が当然ターゲットにされる。もはや生活の一部となったテクノロジーを手放すわけにはいかない。なら、どうすれば・・・。

 そしていよいよハッカーがタワーシティに襲いかかる。


 緑川さんの事件から10日ほど経ったある晩。マンション住人のスマートホンが突然緊急速報で鳴動し出した。だがそれは地震でもミサイルでもなく、画面には黒い背景に隷書体の不気味な白抜き文字でこんなメッセージが表示されたのである。


 『タワーシティは間もなく崩壊する。速く逃げ出せ』


 マンションは大騒ぎになった。コンシェルジュひとりの手に負える状態ではなく、槇村不動産販売の営業窪川が呼ばれた。しかし、窪川に何が出来るわけもなく、明朝本社で対策会議を開くからと住民に平謝りするのが精一杯だったのである。

 信介のスマホも鳴動した。そして黒い画面。画面は一旦電源を落として、設定を変えれば消えたが、禍々しい画面は文言とともに信介の脳裏に焼き付いてしまった。

 「もしもし、どうも御無沙汰しています。いや、Twisterでは毎日のように意見交換していますがね。」

信介が電話を掛けた相手はTwister仲間の村雨丈一郎である。まだ時間も早かったことから信介はこのエバンジェリストに意見を聞きたいと思ったのだ。明朝から大変だろうことは容易に想像がついた。

「いやいや、佐崎さん、こちらこそ御無沙汰してます。ねえ、今度飲みに行きましょうよ。」

電話の向こうで聞き慣れた低音の声が響いた。

「新橋ですか? いいですね。」

 「この前のお題は秀逸でしたなあ。ロボットと倫理観の話、面白いです。」

「いや、ちょっと思いつきで。」

「テクノロジーに倫理が追い付いていない、それは確かだと私も思います。」

「そりゃ、どうも。」

 ここまで来たところで、村雨は突然今までの話をご破算にした。

「メールでも良かったんですが、何かありましたか?」

相変わらず村雨丈一郎は察しのいい男である。

 村雨は信介が現役時代随分お世話になった師匠だ。同じ趣味で意気投合してそれ以来友人関係を続けている。信介が引退しても普段はネットで、年に数回は飲みに出かけたりもしている仲だった。

 「ちょっと事件が起こりまして。対応は全て明日朝からになるんですが・・・。それで急ぎご相談したかったんです。」

「ほお。一流のシステム営業が相談とは、いったいどんな話なんです?」

「止めてくださいよ。一流のシステム営業とか言うの。」

「は、は、は。いや、間違いなく一流でしたよ。佐崎さんは。」

 「たった今なんですが、ウィルス感染などしていない私のスマホに緊急警報と警告文が表示されました。で、どうもマンション住人ほとんどの人のスマホに同様の画面が表示されたようです。」

 「えっ?」

さすがに村雨も驚いたようだ。

「釣りサイトでDNSチェンジャーを仕込まれた? いや、佐崎さんほどの人がそんなヘマはやらないでしょう。どういうことなんですか?」

「たぶんなんですが、うっかり充電後に電源切ってまして、電源入れた途端・・・です。で、あちこち聞いたんですが、周辺住人のスマホが同じ現象を起こしたそうなんです。」

 話の深刻さを察したのか、村雨は声のトーンを更に落とした。この声が講演会などで大きな武器になることも理解できる。

「ええ。明日にはたぶん警察にも通報するでしょう。マンションの会社も明日朝から対策会議をするとか言ってました。」

「被害に遭ったのはマンション住人だけ? それとも一帯の住人もですか?」

「どこまでの範囲かは分かりません。今分かってるのはマンション住人のうちの大半というか・・・。」

信介が分かっていることを掻い摘まんで話した。

 「ルーターですね。」

村雨が言った。

「え? どういうことです?」

「お宅のマンションて無線LANが無料で使えるんですよね?」

「無料というか、当然部屋の価格に含まれてるんでしょうけど。」

「お宅のマンションがどのようなシステムになってるかは分かりませんけど、住民ほぼ全員にということは、無線LANとの接続ルーターが怪しいです。」

「ルーターが乗っ取られた?」

「そうすれば、そのルーターへ繋ぐ全員を強制的に指定サイトへ誘導できます。」

「そんなことが・・・。」

信介は絶句した。

 「サイバーテロですよ。」

村雨から出た言葉は信介の予想を遙かに超えていた。サイバーテロなんて新聞紙上によく載る国家間のテロか、何とか言うハッカー集団の政府サイトへの攻撃か、そんなものを連想する。

「タワーシティでしたっけ? そのマンションを狙ったサイバーテロ。」

「でも、どうして・・・。」

「そこは私にもさっぱり・・・。親会社の問題と考えるのが妥当でしょうが、他のマンションで同じようなことが起きていなければ佐崎さんのマンションがやはり標的になってるんだと思いますよ。」

 信介のスマホを握る手がじっとりと汗ばんでいた。

「ううむ。」

信介は声も出なかった。

 すると村雨が続ける。

「ここは警察の出番でしょう。すでに警察の事案になってるんだから、警察に任せる方がいいと思いますよ。」

「とはいえ、あの刑事では・・・。」

信介は何時ぞやの刑事の顔を思い出した。

「それだったら、サイバーポリスに直接通報したらどうですか?」

「サイバーポリス?」

信介も初めて聞く言葉だった。

「そういう案件の警視庁の専門部署です。数年前に1カ所に集められて活動を始めています。テロ対策からマネーロンダリング、SNSに係わるトラブルまで何でも扱います。」

「でも、窓口は所轄警察で・・・。」

「まあ、そうですね。いいですよ、電話番号教えますから、私の名前出してください。私その部署の顧問してますから。いいじゃないですか、例の漏洩動画の件も解決してないんでしょ? その女性助けてあげましょうよ。出回ったら最後永遠にネットの中に存在するんですから。」

 「それはそうなんですが・・・。あの事件とは・・・。」

信介が言い淀む。

「関係ないと思います?」

「え?」

 村雨は容赦なかった。

「一連の案件が無関係だなんて、佐崎さんらしからぬ読みの甘さですよ。」

信介はもはやぐうの音も出なかった。

 と言うわけで、信介はサイバーポリスに通報することになった。株式会社レックのエバンジェリスト村雨丈一郎からの紹介として。


 サイバーポリスへの通報から1時間、信介の携帯電話が鳴った。

「サイバーポリスの榎本と申します。」

「先ほどはどうも。佐崎です。」

「状況は確認しました。村雨先生のおっしゃる通りルーターが乗っ取られている可能性が高いです。今は、そのマンションの持ち主である槇村不動産販売に協力要請をしています。それと、お話のあった画像流出の件、佐崎さんのところの警察に問い合わせまして、山田章子さんですか、その方のスマホの解析をこちらですることになりました。」

「そうですか、ありがとうございます。」

「すでに中身のデータは取り寄せたんですが、なかなかの人物かも知れませんよ。まだ詳しいことは分かりませんが、女性のスマホは完全に乗っ取られていました。動画撮影だけでなく、他の情報機器乗っ取りの踏み台にされている可能性もあります。」

榎本の話に信介は背筋が寒くなった。

 「スマホでそこまで出来るものですか?」

「出来ますよ。一昔前のパソコン並の性能ですから。カメラとかの性能だけだったら軽く上回りますからね。ただ分からないのは、目的とターゲットですかねえ。なぜ山田章子さんのスマホが乗っ取られたのか、偶然なのか、必然なのか・・・、そこが分かりません。更に申し上げると詐欺サイトへの誘導ですが、ここは地元警察署の地道な捜査が必須です。サイバーの問題ではないと思っています。」

榎本は立て板に水といった調子で現況をすらすらと述べ立てていった。

「まあ、明日朝から本格的に調査に入ります。今晩はまずはご連絡まで、ということで。」

そして電話は切れた。

 対応の速さはさすがだったが、全て憶測での物言いに過ぎなかった。信介は一抹の不安を感じた。そして、あの黒々とした画面に表示された『タワーシティは間もなく崩壊する。速く逃げ出せ。』を思い出していた。

「やっぱり狙われているのはこのマンションだ・・・。」

信介はある決意を固めたのだった。


 そして翌朝、再び事件が起こった。

 午前8時半、タワーシティの1階玄関前は賑やかだった。毎朝の光景である。この時間にマンションと市が運営するミニバスが玄関前に到着する。それを利用する人たちが集まっていた。

 「おはようございます。」

「あ、おはよう。今朝もプールですか?」

「ええ、今日は500メートル泳ぐつもり。」

「お元気ですねえ。」

「まだまだこれからよ。」

そう言ってミニバスを待っていた高齢の女性は派手なバック片手にしっかりした足取りでバスに乗り込んだ。

 「それじゃあ、どうぞ宜しくお願いします。」

玄関前で深々と頭を下げる中年女性に、車椅子を押した女性が手を振る。車椅子の上ではおじいさんが目をギラつかせて辺りを見ていた。

「大丈夫ですよ。ついでですから、気にしないでください。」

女は車椅子を上手に操ってノンステップのバスに乗り込む。

「その席は危ないからだめ。こっちに来なさい。」

乗ると女性は最前列の運転席横に座ろうとした我が子を注意した。渋々最前列を諦める小さな男の子。結局高齢者が4人と女性が3人、子供3人がバスに乗り込んだ。

 このミニバスは東京オリンピック以降各地で実用化が進んだ自動運転車輌だ。

「発車します。」

運転席には制服姿の中年男性が座っているが、発車を宣言したのはスピーカーから流れた音声である。実際運転手は運転席に座っているだけでハンドルを握ることもなかった。

 「今日はお天気良さそうですね。」

「暑いと汗かいて嫌なのよね。」

「この制汗スプレーいいですよ。」

「え、そうなんですか?」

車内では思い思いにおしゃべりが始まる。

 ミニバスはタワーシティ1階玄関前を出発すると一旦駅前に向かって走り出した。途中ショッピングモール前に停車し、駅には15分ほどで到着。駅周辺は混雑しておりバスはゆっくりゆっくり走っていた。そのせいもあり通勤にバスを利用する人はほとんどいない。なにしろマンションから駅までペデストリアンデッキ経由で7〜8分、地上の道路を歩いても10分かからない。バスは高齢者のためというのが実際であった。

 バスは駅前に3分ほど停車すると走り出した。ここまで乗客に増減はない。

「次は福祉センター、福祉センターです。お降りの方はブザーでお知らせ下さい。」

車内放送が終わると同時に降車を知らせるブザーが鳴った。

「次止まります。」

バスが乗客に自動アナウンスで答えた。

 駅の反対側へ出たバスは旧市街を抜け、数年前に建設された養護老人ホームへ向かう。景色はがらりと変わり、造成されたものの放置された土地が広大な野原になっていた。ついオリンピックまでは総合病院の建設や大型レジャー施設の招聘、果ては大学の誘致など夢は膨らんでいたところだ。バスは空いた道路事情に合わせてややスピードを上げた。

 運転席の男はぼーっとした顔で窓の外を眺めている。実に弛んだ顔つきだった。彼の正式な役職は緊急時対応乗務員。

 このミニバスは「にこにこシティ号」という。マンションと市の共同運営である。実際は市が県に認可を取りデベロッパーの槇村不動産とバスを製造する神野自動車が自動運転実験のために運用していた。

 ミニバスは自動で各停留所を回り、降車ブザーが鳴ると客を降ろして走る。一応ドライバーシートに人は座っているものの、緊急時にしか手を出さない。それも出来ることは緊急停止ボタンを押すだけだった。

 途中の停留所で乗りたい時は停留所にある乗車希望ボタンを押せばバスは自動でその停留所へ停車し客を乗せた。

 今や日本各地で行われている一般道における自動運転実験の延長である。バスの場合すでに実用化されているケースも多い。決まった道を走るバスは最も自動運転に適している。各社は遅れている完全自動運転のためのデータを必要としていた。

 次の停留所福祉センターの降車ボタンを押したのは車椅子を押した子供連れの女性だった。

「さ、おじいちゃん。到着ですよ。」

女性は立ち上がるとシルバースペースに固定した車椅子の固定を外した。バスの最大速度は50キロ、通常は30キロから40キロで運行している。駅前を過ぎると交通量も少なく、至って安全な走行だった。

 ところが、ミニバスは次に止まると宣言していた福祉センターのバス停を素通りした。そのままスピードを上げるとセンターを行き過ぎる。

「ちょ、ちょっと、運転手さん、降ります。」

慌てる女性。

「止めて下さい。降りますよ!」

声を張るも、ミニバスは止まろうとしない。福祉センターはどんどん遠ざかっていく。

「どうなってるの! 降りるって言ってるでしょ! 止めて、止めて下さい!」

 金切り声で叫ぶ女性にようやく異変を感じた緊急時対応乗務員が客席を振り返った。出入口ドアの前で車椅子を押して小さな子供を連れた女性が手を振りながら叫んでいた。

「どうしました?」

緊急時対応乗務員が女性に呼びかけた。

「どうしましたじゃないですよ。降りるってブザー鳴らしたでしょ。」

さすがに女性も怒っている。

 ようやくぼーっとしていた頭が回転を始めた男は運転席に付いている大きな赤いボタンをカバーを外して押した。これでバスに異変が起こったことを運行管理室に知らせることが出来たはずだ。バスは自動で停止するはずだった。

 だが、バスは停止するどころか、むしろスピードを上げていた。

「あれ?」

もう一度ボタンを押す緊急時対応乗務員。だが、バスは止まってくれない。

 そこで緊急時対応乗務員の男はスマホを取り出すと運行管理室へ直接電話を掛けた。呼び出し音が鳴る。誰も出ない。すぐに留守電に切り替わった。

「当社の営業時間は午前9時から午後6時までとなって・・・。」

緊急時対応乗務員の男は電話を掛け直したが、やはり呼び出し音が鳴って留守電に切り替わってしまった。繰り返すが、誰も出ない。

 「次は木の葉台水泳場。木の葉台水泳場です。お降りの方はブザーでお知らせ下さい。」

車内放送が流れた。すかさず500メートルを泳ぐつもりの高齢女性が降車ブザーを押した。押したばかりか自ら手を挙げて、

「次ぎ降りま〜す。」

と宣言した。

 緊急時対応乗務員は焦りだしていた。運行管理室は相変わらず誰も出ない。

「くそう、9時出勤か・・・。」

8時半に出発し、まだ9時前である。メーカーは9時始業で、まだ誰も来ていないのだ。運行管理室は都内にある神野自動車本社ビル内にある。男も神野自動車で採用されたパート職員だった。

 プールが見えてきてブザーを鳴らした高齢女性が座席を立った時、ミニバスはまたもスピードを上げた。突然の加速に女性がふらつく。運転席のメーターは時速50キロを越えていた。

 「危ないですから席を立たないでください。」

緊急時対応乗務員が女性に注意を発した時には、女性はもんどり打ってバスの床に叩きつけられていた。ミニバスはプールを行き過ぎると左へ曲がって市の清掃工場へ向かい出した。

 やむをえず緊急時の男は自分でハンドルを握るとブレーキを踏んだ。制動が掛かりバスは清掃工場へ続く道路の路肩に停車した。乗務員はそのままクラッチをニュートラルへ入れ、サイドブレーキを引いた。

「みなさん、自動運転システムのトラブルだと思います。今、運行管理室へ連絡を取っていますので、そのままお待ち下さい。」

 男は、再びスマホを取り出すと電話を掛けた。しかし、発信音が鳴らない。電波状態が悪く通話不可能な状態だった。

「そんなバカな。」

男は運転席の窓を開けてからもう一度スマホの画面を見た。電波状態はゼロだ。

「どうなってるんだ。」

停車した場所が悪かった。大きな工場の影に入っており、この建物の中では巨大な電磁石が金属を吸い集めていたのである。このため電波が届いていなかった。

 「ねえ、どうしたのよ。」

ようやく床から起き上がった高齢女性が言った。

「申し訳ありません。ちょ、ちょっと待って下さい。」

緊急時の男は緊急時に対応できていない自分に苛ついていた。

「あいたたた・・・。」

「おばあちゃん、大丈夫ですか?」

車椅子を押していた女性が手を貸した。

「ああ、痛い・・・。」

言うと高齢女性は脇腹を押さえてしゃがみ込んでしまった。

「おばあちゃん、痛いんですか? 脇? 胸の辺り?」

 心配そうに他の乗客が集まってきた。その時、この女性が押していた車椅子がノンステップの先端まで滑り出した。デイサービスに向かう高齢男性が勝手に車椅子のストッパーを解除したのだ。

「ママ!」

叫ぶと男児が車椅子を押さえようとした。だが小さな手をすり抜けて椅子はバスの扉にぶつかった。そして車椅子の男性は反動で前に飛び出して頭から扉に激突したのだ。バタン!と大きな音が車内に響いた。

「あ! おじいちゃん!」

慌てて車椅子に戻るが高齢男性は意識を失っていた。

 「速く、速く救急車を呼んで下さい。」

女が泣きわめく。男児がそんな母親にしがみついた。他にも泣き出す幼児。別のプール通いの女性も喚きだした。車内は修羅場となってしまった。

 緊急時対応乗務員の男性はドア開閉ボタンを押した。外へ出て速く電話を。救急車も呼ばなくては。だが、ドアが開かない。

「なんで開かないんだよ。」

言いながら男はドアを激しく引いた。しかしびくともしない。

「どうなってるんだ・・・。」

 清掃工場周辺道路は清掃車が8時前に出払ってしまうと第一陣が帰ってくる11時過ぎまでは閑散としている。全く車が通らない。まして工場裏手となれば気が付く人さえ居そうもなかった。

 バスから降りることもできず、乗客乗務員11名はバスの中に軟禁状態となってしまったのである。

 しかも頭を強打した男性と胸を打った女性がいた。快晴の今日、気温はこれからグングン上昇するだろう。エンジンを切ればエアコンが切れてしまう。かといってエンジンを掛けたままでは車は勝手に動き出すかも知れない。まして自分で運転しようとすれば、自動運転バスが今度は暴走するかも知れない。乗務員の男は弱り果ててしまった。


 その頃、タワーシティは大騒ぎになっていた。

「県警にヘリの出動を要請しろ。」

臨時の対策室になった共有スペースの会議室では警察署から多数の警官が動員され、ごった返していた。

 「それで、バスは定刻に出発したんですね。」

「は、はい。いつも通りです。」

「すると今乗客は何人なんですか?」

「たぶん、9人か10人ではないかと。」

対応しているのは槇村不動産販売の窪川だった。マンションへの警告文が住人のスマホに表示された事件の対応に訪れたそのタイミングでさらなる大事件に出くわしてしまったのである。

 窪川はひとりで大汗をかいて住人への対応と警察への応対に当たっていた。

「はっきりとした人数は分からないんですか?」

刑事が執拗に窪川に迫る。

「運営をしているのは私ども親会社の槇村不動産と神野自動車の共同プロジェクトでして・・・、私には残念ながら・・・すいません。」

窪川が更に汗を噴き出しながら頭を下げた。

「バスの運営責任者はどうなっているんですか?」

 そこへ市職員の斎藤という中年女性が現れた。市役所とは10分と離れていないというのに今頃、である。

「ああ、斎藤課長。お世話になります。」

窪川は斎藤に深々と頭を下げた。

「こちらが、にこにこシティ号の運営責任者の斎藤さんです。」

「あ、いや、責任者と言いましても私は・・・。」

斎藤女史は最初から腰が引けていた。

「市職員の斎藤と申します。このミニバスは市との共同運営となってまして。名目上私が責任者ということになってるだけでして・・・。」

 未だにバスの行方は分かっていない。事が発覚してから30分も経っていながら、警察はまだバスの目撃情報を集めていた。

 そこに状況に気が付いた上層階住人の何某氏が大剣幕で会議室へ飛び込んできた。

「さっさと警官を行かせろ。この能なしどもめが。」

何某氏の母親が毎朝このミニバスに乗って市営の屋内プールへ通っていた。何某氏はいつも母親の携帯のGPSを追跡していた。ひとりでどこに行ってしまうか心配だからである。

「だから、清掃工場の裏だよ。そこで電波が切れたんだ、そこを探せ。バスジャックの犯人を捕まえろ。」

何某氏は誰彼構わず警官に怒鳴り散らした。


 神野自動車の自動運転技術者と槇村不動産のプロジェクト責任者がマンションに現れたのはその日の午後だった。

「すると、自動運転のシステムがハッキングされていたと?」

マンション会議室に集まった関係者からの聴取が続いていた。

「は、はい。技術的には単純なことなんですが、ウィルスを仕込まれたようでして、一時的に運行管理室からの制御が効かない状態になっていました。」

答えたのは佐伯という神野自動車の技術者である。

「すでにウィルスは駆除しシステムは回復しています。」

ここで佐伯は胸を張った。

 「そんなことはどうでもいいんだよ! この責任をどう取るのかと聞いてるんだ!」

上層階の何某氏の弟と名乗る人物が会議室の端から大声を上げた。救出されたおばあちゃんは肋骨を折る重傷だった。この元気な高齢女性は上層階の何某氏兄弟の母親である。

「何がすでに回復していますだ。ふざけるな! けが人が出てるんだぞ。」

更に何某氏弟が吠える。

「どうか、お静かに。」

刑事が制した。が、一方で、

「怪我人を出している事実をどうお考えなんでしょうか? 佐伯さん。」

刑事が神野自動車技術者の佐伯を睨みつけた。

 固まる佐伯の脇から槇村不動産自動運転プロジェクトの石橋がへこへこしながら言葉を継いだ。

「そ、それは、もう、誠心誠意対応させていただきたいと・・・。」


 事件は大々的にニュースとなり、今やタワーシティは日本中の注目となってしまった。某新聞の「自動運転バスにサイバーテロ」とのセンセーショナルな見出しに、各マスコミも大挙して押しかけマンションも市も対応に追われた。

 また捜査が進むに連れ自動運転プロジェクトの杜撰な運行管理が明るみに出て親会社槇村不動産と神野自動車はマスコミと国民の批判を浴びる結果となった。

 一方、頭を強打したおじいちゃんは大事には到らず、肋骨にひびの入った高齢女性も間もなく退院となる予定だった。

 しかし、初動捜査の失態に地元警察署の立ち位置は厳しいものとなってしまった。実質警視庁サイバーポリスが捜査の全権を掌握、地元警察署刑事課はその下請け状態になってしまったのである。あれを出せ、これを調べろ、管轄違いの部署からの命令に従うしかなかった。ひとえに怪我人救助と事件解決の遅れを指摘されてのことである。


 颯爽とサイバーポリスが登場したことによって、謎の警告画面表示事件と自動運転システムのハッキング事件とは一気に解決されるかに見えたが・・・。

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