第29話「愛している」とふたりで誓いあった

11月29日

29 いつか青空

P 8.26 Saturday 体温6-7

●彼女に昨夜洗濯してもらった丸首シャツ、昼ごろかわいた。早速着換える。腹マキかわく。しめると、腹があたたまってきもちがいい。

●ふたりだけで「結婚しようね」と約束した。「愛している」とふたりで誓いあった。結婚しょう。婚約指輪を交換したわけでもない。彼女の両親に挨拶にいったわけでもない。そうするはずだったのに、あまりに急にぼくが病気になってしまった。

●それなのに、どうしてぼくのために、こんなに尽くしてくれるのだ。もうこれでは世話女房だ。ほんとうにありがとう。うれしい。ぼくは孤独ではない。

●先日、退院を前にして、隣の病室の男が自殺した。退院後の生活に自信がもてなかったということだ。かわいそうに。まだ若い男だった。

●彼女が来た。ステテコ。シャツ。買ってきてくれる。それにはきかえる。肋骨すけすけの体、すこしはずかしかった。

●彼女は口数が少ないから、なんなともいわない。心配してるのだろうな。ごめんね。

●はやく元気になるから。

●はやく元気になって、街を歩きたい。


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