作品自体も非常に面白かったのですが、『リドル・ストーリー』『モデスタ・ヴァレンティ通り』『女か虎か』など星原さんあらため雪世さんの博識ぶりにもあらためて驚かされた回でした。
ただでさえ、自分の知識を他者にわかりやすくアウトプットするということは難しいと思うのですが、にも関わらずそれを作中でテーマに沿って組み込むということを自然にやってのけてしまえるそのセンスに感動さえ覚えました。
作品の感想から大きく逸脱してしまいすみません汗
初期の頃と比べて月ノ下君、星原さんだけでなく、その他のメンバーたちもしっかり自分たちのカラーが出ていて、よりいっそう物語に深みが出ていると感じました。
特に今回は本格的な謎解き要素と学生らしい恋愛の葛藤が上手く融合されていたと感じています。
この後、仙川さんと飛田君がどうなったのか、それを考えるのも面白いですね。
これもある種『読者に答えを委ねる形』のラストなのかなあと考えるとあらためて雪世さんは作品作りが上手い作家さんだなあと。
それと『女か虎か』を拝読してみました。
短いながら、こちらも読み応えがありました。
『いつもは他人の心の機微に敏感なはずなのに、こと星原さんの心情に関しては鈍感になってしまう』という主人公を地で行く月ノ下君には、星原王女の気持ちは当分察することは出来無さそうですね笑
非常に良い回でした。
作者からの返信
今回のテーマは「隠されて見えないものが放つ魔力」だったので「聞いたことがない単語」「結末が隠されたお話」などに絡めた雑学の中で、トリックに使えそうな小話をひっかけてまとめてみました。
謎解き要素とテーマが上手くかみ合ってくれたので自分としてはお気に入りの話です。
マイペースでクールな星原さん、お人好しで巻き込まれ体質の月ノ下くんのメイン二人に加え、お調子者だけど男気はある明彦くん、直情気味ですが素直で朴訥としている日野崎さんも少しずつキャラが立ってきました。
仙川さんと飛田くんは多分この後も先輩後輩として少しずつ距離を詰めていくのでしょう。
『女か虎か』は昔の作品なので読みづらいところもありますが、構成が当時としては衝撃的で他の作品への影響が大きかったところはあると思います。
言ってしまえば究極の選択というやつなのでしょうが、星原さんは「好きな人を他の相手に取られるくらいなら虎に食わせる」方を選ぶタイプかもしれません。
拝読させていただきました。
フーダニッツからハウダニッツへの鮮やかな移行。
マクガフィンというテーマを十全に使いこなした作劇。
お見事です。
マクガフィンとなるとある作品をどうしても思い出してしまうので、ちょっとドキドキしていたんですが、新鮮な切り口でした。
実は高井戸のキャラがすっかり出来上がっているのが一番驚かされた部分だったりします。
前回の事件で、中々印象的だったので、そのまま登場して「さすが!」と唸ってしまっていましたw
作者からの返信
コメントありがとうございます。
マクガフィン、ヒッチコック以外だとライトノベルの「サクラダリセット」でも言及してましたっけ。
高井戸くんのキャラは割と後づけですね。
「魔女のロッカー」のときには仙川さんと軽く言い合いをする立ち位置で登場させたので、その延長線上のイメージでキャラクターを広げた感じです。
楽しんでいただけて何よりです。
『佐藤さん』システムを使って口説こうとした人がいるのには笑ってしまいました笑
モデスタ・ヴァレンティ通り……また一つ勉強になりました(¯―¯ )それと『女か虎か?』という作品も気になったので今度読んでみます。
作者からの返信
おそらくは女優志望の綺麗な部員に、あれやこれやと面と向かって聞きづらい質問をしていたのかもしれませんね。
「女か虎か」は検索すればあらすじや全訳を読めるサイトがいくつかあったと思います。
英語表現を翻訳したものなので文章に癖がありますが、短編なので10分程度で読めます。
リドルストーリーならではの独特な読後感を味わえますよ。
これを読んだうえでこの章の最後のシーンで星原さんがどんな気分でこのタイトルを引きあいに出したのか想像するのもいいかもしれません。
モデスタ・ヴァレンティン通り。
リドルストーリー。
これらは初耳だったので興味深かったです。
勉強になりました。
『女か虎か?』もググったら、かなり読者をやきもきさせる内容だったんですね。
思ったよりも掟破りな作品のようで、これまた初めて知りました。
知らないことを知るのは楽しかったです。
作者からの返信
楽しんでいただけて何よりです。
リドルストーリーは作品数こそそんなに多く存在しませんが、リドルストーリーだけを集めた本も出ていたと思います。
尻切れトンボと紙一重の作品もありますが
マクガフィンの正体を明かさないという特性を上手く使って作品に謎めいた魅力を持たせることに成功した名作もたまにあります。
リドルストーリーを語りながらリドルストーリーで終わらせる展開。
面白すぎて後半一気読みしてしまいました!!
とにかく、雪世さんの博識に驚くばかりでした。ミステリーは賢くなければ書けないな、と改めて思いました。
佐藤くんの正体も、本当によくこんな話が思いつくなと感心しきりでした。
最後はいつも通り、微笑ましい終わり方で笑ってしまいました(^^)
作者からの返信
とても嬉しいお言葉です。
今回はテーマと伏線、謎解きが上手くかみ合ってくれたので、自分でもお気に入りの話でした。
私はこういう実体がないものがコミュニティの中で独り歩きして生き続けるエピソードにロマンを感じてまして、「佐藤くん」もきっとこの先も演劇部の一員として存在し続けるのだろうと思います。
月ノ下くんにとっては演劇部に隠された謎よりも星原さんの気持ちを知る方が難しいのです。