小学校の人形

やなかすてら

階段に佇むフランス人形


 皆さんは、自分が通っていた学校の「学校の怪談」はご存知でしょうか?


 学校には「トイレの花子さん」がいたりとか、学校が建っている土地が、かつていわくつきの場所だったりとか色々な怪談があると思います。


 自分が通っている小学校には学校の怪談がありました… というより生まれたといったほうが正しいのかもしれません。









 僕が小学校に上がり始めたころ、築20年と市内でもかなり新しい小学校で、薄暗い以外は普通の新しい小学校でした。

 小学1年生になると、担任の先生の付き添いで校内探検をすることになっており、クラスの子たちと探検するのが楽しかったのを覚えています。


小学校の校舎はコの字を反転させた形になっており、自分たちは真ん中の校舎の屋上に昇ることになりました。


 屋上は4階の上にあり、昼でもかなり薄暗く、クラスの友達たちも怖がっていました。階段を上り、踊り場に差し掛かったころ、クラスメイトの1人が


 「キ”ャァァァァァァァ”!!」


 と悲鳴を上げたのです。もちろんクラスメイト達はびっくりし、中には泣き出す子もいました。自分も(なんなんだ…)と思っていると、悲鳴を上げたクラスメイトが指をさしながら


 「あの人形が……こっちを見たの…!!」


と泣いて訴えたのです。そこには怪しく微笑む洋風の人形が置いてありました。

先生はクラスメイトを落ち着かせるために


 「人形が動くわけはないでしょ?大丈夫よ!」


とクラスメイトをなだめその日は、無事探検を終わらせることが出来ました。


 その後は、なにもなく人形のことは誰もが忘れていました。




 しかし、事件は唐突に起こりました。


 2年生の9月頃、人形がどうなったのか見に行こうと、1人で屋上近くの踊り場に行くと、そこには洋風の人形が笑みを浮かべながら佇んでいました。


恐る恐る近づくと


 「は”ぁぁぁぁぁぁ”…」


 と風とはまた違うもの悲しい声が聞こえてきました。その声を聴いた僕は一目散に逃げました。

 すぐに幼馴染に相談すると笑われましたが、次の日には学校中に広まっていて、上級生が幼馴染と共に調査に行きました。自分はその探検隊には同行しなかったです。


 探検から幼馴染が帰ってくると泣きながら話始めました。彼女は男勝りで、幽霊とかは怖がらないタイプだったので、自分はとてもびっくりしながら聞いていました。


 「お兄ちゃんたちがね、人形を手にしたら「気持ち悪い!」っていって人形を投げたの!そしたら変な声が聞こえて…頭に落ちてきたの…」


 「それで大丈夫なの?呪われてない?」


僕が聞くと幼馴染は笑いながら「大丈夫だよ!」と答たので僕は安心しました。




 その後、人形は教師に回収されてなくなっていました。


 近所のおばさんにこのことを話すと、人形は、10年前に教頭先生が持ち込んだフランス人形で、なぜ屋上近くの踊り場に置いてあったのかは、わからないとのことでした。


 その後、小学校には「謎のフランス人形が徘徊する」という怪談が語られることになりました。

 

 

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