この生命は誰のもの
石神三保
登場人物、舞台設定、梗概
登場人物
・シンジロウ
本作主人公。14歳。「集い」へ参加する動機となった様々な経験を回想する。慢性活動性EBウイルス感染症に罹患しており、症状の凄まじさと治療の副作用に苦しむ中で、入院している小児病棟の患者と「院内学級」で友情を育む。二度目の入院生活を送るある日、同じ慢性活動性EBウイルス感染に罹患した年上の少女、武林愛美が入院してきて、同じ病のよしみで友情が生まれる。やがてその友情は恋心へと変化していく。シンジロウがその恋心に気付いてまもなく、愛美の病状が進行し、最後の言葉を託される。そして愛美は病に倒れ、その悲しみと病魔への恐怖、そして託された言葉を実行するため、シンジロウは「集い」への参加を決断する。
・武林 愛美(たけばやし あいみ)
本作ヒロイン。16歳。慢性活動性EBウイルス感染症に罹患しておりシンジロウと同じ病院に入院する。演劇をやっており、将来の夢は舞台女優。演劇の経験を生かして「患者の会」では紙芝居などのお芝居を行っており、年少の子供たちの人気者となった。シンジロウにはパズルを教えて貰う一方、同じ病気である慢性活動性EBウイルス感染症の相談をしていた。後にシンジロウとタブレット端末を使った交換日記を始め、お互いの友情を深めていく。しかし病状は急速に進行し、シンジロウに最後の言葉を託して病に倒れる。
舞台設定
・『十二人の死にたい子どもたち』の舞台よりも過去、シンジロウが入院している小児病院が舞台。入院生活が長い子供のために、院内学級が設けられており、勉強や遊び相談事など子供同士で交流できる場を設けている。子どもの権利を最大限尊重し、自主性を生かすよう努力をしていて、院内学級には医師、看護師も参加して患者のQOLを高め、親睦を深める場としている。
梗概
・シンジロウが「集い」に参加するまでの物語
シンジロウは稀な病気である「慢性活動性EBウイルス感染症」に罹患していた。同じ病で三度入院をすることになる。入院中は様々な重篤な症状に苦しみ、病魔と孤独に戦っていた。二度目の入院生活を過ごしていたある日、同じ病気の年上の少女「武林愛美」が入院してくる。愛美とは長期の入院患者が学習のために集う院内学級で知り合う。同じ病気の仲間ができたことに親近感を感じ、シンジロウと少女は、いつしか友人となり交換日記をするようになる。少女は女優を目指しており、時折同じ入院している子供達に対してお芝居をする明るい子だった。シンジロウは病気の先輩として、相談事を聞く一方で彼女にパズルを教える。様々な話をしているうちにシンジロウは意識していなかったが、淡い恋心を持つようになる。しかしそんな関係は長くは続かず、愛美の容態は急速に悪化していく。愛美はあらゆる合併症を引き起こし衰弱する。シンジロウはその姿を見るに堪えられなくなっていくと同時に、自分の病が進行した場合に何が起こるのかを理解し、病魔に対する恐怖を深めていった。シンジロウが聞いた彼女の最後の願いは「この病気のことをもっと多くの人に知ってもらいたい」であった。シンジロウはその後一旦退院するが、学校に戻るとそこに居場所は無かった。学校担任がシンジロウの病状を不正確に伝えたため、感染症の人間として忌み嫌われる。クラスメイトに理解をしてもらおうと努力したが、受け入れられることは無かった。シンジロウは失意の内に高校を受験し、人間関係を全てリセットする。新たな生活を始めようとしたのもつかの間、シンジロウの叔父が信仰する新興宗教団体に拉致されてしまう。その新興宗教は医療の全てを否定し、魂の磨きが足りないから病気になるのだとシンジロウを医療から引きはがそうとする。両親と親戚を巻き込んで、自分の病気が原因でトラブルが起こったことにシンジロウは深く失望する。そんな中、再び病魔が襲い三度目の入院をする。三度目の入院では、愛美と同じような合併症を引き起こし、彼女の無残な最後を思い出して死の恐怖に震える。そしてシンジロウは彼女の願いを叶えることと、病魔から逃れる方法を探し、「集い」へとたどり着く。
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