6.
なんで突然!?
驚いて顔を上げたら、会長は優しい笑みを浮かべていた。
そして、私の頭も優しく撫でる始めた。
「ちょっと、私いいって言ってない……!!」
学校の外とは言え、人の目があるのに!
でも、何だか会長が慰めてくれてるようにも感じて。
「あいつ、昔いろいろあってさ。普通の人には耐えきれないぐらい、いろいろあって。少なくとも俺には耐えきれない」
悲しそうな顔の会長。
「生徒会の関係で、耀毅も手幡さんが一人暮らしってのは知ってるよ。一人暮らしの理由までは、俺も耀毅も知らないけど。でも、耀毅としては手幡さんが自分の境遇と似てるような気がして、そんな人に初めて会ったから戸惑ってるんだよ」
だから嫌ってないよ、と会長はにっこり笑って言った。
……ずるいなぁ。
頭撫でながら、そんな顔でそんなこと言うとかさ。
「会長のせいで泣く」
「何で!?」
「会長ずるい」
「そっかぁ……。じゃあ、泣かせたんだから、責任を持って手幡さんとお付き合いしますよ」
「……それとこれとは話が別」
隙がないな、この男。
むっと会長を睨むと、あははと笑って私の頭から手を下ろした。
「手幡さんに涙は似合わないよ」
「……その台詞クサイ」
「え、かっこよくない?」
「途中まで会長の株上がってたのに、責任持って付き合うとクサイ台詞で株が元通りです」
「……強いショックを与えたら記憶が飛ぶって聞いたことあるな」
「そういうことガチトーンで言うのやめて」
冗談だよ、と会長は笑うけど、本気でやりかねない。
目を細めてじっと見つめると、「信用ないなぁ」と更に笑った。
「でも、俺の株は上がらずに耀毅の株が上がったから、記憶消したいな……」
「会長の株がもっと下がった」
「このまま下がり続けて最底辺まで行ったら襲うか……。どうせ最底辺なんだし」
本気か冗談かわかりやすくしろ、サディストめ。
「あんまり冗談言い過ぎると、怒るよ?」
「怒った手幡さんも可愛いだろうから、むしろ見たいです」
……ダメだ、この人。
重症だわ、末期だよ。
怒っても、結局この人には負けるんだろうな。
そうこう言ってるうちに、見慣れたアパートが見えてくる。
「近いなぁ、手幡さんの家」
「学校に近いところに引越したんだもん」
「もっと一緒にいたいなぁ」
ちらちらと私を見ながらそう行ってくる。
家に上がりたいってことか。
「風邪で家事が滞っているのでダメです。また明日、放課後に勉強するからいいでしょ?」
「やっぱりダメかぁ。手強いなぁ」
「気を抜くなって言ったのは会長でしょ」
隙がなく攻めてくるんだから、攻防戦だ。
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