6.




翌朝、病院に行って受けた診断は熱発。


ただし、疲労によるものだから安静にするように言われた。


熱は昨日からほとんど下がらない。


なのに昨日より意識はしっかりしているし、体が少しだるいだけだ。


余計にタチが悪い。


病院から帰ってきて早々に伯母さんは仕事に行き、寝るばかりはつまらないから、再来週に迫った期末考査の勉強を始める。


成績上位を狙っているわけではないけど。


といっても頭がいいわけじゃないから勉強、すごくつまらない。


会長、勉強教えてくれないかなぁ。


ふわっと大きな欠伸をする。


もうすぐ17時。


眠たくなってきたし、また寝ようかな。


変な時間に起きて、夜眠れなくなるかもしれないけど、熱が下がらないし、どうせ明日も休まないといけないだろうから。


テーブルの上に教科書とノートを広げたまま、ベッドに潜り込む。


1DKの部屋だから、寝室なんてものはない。


でも、一人暮らしだからこのくらいの部屋で十分。


また欠伸をしてから、私は眠りについた。


しかし、誰かが玄関の鍵を開け、ドアが開く音がしたことで、眠りからすぐに引き戻された。


合鍵を持っているのは稔と伯母さんだけ。


伯母さんは仕事だから、学校終わりの稔だ。


なら寝ててもいいか、と思い、瞼を閉じる。


でも、複数人の足音が聞こえ始めた。


まさか、今日も会長来たの……!?


生徒会、最近暇なのかな。


眠ろうとしている体に鞭打って、体を起こし、目を擦っていると部屋のドアが開いた。


稔と一緒に入ってきたのは、会長と藍花。


やっほ、と言う藍花に続いて、会長もお邪魔しますと言う。


寝てたのか、という稔の質問に私は頷いた。



「そりゃ悪いことしたな」


「大丈夫。藍花と会長が来るとは思ってなかったけど」


「心配だったから、今日もごめんね。生徒会の引き継ぎが終わったからね、最近は仕事ないんだ。去年から生徒会入ってたし、もともと引き継ぎは少なかったんだけど」


「私はテスト期間で部活が今日から休み」



なるほど、そういうことか。


2人とも普段忙しいもんね。



「2人連れて行くって連絡しようにも、お前携帯持ってないからな」



ため息混じりに稔は言う。


だって、携帯料金高いじゃん。


高校生の一人暮らしなんだから、節約第一なんだ。



「手幡さん、女の子の一人暮らしなんだから、余計に必要でしょ」


「そうそう、会長からも言ってやってくれ。母さんが携帯料金払うって言ってんだから、いい加減買え」


「でも充電に電気代かかるじゃん……」


「だったらそれも払うように母さんに頼むから、買え」



そこまで言われると何も言い返せない。


稔の家に迷惑かけられないのに。


テストが終わったら、と言って私は渋々折れた。



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