3.




何だか気持ちいい。


ふわふわする。


暖かいなぁ。


ふふふ、と私は笑う。


何だかとても幸せな気分。


なんでだろう。


ゆっくりと目を開けると、知らない天井。


……どこ、ここ。



「あ、手幡さん!大丈夫!?」



視界に入ってくる慌てた顔のイケメン。



「あれ、会長ー?どうしたのぉ?」


「どうしたもこうしたもない!!昼休みに手幡さんを訪ねて行ったら、御門さんが保健室に行ったって言ってて、慌てて来たんだよ!」



怒鳴り声の会長。


あ、そっか、私、藍花に顔色悪いって言われて保健室に来たんだった。



「ごめんなさい……」



掠れた声でそう言えば、全くだよと言い返される。



「なんで怒ってるの……?」


「体調悪いって言ってくれなかったから!」



それは、自分でも気づいてなかったから仕方ないじゃないか。


ごめん、とまた言うと、会長は顔を歪めた。



「でも……、それ以上に体調悪いってことに気づかなかった自分が腹立つ。好きな子の異変に気づけないなんて……」



手で顔を伏せて、会長は最悪だ、と呟く。


会長……。



「泣かないで、会長……」



起き上がって、ベッドの傍に座っていた会長の頭を撫でた。


驚いた会長は、真っ赤になった顔を上げた。


えへへと私は笑う。



「会長、真っ赤だねぇ」


「……うるさ。泣いてないし。手幡さん、絶対熱あるだろ」


「うん、寝る前に測ったら38.5だってぇ」



また、えへへと笑う。


熱出すのなんて久しぶりだなぁ。


頭クラクラするけど、何だか楽しくなってくる。



「なんでそんなにお気楽なの!?いいから横になって!体温計取ってくるから、また熱計って」



椅子から立ち上がって、会長は体温計を取りに行く。


こんなに慌てる会長、初めて見たなぁ。


いつも余裕そうで、私ばっかり動揺してるんだもん。


たまには会長も慌てたらいいんだ。


そう思いながら、私の意識は沈んでいった。

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