第3話 チーム

 10月。

 国家試験も終わり、それを境に夏の残暑と呼ばれる猛暑も衰え暑さが和らぐそんな時期に後期の授業が始まった。

 入学からはや半年、マルチメディア学科一年生は各専攻にわかれ別々の授業が執り行われていた。

 最初にイラストレーション・グラフィッカー専攻の生徒は、デッサンやデザインの授業を行いCGモデリングソフトの『Mayu』や『3DMIX』を用いた授業をする。

 次にミュージック専攻は作曲や生演奏、レコーディングや音楽作成ソフトを用いた授業をする。

 正直、ミュージック関連はそこまで詳しく知らない。

 そして、僕たちゲームクリエイション専攻では、『C#』の言語を用いたゲームプログラミングの授業やそれに合わせて、ゲームAIの構築やゲームの処理のプログラミングを学ぶ、ゲームアルゴリズムの授業今はしている。

 11月からはその授業に加えて、ゲーム開発エンジン『Unitir』や『NonrealEngine』を用いたゲーム設計の授業と平行してゲームプランニングの授業が始まる。

 これから同じ学科のクラスメイトは全員仲間......と言うわけでもなく後期の授業が始まると同時に、複数のチームにわかれてしまった。

 それは、国家試験が終わった翌日の月曜日の朝のホームルームのことだった。


「みなさん。国家試験、お疲れ様でした!

 各々、出来ばえはどうであれ結果が出れば自ずと努力が不足していたか満足だったかわかると思います。

 今も不安な方がいらっしゃると思いますが、別に国家試験が全てではありません。

 むしろ、君たち専門学校の生徒ですから今日から始まる専門科目の方が今は大事です。

 この話を聞かずにいる人は、きっと自分がこの専門学校の学科選択を間違ってたと思っているんですかね?

 人の話しも聞かずにスマホをいじってる人は、今すぐ学校をやめて働いていた方が人生有意義ですよ?

 それでは、少しですがマルチメディア学科後期の授業について少しガイダンスをいたします」

 幾人かのスマホをいじっていた生徒は、背筋が凍るような思いでスマホをポケットに入れていた。

「マルチメディア学科の後期の授業ですが、始めに5つのチームを分けます。

 ゲームクリエイション専攻は、1チームに5人。

 イラストレーション・グラフィッカー専攻からは4人。

 ミュージック専攻には、3人から4人の10人程度のチームに別れます。

 その別れたチームで、ゲームを作っていただくのがマルチメディア学科後期以降の課題になります。

 チーム内で作られたゲームであれば、どんなときでも先生に提出してもらっても構いません。

 評価基準は、ゲームの内容よりゲーム制作の過程での完成度を重視します。

 従って、チームのリーダーになる人は制作の資料作成や制作時のレポートもまとめて提出するようにお願いします。

 ですが、チームによっては全く提出しないとこも出ると思いますので、最低限の納期を学校側から指定します。

 納期は来年の6月。

 『日本ゲーム大賞 学生制作部門』の作品応募を必須課題として作品を提出してください。

 それでは、チームをランダムで選考します」

 そう言うと先生は、プロジェクターにエクセルを映し5つの表にランダムに組まれたメンバーを映した。

 僕のチームは、Bグループだった。

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