第2話 プロローグ

 僕にとってプランナーとは、未だ茫然として未知なものだった。

 ただ、それと同時に憧れに近い好奇心のような思いを抱き高校のときには漠然とプランナーになりたいと思った。

 子供の頃からゲームは好きだし、この歳になっても楽しい。

 でも、それも高校の頃かな? 中学まではゲームを表面的に触れて楽しいって思うだけだったけど、今じゃあゲームの深い部分まで触れてみたいって思うし、それで楽しみたいって思うようになった。それに、自分も楽しませたいって思った。

 だから僕は、楽しませることを一番実感できるプランナーに憧れた。


 4月。

 満員電車に押し潰され揺らされ息を圧し殺して30分、春から通う学校はそこにある。

 都心部から少し離れた郊外に奇妙な形をしたビル。

 僕の利用する沿線の最寄り駅から徒歩、10分くらいに位置する。

 ビルの周りには、『櫻庭テクノロジー専門学校 西日本校 入学式会場はこちら』とかかれたプラカードを持った先輩方が立っていた。

 誘導に従い進むと、入学式会場は奇妙な形をしたビルの隣にある流線型が特徴な建物へと案内された。

 建物には、入学式と書かれたよく見る看板と『櫻庭ホール』と入り口に記載されていた。

 櫻庭ホールを入って右側に新入生受付がある。

 受付を通ると、学籍番号とクラス番号の『M1-GC1-017』と記載された紙を貰った。

 入学式の座席は、学籍番号によって決められていた。


 入学式自体はどこにでもあるような普通な入学式だった。

 僕の入学した学校は、確かにゲームを作る事を学ぶ学校だけれど、それはゲームも学ぶ学校ってだけでホームページや説明会など主に取り上げられるのは、ネットワークや情報セキュリティ、データベースのシステム学科を主に、付け加えられるようにゲームやミュージック、イラストレーション・グラフィッカーのマルチメディア学科とロボット工学学科がある。

 つまり、どこにでもあるようなIT系の専門学校なので、別に独創性に富んだ催しもなくただただ普通の専門学校だ。


 マルチメディア学科の教室は、主に櫻庭ビルの10階から16階の6フロアが主になる。

 満員状態のエレベーターに乗せられ10階まで上がる。

 教室はまるで、シアターのような大きな教室でマルチメディア学科1年生が全員収容できる程だった。

「みんな、入学おめでとうございます。

 私がこの年、マルチメディア学科の担任の遠藤幸敏です。

 全員の自己紹介といきたいところですが、ゲームクリエイション専攻が24人、イラストレーション・グラフィッカー専攻が20人、ミュージック専攻が18人と名前と顔を覚えるが途方に暮れるほど多いクラスが自己紹介をしたら日が暮れてしまうので割愛して、今から学校のガイダンスを行います」

 マイクを持った遠藤先生は、モニターにパワーポイントを映し説明した。

 端的にまとめると、専門学校は大学と違って企業の方を招くことが多く普段から、企業の方に観察されてる意識を持てだとか、専門学校に進路を選んでるなら自分のやりたいことが明確だから、授業を無断で欠席、遅刻は言語道断だとか普通の事を話されていた。

 そして何より驚くのが、クリエイター系の学科にも関わらず前期の授業は、秋の国家試験に向けて基本的な情報の知識を身に付けるための授業で埋まっていた。


 そして、5月6月......と季節は流れ、10月の国家資格の月。

 僕たちクリエイター系の学科は、案の定国家試験の内容は散々で、きっとクリエイター系の学科の生徒の殆どは試験には落ちたんだろう。

 そんな試験の終了を境にクリエイター系の専門的な授業が後期の授業として開始された。

 授業のカリキュラムとして僕たちゲームクリエイション専攻は、『C#』を基本としたプログラミングの授業を行い、プランニングやアルゴリズムの授業、実際に使用されるオープンソースソフトウェアの開発エンジンを使用したゲーム設計の授業があり、後期中盤以降ではゲームのコンテストを応募を目的とした授業も始まる。

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