終始、あるひとりの女性の台詞だけで進行する朗読劇です。事情を知らない通りすがりのかたのために説明すると、これは第八回本山川小説大賞という自主企画に応募されたもので、朗読を前提とした作品になっています。この縛りの中でひとときも読者を飽きさせることなくグイグイと物語を牽引し、二転三転する展開を盛り込み人間の業を描き出す手際が鮮やかにキマッています。