搔き乱す絶叫

やめてやめてやめてヤめてやメテやめてヤメテやめてやメてやめてやめテやめてやめてヤメてやめテやめてやめてやめてやめてやめてやめてあさがきてはならないヤメテやめてやめてやめてたすけてやめてたすけてたすけてたすけてやめてやめてたいようがやめてヤメてやめてみんながしんじゃうヤメテやめてやめてもういややめてやめてやめてやめてここからでたいやめてヤメテやめてやめてこないでやめてあいたいヤメテやめてやめてやめて……



 剣を構えたまま、ユキは動けなくなっていた。

 歯を食いしばって、あと一歩のところまで来たが、ついに膝をついてしまった。


 エトランゼに向かって剣を掲げた直後、頭の中に一度にたくさんの声が流れ込んできた。

 声は全て同じエトランゼの声なのに、同時に複数の悲鳴が重なって響く。

 まるでエトランゼが何人もいるかのように。


 ユキは頭痛がするのか、それとも先刻のジュナのように見えない何かに動きを止められているのか、苦しそうに顔を歪めたまま、固まってしまっている。


 シノは、自分の手足が動くことに気付いた。


 気付いたが動けなかった。


 そうこうしているうちに、エトランゼの声はどんどん強まっていた。

 ユキは辛そうに歯を食いしばっている。


 どうしようどうしようどうしよう

 急げ急げ動け動け動け動け

 怖い怖い怖いいやだいやだいやだ


 いろんな感情がぐるぐると頭の中で回り続ける。

 エトランゼの声と、自分の思考の目まぐるしさで正気を失いそうだった。

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