終わりを告げる者

 魔法円で転移したシノは、自分の手を強く握っていてくれるユキの手を、本当に頼もしく思っていた。

 自分がこれからやろうとしていることの大きさに、手も足も、震えが止まらないほどの恐怖を感じていたけれど、ユキの手を取ったら震えは治まった。

 手をつなぐって、こんなに心強いことなんだって、知らなかったと、シノは思った。


 満月の内部は静かだった。


 ジュナも、守護者も、もう誰もいなかった。


 女王の椅子に座り、虚空を見つめ続けるエトランゼ、だた一人だった。


「イーシャ姫」


 ユキはそう言うと、シノの手をほどいて、エトランゼの前に跪いた。


「我々はカラスの使い。これより、全てを終わりにさせていただきます」


 そう言うと、ユキは、自分の剣を掲げた。

 まるで騎士のようだった。


 シノはようやく、ユキがやろうとしていることに気付いた。

 自分の代わりに、エトランゼと天球儀の繋がりを切断しようとしているのだ。


「ユキ、待って」


 シノがユキに手をのばした、その時――

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