第40話 逃げも隠れもしない!
このエデンにおいて
基本的には好意的な者が多く、ほとんどの国で特別待遇を受けることが出来るので、右も左もわからない状態な事がほとんどの
だが、イコール苦労知らずという訳では無い。
国全体で
リンがいるルフィアは領主が
だが、
それが
あの傲慢なルフィア領主が、差別する
あらゆる病を治す万能治癒魔法ーー
エデンには存在しない魔法鉱石を錬成する錬金術ーーー
広範囲にわたって味方の能力を倍増させるエンハンスーーー
もちろん全ての
だが一部の《異能》は国の力関係を変えるほどの力を持つ。
故に、エデンにおいて
上手くいけば国力の強化に繋がり、政治的な力を増す事が出来る。
だから可能な限り自国に引き込みたいのが本音なのだ。
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ライズはそう言って小さくため息をついた。
「今回の件も、そう言った理由からリン殿に接触させてもらったのだ。 本当にすまない…」
頭を下げるライズにリンは小さく首を振った。
「頭を上げて下さい。 どうして正体不明の俺をこんな高待遇で迎えてくれたのか。 その理由がわかってスッキリしましたよ」
リンにとってライズの話はある程度予想がついていた。
リンにとってこれまでの人生経験で無償の好意など無いと、若干屈折した考えだった為、納得はすれど驚きは無かった。
「だが、戦争に借り出したのは我々だ、事実は事実なのだから、やはり謝っておきたかった。」
その言葉にリンは思わず笑いがもれた。
「それは違います。 俺が自分から首を突っ込んだんです。 だからこれは俺自身が望んだ事です。」
それは本音だった。
そもそもライズもクリスも最初から力を貸してくれと頼んできてはいない。
それどころか、逃げろと言ってくれた。
最初から利用するつもりならそんな事は言わない。
むしろアリスの件を追求し、強引にでも戦争に駆り出す事も出来たのだ。
それをしなかったのはライズもクリスも本音ではそんな事をしたく無かったのだろう。
リンはそう思っていた。
「だから、気にしないでください」
「そう、か…ありがとう」
そう言って再びライズは頭下げた。
僅かな沈黙の後、顔を上げたライズは真剣な表情で話し始めた。
「前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。 王都が落ち、国王が処刑の危機に陥った以上もはや猶予は無い…我々はすぐに王都に向かい最後の戦いに臨むことになる。 そこで最初の話に戻るが…リン殿、先ほどの話を聞いた上で考えて欲しい。 リン殿は今後、このエデンでどの様に生きていきたいと考える?」
ライズはそう言って真っ直ぐにリンを見つめた。
「先ほど伝えた通り、
そう言ってライズは申し訳無さそうな表情を浮かべた。
その様子を黙って見ていたクリスが口を開いた。
「団長の立場では言えない事なので私から伝えましょう。 簡単に言えば、秘密にするなら早い方がいいという事です。
団長が人払いをしたのは、少しでもリン殿を知る者を減らす為です。
当然、戦争に参加するなど出来ることではありません。 その意味が分からないリンさんじゃないですよね?」
そこでようやく先ほどの「はっきりさせる」という言葉の意味が理解できた。
要するに
先ほどの様に力を使って生きていれば自然と目立つ、戦争に参加すればなおの事だ。
だから
先の約束で
だからここではっきりさせたかったのだ。
戦うか、逃げるかーー
だが、その答えは既に出ている。
だからはっきりと答える事にした。
「正直、これからの事を具体的決めた訳じゃありません。 だから、それをこれから探そうと思っています。 でも一つだけ心に決めている事があります。 」
それを覚悟と呼ぶ事には躊躇いがある。
だからそれはきっとこれから自分で証明するしか無いと思う。
だからこれはその第一歩ーー
「俺は自分の大切なものを守れる様になりたいと思っています」
自分の中の矜持ーーー
絶対に譲りたくない思いーーー
「だから逃げも隠れもしません。 戦います!」
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