第8話 不老不死と蘇生時自己強化

「ははは…」

 凛は思わず乾いた笑いを漏らす、確かに知識としては知っていた。

 良くあるラノベなんかではお約束みたいなモノ

 だが自分にそんな力があるとは思っていなかった。

 いつドラゴンに襲われるか分からない状況でゆっくり確認する事が出来なかったと言うのもある、だがそれにしても迂闊だったと思う


 ・自動蘇生

 ・不老

 ・蘇生時自己強化【極】

 ・身体強化【大】

 ・基礎能力強化【大】

 ・格闘術 【Lv2】

 ・状態異常耐性【大】

 ・成長促進【大】

 ・痛覚無効

 ・痛覚耐性

 ・全属性耐性【極】

 ・魔法適正【極】

 ・言語理解・共通化

 ・物質変成【武器化】

 ・鑑定【Lv3】

 ・アナライズ【Lv2】

 ・ストレージ【小】

 ???

 ???

 ???


 最初に確認した時には無かったスキルがいくつか増えていた。

 突然のジャンプ力や走力の強化も、ドラゴンを吹き飛ばした拳もあの時スキルを獲得したからと考えれば納得がいく。

 そして月竜の言葉を理解出来たのも、言葉が通じたのもスキルが理由だった。

 そしてそれらのスキルの取得は非常にタイミングが良かった。

 その理由も恐らく当たりが付いている。


「あの〜…なに、してるの?」


 恐る恐るといった感じで月竜が声を掛けてくる。


「あ、ああ、ごめんちょっと考え事とスキルの確認をしてた。」


技能スキルを確認…?な、なんか凄い違和感を感じるんだけど、あぁ、そのメニューって力で確認したの?」


「ああ、俺の言葉が月竜に通じてるのも、俺が理解出来ているのもスキルのおかげだみたいだな」


 スキルの中にある言語理解・共通化、これのお陰で意思疎通が出来るのは間違い無さそうだった。

 その事を月竜に伝えると、


「…なにその技能スキルすっごい便利じゃない!でもそんな技能スキル聞いた事無いし、異能だと思うけど…あれ?でもそうすると貴方の不死性は異能じゃ無くて特性なの?」


「……いや、多分違う、それに生き返る理由もわかったんだ」


 スキルを確認した凛が思わず「お約束」と漏らした最大の理由。

 最初はそのスキルの効果が分からなかった。

 だから凛は、メニューのスキル一覧からスキルの詳細が確認出来ないか調べた。

 そしてそれは簡単に分かった、ただスキル一覧から確認したいスキルを選択するだけだった。

 そうして確認したそのスキルが、何度も生き返った理由だった。


 【自動蘇生】スキル保有者が死亡した際、自動で蘇生、回復する。


 その短い説明文に対して、スキル効果は余りにもぶっ飛んでいた。

 そしてもう一つ、そのスキルは恐らく単体でではほとんど役に立たない、【自動蘇生】と組み合わせる事で途轍も無い効果を発揮する。


 《蘇生時自己強化》…蘇生時にスキル保有者のレベル、ステータスを強化する。スキルを取得、強化する。(パッシブスキル)


 そのスキル効果は効果は絶大である。

 だが普通なら簡単に満たせる条件では無い。

 そう、

 【自動蘇生】このスキルがあれば簡単に蘇生の条件を満たせる。

 しかもパッシブスキルだ、常時発動のスキルならば不意打ち、事故死、突然死、暗殺、一切関係ない。

 なんせ勝手に生き返るのだ。

 死ねば死んだだけ強くなる、完全にチート能力である。

 しかも不老のオマケつきだ。


 その説明を聞いた月竜は


「…………」


 固まっていた。


「あと、多分全部スキルだと思う、俺の感覚だからもしかしたら異能なのかもしれないけど……」


「……はぁ……もう驚きを超えて呆れるレベルよ、まぁなら良かったわ、それなら最悪なんとかなりそうね」


 月竜は呆れつつも、どこか安堵を含んだ声で蓮に教えてくれた。


「ここから北に行くとセントアメリアって国があるわ、ヒュームが人口の大半を占める小国だけど、とても平和で豊かな国よ。異世界人アナザーに対する理解もあるから入国も心配しなくて大丈夫」


 それは凛に衝撃をもたらす言葉だった。


「人がいるのか! でもヒュームとかアナザーとかってなんだ?」


 月竜との会話で何度か出てきた言葉だが、ここまで聞くタイミングが無かったのでついでに聞いておいた。


「あぁ、そっか、なんか当たり前に通じてるから知ってるかと思ってた。ヒュームは種族の名称、異世界人アナザーは異世界から飛ばされて来た者の総称よ、異世界人アナザーはその殆どがヒュームだから貴方も多分ヒュームって事になるわ。見た目も完全にヒュームだしね」


 凛は成る程と相槌を打つ。


「まぁ本当はもっと色々教えてあげたいけど時間もなさそうだし、セントアメリアで異世界人アナザーである事を告げれば色々教えて貰えると思うわ。問題はセントアメリアまで最低でも三日は掛かる事と途中でかなり好戦的な魔物の縄張りがある事だけど、貴方のその技能スキルがあれば最悪、何回か死ぬかもしれないけど、辿りつけるはずよ」


 物騒な話が飛び出す。


「ちょっと待ってくれ! 魔物なんかいるのか!」


「はぁ……仕方ないとは言え、貴方本当に何も知らないのね……でも大丈夫よ、さっきも言ったけどセントアメリアに行けばなんとかなるわ、私が連れて行ってあげられれば良かったけど、無理そうだし……ゴメンね」


 何故か、月竜は申し訳無さそうに謝る


「いや……謝る様な事じゃ無いよ、それより時間が無いとか、連れて行けないって……」


「あぁ、だって」


 月竜はなんて事ないことの様に--


「私、もうすぐ死ぬもの」


 そう言った。

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