理力甲冑紹介

本編で登場した理力甲冑の紹介です。例によって本編と矛盾する内容があった場合は本編のほうが優先です。



アルヴァリス


 主人公機。主な搭乗者はユウ。


 身長:10.1m

 重量:7.31t


主武装


 専用の剣:通常の理力甲冑用の剣よりも少し幅広な片手剣。その分、重量があるがアルヴァリスの膂力では十分に扱える。汎用型の剣よりも切れ味に優れ、装飾もまさに騎士が持つ剣といった少し凝ったものになっている。


 専用ライフル:この異世界では珍しいオートマチック式の理力甲冑用アサルトライフル。弾頭は他の銃と共通。ただし、弾倉の容積との兼ね合いで総弾数は20+1と、フルオートで撃つとすぐに弾切れになる。射程、威力ともに平均的な性能で、比較的取り回しも良い。


 汎用盾:初期のアルヴァリスに装備されていた汎用型の理力甲冑用の盾。汎用型なので、ステッドランドなどと同型の盾を装備している。厚い鋼鈑で出来ており、遠距離からの銃撃を弾く。しかし近距離では角度次第で勘当する事もあって、操縦士によってはデッドウェイトになるのを嫌って装備しないものもいる。


 オニムカデの盾:大型のオニムカデから採取した、極めて強靭な甲殻から作られた盾。オニムカデの甲殻は硬度と柔軟性を兼ね備えており、生半可な攻撃では傷一つ付けられない。この盾は薄く研磨した甲殻と鋼鈑を何層も張り合わせて作られており、汎用型の盾よりも遥かに軽く扱いやすい。また層と層の間には僅かな隙間が設けられており、大きな衝撃を吸収する事が出来るので見た目よりも防御力が高い。


 オーガのナイフ:エンシェントオーガが持っていたナイフ。何故かアルヴァリスと一緒に回収された為、使う事に。ナイフとはいっても、理力甲冑の大きさからしたら両手持ちの大剣であり、アルヴァリスでもその大きさと重量に苦労するほど。エンシェントオーガの文明レベルは不明だが、かなりの業物らしい切れ味としなやかな刀身を持つ。




 先生が一から設計開発した理力甲冑。もともとの計画では帝国の次期量産型理力甲冑の雛型として開発された。当時の水準としては破格の性能を誇るが、量産費用が高くなり計画は中止に。そのおかげで別の機体が次期量産型として再設計される事になってしまった。


 高い機体性能を支えるのは操縦席上部(機体の背面近く)に搭載された理力エンジンによるもの。この理力エンジンが操縦士の理力を増幅させることで非常に強い理力を全身に伝える事が出来る。しかし、当初は理力エンジンの調整が不十分で、ユウのようなもともと強い理力を持つ人間にしか扱えなかった。今では普通の人間にも扱えるようになったが、アルヴァリス自体がじゃじゃ馬のような操縦性なので、実質ユウの専用機となっている。


 機体性能向上のため、各パーツは高品質かつ耐久性に優れるものを採用しているが、それでも人工筋肉の消耗が激しいことが判明した。これはユウの強い理力とそれを増幅する理力エンジンが先生の想定以上に発揮されたためと考えられた。そこで先生は新型の人工筋肉を新たに開発し、試験的に搭載することにした。そのおかげで従来の人工筋肉よりも耐久性、筋収縮性などが大幅に向上。将来的には連合の理力甲冑はこの新型に置き換える予定になっているが、原料である魔物の養殖方法が現段階では確立していない。


 不確定な情報だが、アルヴァリスが戦闘中に謎の発光現象を起こしたという報告がある。その報告によると、全身の人工筋肉から銀色(金色という報告もある)の粒子のようなものが溢れるように放出されたという。また、発光現象中のアルヴァリスは機体のスペックを大幅に超えた機動と瞬発力、膂力を発揮したという。これらの現象は本来の仕様なのか、それとも別の要因によるイレギュラーなのか、発生条件を含め現在の所は一切不明である。









レフィオーネ


 現時点で唯一の単独飛行可能な理力甲冑。主な搭乗者はクレア。


 身長:9.6m

 重量:5.69t


主武装


 長銃:クレア愛用の銃。一世代前の頃から使われている型が古い銃だが、信頼性と命中性能から未だに現役のライフル銃。クレアはさらに長い銃身と狙撃用のスコープ及び銃床にカスタムしている。弾頭は連合、帝国で共通のものが使われているが、これは銃器が実用的になる早い段階で共通規格が作成されたため。クレアは普段から狙撃用の弾頭を使用しているが、通常の物や対魔物用の弾頭もストックしている。


 コンバットナイフ:腰部スラスターの背面部に装着されている。基本的にレフィオーネは近接格闘戦に向かないので使用されない。どちらかというと多目的用のナイフ。




 戦闘で大破したクレアのステッドランドの後継機。元は連合で開発途中の試作機だった。理力甲冑の技術に劣る連合は帝国から鹵獲したステッドランドを元に様々なコンセプトの機体を開発していた。そのコンセプトのひとつに機体の装甲や骨格、人工筋肉を極限まで削りこみ、軽量な機体を作るというものがあった。しかし、あまりにも軽量化しすぎたため、パワーも弱く薄い装甲で接近戦は向かず、全力で走ると骨格が歪んでしまうという欠陥機となってしまった。


 そのため、クレメンテの倉庫に眠っていた所を先生に発見され、魔改造の末にレフィオーネとして完成した。その特徴は単独で飛行可能という点。この異世界では航空機が未発達なため、空という高所から攻撃を仕掛けられるという非常に大きなアドバンテージを有する。しかし元になった脆弱な機体を最低限補強しただけの耐久性なので相変わらず接近戦は不得意。


 腰部から足元に伸びたスカート状のスラスターによって飛行及び機体の姿勢制御を行う。背部に搭載された理力エンジンにより周囲の空気を大量に吸引、圧縮し、スラスターから噴射する。スラスターの角度や向き、圧縮空気の量を変えることで高い運動性を持つ。また、エンジンの不調といった緊急時などの為に準飛行状態と呼ばれるモードがある。ちなみに圧縮空気の噴射音は非常にうるさく、隠密行動などには適さない。


 基本的な戦闘スタイルは空中からの狙撃及び撹乱。この時代には対空火器も未発達、さらに高所への狙撃は難しいため被弾する心配はほとんど無い。先生はレフィオーネのような飛行型理力甲冑を量産して爆撃機や騎兵的な運用を考えているようだ。









ステッドランド


 帝国の主力量産型。主な搭乗者はヨハン、クレア、連合・帝国の一般兵。


 身長:9.8m

 重量:6.98t


 主武装


 長銃:理力甲冑用の一般的な半自動小銃。セミオートなので装填を手動で行わなければならないため速射性が低いが、部品点数が少なく、前線でもメンテナンスに困らない事からベテランほどこの銃を使う。銃身が長く、命中率と貫通力のバランスが良い反面、装弾数が少ない。かなりの数が量産されており、民生のカスタムパーツが豊富なため、自前で改造する操縦士は傭兵を中心に正規兵にも多い。


 ライフル銃:比較的最近、帝国で正式採用されたバトルライフル。連射機構を持ち、上記の長銃よりも制圧力は高い。しかし部品点数が多いのでメンテナンス性能が悪く、フルオートに慣れていない操縦士はすぐに弾切れを起こすなど、いくつか課題も残されている。そのため、帝国全軍に配備されるのはもう少し時間がかかるというのが前線での噂。


 剣:理力甲冑用の剣。理力甲冑が開発された初期の頃からの主武装の一つ。そのため剣といっても様々な形状のものがあり、時代、地域、組織によってそれぞれ特徴を持つ。基本的には人間が扱う剣や刃物を理力甲冑の大きさにスケールアップしたものがほとんどである。剣や短剣、手斧に槍と手持ち武器は多岐に渡る。


 ちなみにヨハンは長剣と短剣の二刀流を好んで使うが、持ち前の器用さから様々な武器を使いこなす。なので、一対多の戦闘では敵の武器を奪って使用するといった映画のような真似もこなしてしまう。


 汎用盾:理力甲冑用の盾。汎用型の盾を左腕に装着して使う。帝国と連合では大きな違いは無く、厚い鋼鈑を加工して造られる。盾の全面に施される装飾はそれぞれの陣営、部隊などの紋章が描かれているが、前線にあるものは戦闘で削られるため防錆塗料のみの盾も多い。


 バズーカ:携帯式対理力甲冑弾発射装置。要するにロケットランチャー。爆薬が装填された弾頭が無誘導のロケット推進によって飛翔するため、近~中距離以外では命中率が著しく悪い。しかし直撃すれば大抵の理力甲冑を無効化でき、目標の近くに着弾すれば細かい破片や飛散物及び榴弾がダメージを与える。が、理力甲冑は全身を装甲に覆われているため、よほどの至近距離に着弾しないと榴弾による効果は薄い。重く携行出来る弾数も少ないため、主に砦や城などの守備隊や重武装の部隊が装備している。


 大弓:まだ理力甲冑用の銃器が実用化される前に使用された。その名の通り、理力甲冑用の大きな弓矢で、大木を丸々一本削って作られたという。弓と言えど、適切な距離では当時の理力甲冑の装甲を簡単に貫いたという。しかし通常の歩兵が使うように、大量の弓で敵軍を射るには絶対的な理力甲冑の数が足りず、次第に使われなくなっていった。一部の地方では、理力甲冑で遠距離の的を射抜く競技として現存する。


 打撃武器:主にメイスやフレイルなど。装甲に覆われている理力甲冑を効果的に破壊するには剣などの斬撃よりも打撃のほうが優れている場合がある。これは鎧を着た人間の場合と同じで、強力な打撃は装甲板を叩き割る、あるいは圧し潰してしまう。そうすることで内部の人工筋肉や骨格へダメージを与えることができ、より簡単に相手を無効化することが可能になる。かといって、打撃武器が万能かというとそうでもない。うまく打撃を敵機体に当てなければ、その衝撃は自機の手首や肘間接を破壊することになる。いわゆる芯に当てなければ効果は少ないのだ。


 攻城兵器:通常、城攻めは専用の攻城兵器が存在するが、理力甲冑で運用する簡易的なものもある。


 一例として破城槌を挙げる。古代から使われているこの兵器の代用品として、戦地近くの森などから巨木を切り倒し持ち手を付けて使用することがある。使用する木の大きさにもよるが、基本的に二機か四機が槌の両側を持つことで運用される。理力甲冑を使用することの利点は搭乗者が装甲に覆われているので、城壁の上からの攻撃に強いこと。しかしその反面、代用品の為に専用のものより効果は低く、また複数の理力甲冑の足並みが文字通り揃っていなければ攻撃するどころではない。通常、破城槌を持つ理力甲冑に別の理力甲冑部隊が護衛に就く。


 オニムカデの牙:大型のオニムカデから採取した牙を加工して作られた対の短剣。オニムカデの牙は非常に硬く、それを丹念に研磨した刃はそこらの鋼鉄を簡単に切断し、滅多なことでは刃こぼれしない。それだけなら職人が打つ業物と変わらないが、この短剣にはオニムカデの毒腺を利用した特殊な機構が備えられている。


 この短剣で切りつけると、刀身に刻まれた細い溝からオニムカデの強力な毒を相手に送り込むことが出来るのだ。魔物相手には勿論、理力甲冑といえど装甲内部の人工筋肉などを破壊出来るため相手を選ばない。また装甲などの金属も腐食させる事が出来るため、扱いは難しいが非常に強力な武器である。無論、短剣に仕込める毒の量には限りがあるので定期的に補充しなければならない。




 オーバルディア帝国軍の制式量産型理力甲冑。量産性に優れ、性能もバランスが良い傑作機。それまでの理力甲冑は操縦性に難がある機体が多く、性能も個体間でバラツキがあるなど量産機として課題が多かった。そこで帝国軍の兵器開発局は工房の生産性能や部品の規格統一など、一から徹底して見直すことを始めた。これにより画一化された性能に加えて生産コストの低下、前線での部品供給率、メンテナンス性能といった副次的な効果も上がった。


 大きな特徴が無いことが特徴とも言え、それはつまり機体の癖がなく新兵でも慣熟するのに時間が掛からない。量産機として他の機体を上回る総合的な性能を持つせいか、理力甲冑の技術に遅れを取る他国がステッドランドを鹵獲する事態が多発してしまい、これにより一部の技術が流出したと言われている。軍上層部はこの事態を重く見て、戦闘などにより回収が不可能なステッドランドは徹底的に破壊しろとの命令が出されたという。


 数多く生産されたステッドランドだが、実は帝国もその総生産数を把握していないという噂がある。短期間での量産のため、軍の工房以外に民間の工房も多く動員され、さらにシナイトスとの戦闘で多数の機体が撃破された。そうしているうちに工房から上がってくる生産数、現在稼働している機体と撃破された機体の数にズレが生じていることが分かった。当初は撃破された機体を後で回収・修理して再び実戦に使用している事が判明したため、大事にはならなかった。が、その後も書類上の数字と実際の機体数が合わないことが頻繁にあったという。とある筋からの情報では、民間の工房が他国やならず者達に横流ししているのではないかという。


 それを裏付ける訳ではないが、最近になって山賊集団が何故か理力甲冑を保有しているのが目撃されたり、帝国が計上している鹵獲されたステッドランドの数よりも他国の保有しているステッドランドの数が多いという事態が起きている。



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